この記事では「口が腐っても」について解説する。

端的に言えば口が腐ってもの意味は「なにがあろうと話さない決意」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「口が腐っても」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「口が腐っても」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「口が腐っても」の意味や語源・使い方を一覧でご紹介していきます。またその他「口が腐っても」は分類としては、ことわざではなく「慣用句」であるという点も抑えておきましょう。

「口が腐っても」の意味は?

「口が腐っても」というキーワードを辞典・辞書・事典、ネット上の無料データベースサービス「コトバンク」で用語検索してみると、次のような記載が収録されています。こちらの引用をヒントに、まずは意味を確認していきましょう。

1.《口を動かさないために腐ってしまってもという意から》秘密などをもらさない決意の強いことをいう言葉。「口が腐っても言わない」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「口が腐っても」

「口が腐っても」はたとえ口が腐ったとしても、絶対に秘密をもらさないという決意を示す言葉です。あまりに口を動かさないことが原因で、口が腐っていってしまったとして、それでも話さない。「口が腐っても」はこうした絶対に話さないという決意を示した口上となっています。

基本的には抱えている秘密に対して誰かに問われた際、絶対に話さないという意思表示の意味で使われていますね。古い表現ですが、現在でも書籍・新聞等の文章中に時折登場することがあります。現在は登場頻度が減少し、類似表現の「口が裂けても」がより一般的に使用されている印象です。

「口が腐っても」の語源は?

次に「口が腐っても」の語源を確認しておきましょう。残念ながら「口が腐っても」の語源は、未だはっきりとは分かっていないようです。「口が腐っても」は、口をあまりに開かないことから口が腐ることがあったとしても、という仮定の表現として発生しました。

例え口が腐るような事態となったとしても、秘密を漏らさないという固い決意を示しています。類似表現の「口が裂けても」が、口を裂かれてしまったとしても話さないという決意の意味という点を見ると、なにか拷問由来の言葉であるのかもしれませんね。

\次のページで「「口が腐っても」の使い方・例文」を解説!/

「口が腐っても」の使い方・例文

「口が腐っても」の使い方の一部を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.その問題に関しては、口が腐っても言わないことに決めてる。
2.自分は、他人に対して口が腐っても言えないような秘密を抱えている。
3.友人に事情を聞くと、口が腐っても話せないと、一向に語ろうとしない。

「口が腐っても」は例文のように、なにか重大な秘密を抱えている人物がその件について絶対に話さない、意思表示の意味として使われています。問いかけられても、それ以上話すことはないと突っぱねる意味で使われることが多いですね。口語としては使われることが少ない点に注意していきましょう。

現在では主に書籍・新聞等の文章中に、古い表現として時折見かけることがあります。なにか秘密について聞かれた際に、そのことについては絶対に話したくない・話すつもりがないということを相手に伝える。実際に「口が腐っても」を使う際は、こうした場面で使用していきましょう。

「口が腐っても」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

続いて「口が腐っても」の類義語・違いについて確認していきましょう。「口が腐っても」の類義語をいくつかピックアップしました。関連するよく似た表現との違いを確認することで、「口が腐っても」という言葉の機能をより深く理解することができます。

その1「口が裂けても」

「口が裂けても」は例え口が裂けたとしても、絶対に秘密を漏らさないという意思表示に使われる口上です。「口が腐っても」と基本的な意味・用法がまったく同じとなっており、非常によく似た意味の類義語となっています。それぞれ登場する頻度に違いがある点に注意していきましょう。

\次のページで「その2「口を割らない」」を解説!/

その2「口を割らない」

「口を割らない」は取り調べに対し、語ろうとしない様子を指して使われている言葉です。自身の秘密を明かさない様子を表す言葉となっており、「口が腐っても」とよく似た意味をもった類義語となっています。こちらは特に取り調べという特殊な環境に限り、使われることが多いという点に注意しましょう。

その3「口をつぐむ」

「口をつぐむ」は口を閉じ、なにも物を言わないことを表す言葉です。黙ること、話さないことを表す言葉となっており、「口が腐っても」と似た意味をもった類義語となっています。こちらは言いかけて話すのを止めるといった場面で使われることが多く、使用する場面の違いに注意していきましょう。

その4「口を慎む(くちをつつしむ)」

「口を慎む」は余計なことを言わないように予防する行為を指した言葉です。うかつな発言をしないように注意する意味を表すことができ、「口が腐っても」と少し似た意味ををもった類義語となっています。こちらは特に秘密に関わる発話には限定されていません。こちらもあわせて覚えておきましょう。

「口が腐っても」の対義語は?

つづいて「口が腐っても」の対義語についても確認していきましょう。「口が腐っても」には明確に対義語とされている語はありません。しかしその意味・作用から連想してみると次の単語が思い浮かびます。

「白状(はくじょう)」

「白状」は自分の抱えていた秘密・犯した罪を申し述べることを表す言葉です。「口が腐っても」が秘密を明かさない決意を表した言葉であるのに対して、こちらはそうして隠していた秘密を明かす行為を表しており、反対の意味をもっています。対義語としてこちらの言葉もあわせて覚えておきましょう。

「口が腐っても」の英訳は?

image by iStockphoto

つづいて「口が腐っても」の英語訳についても確認していきましょう。

\次のページで「「I can't tell anyone no matter what.」」を解説!/

「I can't tell anyone no matter what.」

「I can't tell anyone no matter what.」はなにがあっても誰にも話せないという意味を表す英文です。抱えている秘密等を決して誰にも明かすことができないという意味を表すことができ、日本語の「口が腐っても」の意味を少しニュアンスが違うものの、しっかりと表現できます。こちらも覚えておきましょう。

「口が腐っても」を使いこなそう

この記事では「口が腐っても」の意味・使い方・類語などを説明しました。「口が腐っても」は仮に口が腐ってしまったとしても、自分は絶対に話さないという決意を表した言葉でした。年齢を重ねた方が使用することが多い古い表現ですが、現在でも時折、書籍・新聞等の文章中などに登場することがあります。

また類義語には「口が裂けても」、「口を割らない」、「口をつぐむ」、「口を慎む」などがありました。それぞれ少しづつニュアンスが違うため、細かい意味や使われる場面を確認し、コツを掴んで使い分けていきましょう。今回の記事が皆さんの参考になっていれば幸いです。

" /> 【慣用句】「口が腐っても」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「口が腐っても」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「口が腐っても」について解説する。

端的に言えば口が腐ってもの意味は「なにがあろうと話さない決意」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「口が腐っても」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「口が腐っても」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「口が腐っても」の意味や語源・使い方を一覧でご紹介していきます。またその他「口が腐っても」は分類としては、ことわざではなく「慣用句」であるという点も抑えておきましょう。

「口が腐っても」の意味は?

「口が腐っても」というキーワードを辞典・辞書・事典、ネット上の無料データベースサービス「コトバンク」で用語検索してみると、次のような記載が収録されています。こちらの引用をヒントに、まずは意味を確認していきましょう。

1.《口を動かさないために腐ってしまってもという意から》秘密などをもらさない決意の強いことをいう言葉。「口が腐っても言わない」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「口が腐っても」

「口が腐っても」はたとえ口が腐ったとしても、絶対に秘密をもらさないという決意を示す言葉です。あまりに口を動かさないことが原因で、口が腐っていってしまったとして、それでも話さない。「口が腐っても」はこうした絶対に話さないという決意を示した口上となっています。

基本的には抱えている秘密に対して誰かに問われた際、絶対に話さないという意思表示の意味で使われていますね。古い表現ですが、現在でも書籍・新聞等の文章中に時折登場することがあります。現在は登場頻度が減少し、類似表現の「口が裂けても」がより一般的に使用されている印象です。

「口が腐っても」の語源は?

次に「口が腐っても」の語源を確認しておきましょう。残念ながら「口が腐っても」の語源は、未だはっきりとは分かっていないようです。「口が腐っても」は、口をあまりに開かないことから口が腐ることがあったとしても、という仮定の表現として発生しました。

例え口が腐るような事態となったとしても、秘密を漏らさないという固い決意を示しています。類似表現の「口が裂けても」が、口を裂かれてしまったとしても話さないという決意の意味という点を見ると、なにか拷問由来の言葉であるのかもしれませんね。

\次のページで「「口が腐っても」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: