この記事では「山を掛ける」について解説する。

端的に言えば「山を掛ける」の意味は「万が一の幸運を狙う」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「山を掛ける」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「山を掛ける」の意味をわかりやすく伝える。

「山を掛ける」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「山を掛ける」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「山を掛ける」の意味は?

「山を掛ける」には、次のような意味があります。

万が一の幸運をねらって物事をする。そうなるであろうと予想して準備する。山を張る。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「山を掛ける

「山を掛ける」は「やまをかける」と読み、万が一の幸運を狙う際や、物事の未来を予想して準備する際に使用する言葉です。競馬や競輪などを始めとするギャンブルでも良く用いられる言葉ですが、日常生活の中でも使われることが多いですよね。

上述した国語辞書にあるように、「万が一の幸運を狙う」ギャンブルのニュアンスが強い場合と、それに比べると「比較的確実性が高い」場合の双方に用いられますので、文脈から正確に意味を判断するようにしましょう。

「山を掛ける」の語源は?

次に「山を掛ける」の語源を確認しておきましょう。ここでいう「山」は、語源としては「鉱山」を指しています。つまり、鉱山にて金脈などを掘り当てる際に、どの山やどのルート・場所が可能性が高いかを予測する際に「山を掛ける」という言葉が用いられたことが語源と言われているのですね。

その意味で言うと「賭ける」の漢字の方が近そうですが、「掛ける」が正解ですので間違えずに覚えておきましょう。ここでの「掛ける」は賭け事の意味ではなく、「時間・費用・労力などをそのために使う。費やす。つぎ込む。」の意と言えます。

「山を掛ける」の使い方・例文

「山を掛ける」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「山を掛ける」の類義語は?違いは?」を解説!/

1. この慣用句とことわざが試験に絶対出ると信じて、時間も無いし山を掛けて勉強しておこう。

2. 健太くんは山を掛けるのが得意で、あの迷路でも分かれ道で右側を選んで見事ゴールしたんだ。

3. ひらめきを信じて数々の失敗をギャンブルでしてきたけど、冒険して山を掛ける瞬間が気持ち良いんだよなぁ。

どの例文においても、物事が好転したり幸運が舞い込むことを期待するシチュエーションで「山を掛ける」が用いられていることがわかりますね。言い換えれば、時間や空間、ルールといった制約に基づいて、自らの力ではどうしようもない状況で使用することが多い言葉であると言えます。

「山を掛ける」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「山を掛ける」の類義語を3つほどピックアップしましたので、見ていきましょう。

1. 「山を張る」

今回ご紹介する最初の類義語が「山を張る」(やまをはる)です。念のため意味を国語辞書にて確認しておきましょう。

「山を掛ける」に同じ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「山を張る

このように「山を張る」と「山を掛ける」は全く同じ意味であることがわかりましたね。ちなみに「張る」は様々な意味を持つ言葉ですが、ここでは「賭け事などに金銭をかける」の意味が近いと思われます。そのため語源や要素となっている言葉の意味からは、「山を張る」の方がややギャンブル要素が強いニュアンスと言えるでしょう。

\次のページで「2. 「山勘」」を解説!/

2. 「山勘」

次にご紹介する類義語が「山勘」(やまかん)です。こちらも意味を確認しておきましょう。

勘でやまをはること。また、その勘。あてずっぽう。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「山勘

このように「山勘」は「山を掛ける」に比べ、さらに「当てずっぽう感」が強い言葉であると言えます。つまり「山を掛ける」がある程度の予測や経験に基づいたものとすれば、「山勘」はより当てずっぽう・勘で選択をする際に使用する言葉でしょう。

3. 「腰撓め」

今回ご紹介する最後の類義語が「腰撓め」(こしだめ)です。見かけることが少ない感じですが、ちゃんと読むことができたでしょうか。こちらも意味を確認しておきましょう。

1. 銃床を腰に当て、大まかなねらいで発砲すること。

2. 大ざっぱな見込みで事を行うこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「腰撓め

「山を掛ける」の類義語としては2つ目の意味ですね。「山勘」よりも「見込み」や「予測」があるニュアンスの言葉です。口語ではあまり使うことが少ないかもしれませんが、類義語としてしっかり覚えておきましょう。

「山を掛ける」の対義語は?

さて、同義語の次は対義語(反対語)を見ていきましょう。

\次のページで「「確実」」を解説!/

「確実」

「山を掛ける」の対義語として、慣用句ではありませんが「確実」(かくじつ)が挙げられるでしょう。口語でも頻繁に使われる言葉ですので問題ないと思いますが、「たしかで、まちがいのないこと。また、そのさま。」の意味ですから、対義関係にあることがわかります。

「山を掛ける」の英訳は?

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最後に、「山を掛ける」を英訳するとどうなるかを見ていきましょう。

「make a guess」

「山を掛ける」を英語で表現する場合に、最も近い言い回しが「make a guess」でしょう。直訳すると「推測する」ですが、当てずっぽう感が強い言葉ですから、「山を掛ける」「山を張る」として使用することが可能です。以下に例文を見てみましょう。

・You were answering with a question. That's not good, because it's no different than making a guess.

あなたは質問内容に対して、疑問を抱きながら回答してたわね。それは山を掛けていることと変わらないから良くないわ。

・With so little material to judge, users had no choice but to make a guess on the most popular and talked about horses.

あまりに判断する材料が少なく、ユーザーは人気や話題の馬に山を掛ける方法しかなかった。

・I heard that a book called "How to Make a Guess and Still Make Money" is on sale, and unexpectedly it made it to the monthly recommendation ranking.

山を掛けても儲かる方法」という書籍が発売されているらしいですが、予想に反して月間おすすめランキングに掲載されました。

「山を掛ける」を使いこなそう

この記事では「山を掛ける」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しておきましょう。

「山を掛ける」は万が一の幸運を狙う際や、物事の未来を予想して準備する際に使用する言葉でした。「山を掛ける」のは多かれ少なかれギャンブル性が高いですから、ビジネスシーンでも日常生活でも、相手の意向や気持ちに対して「山を掛ける」場面をできる限り少なくすると、デキるビジネスマンとして一目置かれる存在になるかもしれませんね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「山を掛ける」の意味や使い方は?例文や類語を元校閲者がわかりやすく解説!

この記事では「山を掛ける」について解説する。

端的に言えば「山を掛ける」の意味は「万が一の幸運を狙う」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「山を掛ける」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「山を掛ける」の意味をわかりやすく伝える。

「山を掛ける」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「山を掛ける」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「山を掛ける」の意味は?

「山を掛ける」には、次のような意味があります。

万が一の幸運をねらって物事をする。そうなるであろうと予想して準備する。山を張る。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「山を掛ける

「山を掛ける」は「やまをかける」と読み、万が一の幸運を狙う際や、物事の未来を予想して準備する際に使用する言葉です。競馬や競輪などを始めとするギャンブルでも良く用いられる言葉ですが、日常生活の中でも使われることが多いですよね。

上述した国語辞書にあるように、「万が一の幸運を狙う」ギャンブルのニュアンスが強い場合と、それに比べると「比較的確実性が高い」場合の双方に用いられますので、文脈から正確に意味を判断するようにしましょう。

「山を掛ける」の語源は?

次に「山を掛ける」の語源を確認しておきましょう。ここでいう「山」は、語源としては「鉱山」を指しています。つまり、鉱山にて金脈などを掘り当てる際に、どの山やどのルート・場所が可能性が高いかを予測する際に「山を掛ける」という言葉が用いられたことが語源と言われているのですね。

その意味で言うと「賭ける」の漢字の方が近そうですが、「掛ける」が正解ですので間違えずに覚えておきましょう。ここでの「掛ける」は賭け事の意味ではなく、「時間・費用・労力などをそのために使う。費やす。つぎ込む。」の意と言えます。

「山を掛ける」の使い方・例文

「山を掛ける」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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