今回は「温暖湿潤気候」について解説していきます。

温暖湿潤気候は気候区分の一つです。日本列島の気候の一部もこの気候区分に当てはまるぞ。この記事では、温暖湿潤気候の定義や特徴などについて詳しく説明する。なお、解説は気候区分についての基礎知識からはじめるつもりです。それゆえ、地学や気象についてあまり詳しくない方でも温暖湿潤気候について知ることができるでしょう。ぜひ、この機会に温暖湿潤気候について学んでくれ。

環境工学を専攻している現役理系学生ライター通りすがりのペンギン船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。エネルギー工学、環境工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。土壌、生態系、気象、地球温暖化について学んだこともある。

温暖湿潤気候について学ぶ前に

今回の記事では、温暖湿潤気候(おんだんしつじゅんきこう)をメインテーマとして、お話を進めていきます。ですが、背景知識が全くない状態では、この言葉の意味を本質的に理解することはできません。そこで記事の前半部分は、気候区分に関する基礎的な知識を身に着けることができるような内容としました

ここで紹介する内容は地学の勉強をするときだけでなく、地理学や環境工学について学ぶ際にも重要になってきます。ですから、地学に深い興味がない方であっても、ぜひ学んでおきたい概念だと言えるのです。それでは早速、解説をはじめていきます。

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世界の気候帯・気候区分について

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World Köppen Map.png: Peel, M. C., Finlayson, B. L., and McMahon, T. A. (University of Melbourne) derivative work: Br-Sc-94 (talk) - World Köppen Map.png, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

気候帯および気候区分は、世界中の気候を共通の特徴に注目して分類を行ったものになりますよ。気候帯は全部で7つに分けられ、気候区分は気候帯をさらに分割したものとなりますここで説明する気候区分は、ドイツの気候学者であるウラジミール・ペーター・ケッペンによって考え出されたものですよ。ケッペンは植生の特徴に注目して世界ではじめて大々的に気候区分を提唱した人物ですよ。

気候帯は、低緯度地域から高緯度地域の順で熱帯乾燥帯亜熱帯温帯亜寒帯寒帯となっています。また、例外的に標高の高い地域は高山気候に分類されますよ。気候帯の分類は主に気温を基準として行われます気候区分は、これらの条件に加えて、降水量や植生といった要素も判別の基準になるのです。気候帯や気候区分などの考え方は、気象学において非常に重要な概念になっています。

温帯について

image by iStockphoto

ここでは、温暖湿潤気候が属する温帯という気候帯についての知識を身につけましょう。温帯に属する気候区分には、今回の記事におけるキーワードである温暖湿潤気候以外に、西岸海洋性気候地中海性気候などが含まれています。温帯に属する地域としては、中緯度に位置する日本やヨーロッバなどが挙げられますよ

温帯に属する地域は冬は寒すぎず、夏は夏過ぎないという理由から、古い時代から農耕が盛んに行われてきていたと考えられています。現在でも、穀倉地帯の多くが温帯地域に存在していますよね。また、農耕を営みやすいという理由から、温帯に属する地域では人口が多くなりやすくなっています。

温暖湿潤気候について学ぼう!

ここまでの記事を読んで気候区分について基礎知識を身につけることができたかと思います。以下では、その前提知識をもとに温暖湿潤気候についてより深く学んでいきましょう。具体的には、温暖湿潤気候の定義・特徴・分布などについて説明していきますよ。これらの項目について説明することができるようになれば、温暖湿潤気候について9割方理解できたと言えるでしょう。

温暖湿潤気候について詳しく学ぶ際には、説明した事柄を丸覚えするのではなく、メカニズムに基づいた本質的な理解をできるように心掛けてくださいね。このような理解ができれば、関連事項を学ぶ際に非常に役立つでしょう。それでは、以下の記事を読み進めてみてください。

温暖湿潤気候の定義

温暖湿潤気候の定義

image by Study-Z編集部

温暖湿潤気候の定義は以下で述べるような条件によって決まっていますよ。気温に関しては、最寒月平均気温が-3℃以上18℃未満であり、最暖月平均気温が22℃以上であるという条件があります。

また、降水量に関する条件もありますよ。最多雨月が夏に存在する場合は、(最多雨月降水量)≦10×(最少雨月降水量)という式を満たす必要があります。一方、最多雨月が冬にある場合は、(最多雨月降水量)≦3×(最少雨月降水量)という式を満たす必要があるのです。なお、最少雨月降水量は30mm以上であるなければなりません

以上のような複雑な条件に加えて、降水量が乾燥限界以上にならないということも温暖湿潤気候の定義に含まれますよ。このように、数式を用いた厳密な温暖湿潤気候の定義があるのです。

温暖湿潤気候の特徴

image by iStockphoto

定義の説明でけでは、温暖湿潤気候のイメージをつかみにくいという方がおられるかもしれません。ですから、ここでは温暖湿潤気候の地域において、どのような気象的な特徴がみられるのかをできるだけ嚙み砕いて説明しますね

温暖湿潤気候は、日本のように四季がはっきりとした気候をイメージすると良いですよ。また、湿潤という名前の通り、比較的降水量が多くなることも知られています。日本では、梅雨や台風が原因で降水量が多くなっていますよね。

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温暖湿潤気候の分布

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Koppen_World_Map_Hi-Res.png: Peel, M. C., Finlayson, B. L., and McMahon, T. A. (University of Melbourne) derivative work: Me ne frego (talk) - Koppen_World_Map_Hi-Res.png, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

最後に、温暖湿潤気候の分布について説明していきます。まずは日本国内で温暖湿潤気候がどのように分布しているのかを考えましょう。実は日本列島の半分近くの地域が温暖湿潤気候に分類されます。九州地方・四国地方・中国地方・近畿地方・中部地方・関東地方の気候は、ほとんどが温暖湿潤気候に分類されますよ。このようなことから、温暖湿潤気候は日本に住んでいる私たちにとって非常に身近な存在だと考えることができますよね。

では、世界を見渡した時、温暖湿潤気候に属する地域はどこに存在するのでしょうか?日本の近くでは、中国・韓国・台湾の気候の一部が温暖湿潤気候に分類されます。また、アメリカの東岸の気候も温暖湿潤気候です。これらの地域以外でも、アフリカ大陸・オーストラリア大陸・南アメリカ大陸のごく一部の地域で、温暖湿潤気候の特徴がみられる場所が存在しています

温暖湿潤気候について理解を深めよう!

この記事では、気候区分の基礎知識からはじめて、温暖湿潤気候の定義や特徴について学びました。では、温暖湿潤気候について理解を深めることの意義とは一体何なのでしょうか?

温暖湿潤気候という言葉は、地学・気象学・環境工学・地理学などの幅広い分野の学問で登場します。また、気候と歴史や文化には密接な関係がありますから、このようなことを学ぶ際にも温暖湿潤気候についての知識が役に立つかもしれませんよね。

以上のように関連する事柄が多く、雑学として知っておくことで視野が大きく広がることが、温暖湿潤気候について理解を深めることの意義なのです。ぜひこの機会に、温暖湿潤気候について理解を深めてみてくださいね。

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地学地球大気・海洋理科

3分で簡単温暖湿潤気候!その定義や特徴とは?他の気候との違いは?現役理系学生ライターがわかりやすく解説!

今回は「温暖湿潤気候」について解説していきます。

温暖湿潤気候は気候区分の一つです。日本列島の気候の一部もこの気候区分に当てはまるぞ。この記事では、温暖湿潤気候の定義や特徴などについて詳しく説明する。なお、解説は気候区分についての基礎知識からはじめるつもりです。それゆえ、地学や気象についてあまり詳しくない方でも温暖湿潤気候について知ることができるでしょう。ぜひ、この機会に温暖湿潤気候について学んでくれ。

環境工学を専攻している現役理系学生ライター通りすがりのペンギン船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。エネルギー工学、環境工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。土壌、生態系、気象、地球温暖化について学んだこともある。

温暖湿潤気候について学ぶ前に

今回の記事では、温暖湿潤気候(おんだんしつじゅんきこう)をメインテーマとして、お話を進めていきます。ですが、背景知識が全くない状態では、この言葉の意味を本質的に理解することはできません。そこで記事の前半部分は、気候区分に関する基礎的な知識を身に着けることができるような内容としました

ここで紹介する内容は地学の勉強をするときだけでなく、地理学や環境工学について学ぶ際にも重要になってきます。ですから、地学に深い興味がない方であっても、ぜひ学んでおきたい概念だと言えるのです。それでは早速、解説をはじめていきます。

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