今回のテーマは「算数と数学の違いについてです。みんなは「なぜ中学生になると算数から数学になるの?」と疑問を抱いたことはないでしょうか?また「中学から急に難しくなった…」と感じたことはないか?数学と算数の違いだけでなく、それぞれの強化が苦手になってしまう人のパターンから勉強方法のポイントまで勉強マニアの「けい」と一緒に解説していきます。

ライター/けい

学生時代に「算数は得意だったが数学は苦手」という経験を持つ。その理由を突き詰めて、再度高得点を取れるようになった。

算数と数学のざっくりした違いって?

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それでは算数と数学の違いについて簡単に紹介していきたいと思います。

算数とは→日常生活で必要な計算

日常生活の計算とは、買い物で「金額の計算」をしたり、料理では「重さを量って分量を調節する」、メディアなどで「算出されたデータを理解する」など様々な場面で使われる能力です。このように「算数」では計算の基礎を学習し、計算能力の土台を学習していきます。具体的な内容として、四則演算(足し算、引き算、掛け算、割り算)や長さや重さの概念の理解、時間の理解、グラフの読み方、面積の求め方などです。

数学とは→抽象度が高い計算

「数学なんて生活の中では使わない…」と思う方もいるかもしれません。しかし数学は大事な学問です。数学は算数とは異なり、抽象度が高く、問題の答えを導きだすまでの過程が重要になってきます。

つまり、「○○となる理由は△△だから」ということをどのように証明することに重きが置かれているのです。

「数字を使う」という点では似ていますが、実際に培われる能力の方向性は異なります。算数は純粋に「正確な計算力」であり、数学では「論理的思考力」です。算数→数学になると急に難しくなる理由の一つとして抽象的な問題が増えることが挙げられます。「抽象度が高い」場合、理解するときには自分自身の能力と具体的な内容にまで落とし込めることがカギになっていますので、この点を踏まえて勉強していくと少しずつ変わってくるかもしれません。

文部科学省ではどう定義されている?

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今度は、文部科学省では算数と数学についてどのような教育目標を掲げられているのか見ていきましょう。

算数の教育目標→日常に当てはめて考える

算数の教育目的は以下のようになっています。

\次のページで「数学の教育目標→物事を数値化して解決へ導く」を解説!/

数学的な見方・考え方を働かせ,数学的活動を通して,数学的に考える資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

(1)数量や図形などについての基礎的・基本的な概念や性質などを理解するとともに,日常の事象を数理的に処理する技能を身に付けるようにする。

(2)日常の事象を数理的に捉え見通しをもち筋道を立てて考察する力、基礎的・基本的な数量や図形の性質などを見いだし統合的・発展的に考察する力、数学的な表現を用いて事象を簡潔・明瞭・的確に表したり目的に応じて柔軟に表したりする力を養う。

(3)数学的活動の楽しさや数学のよさに気付き,学習を振り返ってよりよく問題解決しようとする態度,算数で学んだことを生活や学習に活用しようとする態度を養う。

(引用元;文部科学省)

実は算数でも論理的な内容は養われています。日常生活に寄り添った視点で勉強していくため、中学校以上の勉強と比べると親しみやすい内容になっており勉強しやすいという点がわかりやすいひとつの特徴と言えますね。

数学の教育目標→物事を数値化して解決へ導く

では数学の教育目的についてみていきましょう。

数学的な見方・考え方を働かせ、数学的活動を通して、数学的に考える資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

(1) 数量や図形などについての基礎的な概念や原理・法則などを理解するとともに、事象を数学化したり、数学的に解釈したり、数学的に表現・処理したりする技能を身に付けるようにする。

(2) 数学を活用して事象を論理的に考察する力、数量や図形などの性質を見いだし統合的・発展的に考察する力、数学的な表現を用いて事象を簡潔・明瞭・的確に表現する力を養う。

(3) 数学的活動の楽しさや数学のよさを実感して粘り強く考え、数学を生活や学習に生かそうとする態度、問題解決の過程を振り返って評価・改善しようとする態度を養う。
(引用元;文部科学省)

数学では数値化できないものを文字に置き換えたり、式として表したりするので算数よりも難易度が上がっているのですね。

算数と数学の違いはココ!

文部科学省で「算数」と「数学」の違いについてはこのように述べていました。

なお、小・中・高等学校を通して、数学的活動を行い、数学的活動を通して育成を目指す資質・能力は同じ方向にあるが、その数学的活動を通して、知識及び技能として習得する具体的な内容は、小学校段階では、日常生活に深く関わり、日常生活の場面を数理化して捉える程度の内容が多い。小学校段階では、数学として抽象的で論理的に構成された内容になっていない。
~中略~
小学校の時に具体物を伴って素朴に学んできた内容を、中学校では数の範囲を広げ、抽象的・論理的に整理して学習し直すことになる。そして、さらに高等学校・大学ではそれらが、数学の体系の中に位置付けられていく。

以上のことから、小学校では教科名を「算数」とし、中学校以上の「数学」と教科名を分けている。

(引用元:文部科学省)

つまり、中学で行う数学は「算数」で出題される具体的な数値が、「X」等に代わっていることや数式の複雑化をし始めた段階ということですね。「数学」という学問を本格的に扱うのは高校からとなります。

算数が苦手な人のパターン

算数から苦手だという人もいると思います。今回算数が苦手というパターンをいくつか挙げてみました。

見直ししない

ここではテスト中の見直しよりもテスト後返却の見直しをしない人を指しています。

テスト後の見直しで「どこの箇所を間違えたのか」を把握することが必要です。単に計算ミスなのか、計算式が間違っていたのか等ですね。とくに「計算式が間違っていた場合はそもそも問題への理解度が不十分な可能性がありますので、わからない箇所を早めにつぶしていきましょう。

低学年での学習内容が理解不十分なまま

これはどの教科でもいえることですが、基礎が身についていないと応用問題は解けません。つまり序盤で勉強する内容が理解できていないと、高学年の勉強についていけなくなるため苦手な項目を一つずつクリアしていく必要があります。

計算の簡略化がうまくできない

簡単に計算できる方法が身についてない場合、ケアレスミスをする可能性が上がります

例えば、「98×21」という問題をみたときに、そのまま筆算で計算すると掛け算の筆算のルールを用いながら繰り上がりをする必要があり、ミスに繋がる可能性がありますよね(この場合「98×21」は「100×21-2×21」と表すこともできますよね)。しかし、計算式を簡略化することで問題を解く速度が上がり、計算式を簡略化できることでミスが減りやすくなります。

数学が苦手な人のパターン

今度は数学が苦手な人のパターンを見てみましょう。

算数の理解が不十分

小学校で習う算数の内容は計算の基礎です。特に高学年で習う「割合」や「比例」といった内容が少し複雑な箇所が苦手になると、より複雑な数学が難しく感じてしまいます。そのためにも、小学校で習う内容はきちんと理解しておきましょう。

\次のページで「算数はできたけど数学は苦手」を解説!/

算数はできたけど数学は苦手

中学生になったら数学が苦手になってしまうパターンです。先述した通り数学は抽象的な学問であるため、理解するためには自力で抽象的な問題を具体的な内容に変換しなければなりません。抽象的なままでも理解できるのであれば問題はありませんが、わからないまま丸暗記してしまう場合、「応用問題が解けない…」という状態に陥ってしまします。

しっかりと理解するために抽象的→具体的になるよう脳内で変換していく癖をつけ、苦手意識は生まないよう意識しましょう

単純に勉強量不足

数学は「なぜそうなるのか」と「答えの導き方」を順序立てて理解することで、初めて解くことができます。つまり公式ひとつをとっても、きちんと理解しなければいけないので、根気よく勉強する必要があるのです。また、内容が複雑なため一度理解しただけでは定着しないこともしばしばあります。

問題を反復して解いていき、公式はスッと思い出せるようにしておくことが望ましいでしょう。

算数・数学で培われる能力は大切

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算数や数学で培われる能力は、日常的に大切なことはもちろんですが、生きていく上でも重要な能力です。算数・数学の勉強方法のポイントについて述べた後、なぜ生きていく上でも重要なのかを紹介していきます。

算数での勉強方法のポイント

算数での勉強方法のおすすめとして、計算問題を反復することがオススメです。「繰り上がり・下がりを忘れてしまった」「掛け算の筆算で、桁をずらすのを忘れた」という人はいませんか?この「忘れた」というのはワーキングメモリという能力が関係しています。計算に慣れておく状態を作らないと「計算をする」ということがいつまでも脳に高負荷を与えてしまうため、自分自身でもケアレスミスに気づくことができません。

ケアレスミスをなくすためにも、まずは計算に慣れるために計算問題を反復して行うことをオススメします。

数学での勉強方法のポイント

数学の勉強のポイントは「なぜ?」という疑問を持つことが大切です。数学は答えを導く過程を考える必要があります。たとえば、「なぜこの公式が使われるのか」「なぜ図形をこのように見る必要があるのか」といった具合に、自分自身で問題を提起していきましょう

数学でつまずくことは「計算」よりも「計算するための理屈」がわからないことにあります。理屈が分かるようになるためにも、何度でも問題を見返すことが肝心です。

算数、数学ができることで日常生活は楽になる

算数や数学が得意な人は問題解決能力が高いことがわかっています

日常生活では仕事で行き詰ったり、人生で悩み事で頭を抱えることがありますよね。算数や数学が得意な人は、適切な問題提起と問題を解決するための選択肢を考えることができます。つまり「自分にとっての正解」を導くことができるのです。

このように算数や数学が得意だと考える力が養われているため、「日常生活が楽になる」と言えるでしょう。

自分を幸せにするために算数と数学を勉強しておこう!

「算数と数学の違い」についてみてきました。算数は日常に寄り添った教科で必要性を感じやすい学問ということがわかりましたね。一方で、数学は複雑な学問ではありますが、論理的思考力が養われることが日々の問題解決能力につながるということがわかりました。

読者のみなさんの中にも「学校の勉強に意味がない」と感じる人もいるのではないでしょうか(私自身も学生時代に思っていました)。しかし、その勉強の意味を考えること自体が、実は問題解決能力が育まれることにもつながっています。自分の人生を後々楽にするためにも、ぜひ積極的に取り組みましょう。

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算数と数学の違いがわかることで勉強が楽になる!算数や数学の苦手パターンや必要な能力や勉強法も合わせて勉強マニアがわかりやすく解説


今回のテーマは「算数と数学の違いについてです。みんなは「なぜ中学生になると算数から数学になるの?」と疑問を抱いたことはないでしょうか?また「中学から急に難しくなった…」と感じたことはないか?数学と算数の違いだけでなく、それぞれの強化が苦手になってしまう人のパターンから勉強方法のポイントまで勉強マニアの「けい」と一緒に解説していきます。

ライター/けい

学生時代に「算数は得意だったが数学は苦手」という経験を持つ。その理由を突き詰めて、再度高得点を取れるようになった。

算数と数学のざっくりした違いって?

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それでは算数と数学の違いについて簡単に紹介していきたいと思います。

算数とは→日常生活で必要な計算

日常生活の計算とは、買い物で「金額の計算」をしたり、料理では「重さを量って分量を調節する」、メディアなどで「算出されたデータを理解する」など様々な場面で使われる能力です。このように「算数」では計算の基礎を学習し、計算能力の土台を学習していきます。具体的な内容として、四則演算(足し算、引き算、掛け算、割り算)や長さや重さの概念の理解、時間の理解、グラフの読み方、面積の求め方などです。

数学とは→抽象度が高い計算

「数学なんて生活の中では使わない…」と思う方もいるかもしれません。しかし数学は大事な学問です。数学は算数とは異なり、抽象度が高く、問題の答えを導きだすまでの過程が重要になってきます。

つまり、「○○となる理由は△△だから」ということをどのように証明することに重きが置かれているのです。

「数字を使う」という点では似ていますが、実際に培われる能力の方向性は異なります。算数は純粋に「正確な計算力」であり、数学では「論理的思考力」です。算数→数学になると急に難しくなる理由の一つとして抽象的な問題が増えることが挙げられます。「抽象度が高い」場合、理解するときには自分自身の能力と具体的な内容にまで落とし込めることがカギになっていますので、この点を踏まえて勉強していくと少しずつ変わってくるかもしれません。

文部科学省ではどう定義されている?

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今度は、文部科学省では算数と数学についてどのような教育目標を掲げられているのか見ていきましょう。

算数の教育目標→日常に当てはめて考える

算数の教育目的は以下のようになっています。

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