
そもそも毒とは何か?毒とは生き物の生命に害を与えるものです。しかし、極端な量を摂取すれば水も食塩も毒だし、薬だって量を間違えば毒となる。薬と毒はいわば紙一重の存在なのです。
今回は人口毒について学ぶ。解説は最近の楽しみは展示品にちょっとしたコラムを書くこと、という化学系科学館職員のたかはしふみかです。

ライター/たかはし ふみか
イベントに向けてどんなことができるかわくわくできるのが仕事の醍醐味、という化学専攻の科学館職員。理科教育に興味があり理系に進んだリケジョで、一般企業での就業経験もある。
人工毒とは

人工毒とは人間が人工的に作り出した毒のことです。農薬や工業用薬剤のような用途があるものから、化学兵器のように殺戮を目的としたものまであります。反対に、植物や動物、鉱物など自然由来の毒を自然毒(天然毒)と言うのです。自然毒には生物由来の生物毒(植物毒・動物毒・微生物毒)、そして鉱物由来の鉱物毒があります。
理系で実際に毒物と言われる薬品を扱う機会がある人はもちろん、ニュースで毒について耳にしたことのある人も多いでしょう。毒として有名なのがこちらです。

image by Study-Z編集部
聞いたことがあるものも多いでしょう。特に微生物毒は病気の原因として聞いたことがあるものもあるかもしれません。例えば自然界最強ともいわれる毒は、ボツリヌス菌が生産する毒素です。この毒素は食中毒を引き起こし、1gで100万人ほど殺すことができます。このような細菌やウィルスが作り出した強力な毒素は、生物兵器として研究開発が行われてきました。生物兵器として他に炭疽菌、天然痘ウィルスが知られていています。
生物毒で他にも覚えておくといいもののひとつがジフテリアです。ジフテリア菌の持つ毒素が原因で、上気道の粘膜感染症が起こされます。これはワクチンによって予防することが可能であり、予防接種をすれば怖くありません。また、破傷風は破傷風菌を病原体として発症します。破傷風には熱や倦怠感、そして神経麻痺といった症状があるのです。
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