
パワハラやモラハラを受けたらどこに相談すればいい?

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パワハラやモラハラを受けたら泣き寝入りする必要はありません。理不尽だと思ったら、まずは相談に行き、現状を話してみましょう。相談をするだけでもだいぶ心が軽くなると思います。
職場のハラスメントは社内のコンプライアンス窓口か労働基準監督署へ相談
職場でのパワハラやモラハラであれば、証拠を揃えて社内のコンプライアンス窓口か労働基準監督署へ相談するのが良いでしょう。社内で起こっていることを、社内のコンプライアンス窓口に相談する事に抵抗がある場合は、直接労働基準監督署に相談しても問題はありません。
ただ、労働基準監督署はこのような紛争について、助言や指導は出来ますが、解決までを担当する機関ではありません。
職場以外のモラハラであれば、役所で開催している弁護士の法律相談に行くのが良いでしょう。
それでもダメなら弁護士へ相談
労働基準監督署への相談でも解決しない場合には、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士はこうした問題を数多く扱っていますので、適切なアドバイスをもらえるでしょう。ただ、相談の結果弁護士に解決を依頼する事にした場合、依頼人であるあなたを守るために弁護士は徹底的に闘うことになります。モラハラやパワハラが解決しても、その後会社に居づらくなってしまう可能性に考慮が必要です。
家庭内のモラハラであれば、弁護士に解決を依頼する事はかなり有益でしょう。ただこちらも、同居している相手に対し、同じ家のポストに弁護士からの内容証明郵便が届いたりしてしまうので、これまで以上に同じ家に住みづらくなる事は想定しておく事が大切です。
パワハラやモラハラの訴え方とは?
パワハラもモラハラも訴えるとなれば方法は同じです。「証拠を押さえて裁判にする」という方法ですが、パワハラやモラハラの証拠集めはとても難しいもの。しかも苦労して証拠を集めても、それが裁判上の証拠能力があるかどうかは分かりません。
こうした判断を自分でするのはまず無理なので、弁護士を通じて裁判をするのが良いでしょう。ただ、裁判に勝っても、慰謝料の相場は50~100万の間と言われており、弁護士費用を支払うと手元にはほとんど残らないというのが実情です。
訴えるのは最終手段と考えた方が良いでしょう。
パワハラの場合
訴えるとしても、いきなり訴えると相手は「いや、全くそんなつもりではなかった」と、とぼけられてしまうかも知れません。訴える前に、話しにくいでしょうが、「相手の言動を自分はパワハラだと捉えている」事を相手に伝えましょう。
それで態度が改善することもありますが、もし改められなければ、その相手を監督することの出来る上司や人事部に相談します。最近は社内コンプライアンスを厳しくする風潮が高まり、人事部に相談して解決する事も多いので、解決の糸口になるかも知れません。
それでも改善されない時には
・録音などの音声データ
・医師の診断を受けている場合は診断書
・パワハラを受けた日時と内容を記録したメモ
・同僚の証言
を揃えて弁護士に相談し、訴訟の準備を進めましょう。
証拠集めの中で、一番苦労するのは「同僚の証言」です。同僚は、自分の証言で自分自身が会社に居づらくなる事を恐れ、直前で証言を翻す可能性もあります。手堅く証言をしてくれる同僚を選ぶ事が重要でしょう。
モラハラの場合
モラハラも、基本的な流れはパワハラと同じですが、実際に裁判を起こして原告が勝訴した例も少なからずあります。以下の事例では一審で慰謝料297万円、その後企業と問題の上司が控訴し、控訴審では165万円に減額されて結審しました。
1 上司の度重なる暴言により原告はうつ病を発症
2 その為3ヶ月の休養を願い出た際に有休を使うよう指示された
3 3ヶ月休養するのであれば希望している異動はさせないと言われた
4 コンプライアンス室長に訴えたものの、問題の上司の行動改善には至らなかった
この一連の流れについて、うつ病を発症しながら証拠集めをしなければならなかったわけです。会社としては、裁判などで大事になるのは困るでしょうから、もみ消そうとする動きもあったかもしれません。
裁判に勝訴はしたものの、受けた被害に対して慰謝料の額は妥当なものなのか、という疑問は残ります。
似たような言葉、セクハラとは?
セクハラはセクシャルハラスメントの略で、異性に性的に不快な思いをさせる言動を繰り返し、拒否された腹いせに不利な査定を行ったりすることです。以前は男性が女性に対して行うセクハラがほとんどでしたが、近頃は女性の上司が部下の男性にセクハラをするパターンも増えています。このセクハラも、パワハラ同様、モラハラの一部分という位置づけです。
パワハラとモラハラの違いに応じた対策が大切
パワハラはモラハラの一部分であり、大きな意味ではモラハラそのものに対しての適切な対策が必要になりますが、訴えるという方法だけではなく、職場であれば配置換えの希望を出したり、思い切って転職するという方法もあります。そして家庭内のハラスメントであれば離婚するという選択肢もあるでしょう。これは決して逃げではなく、自分らしく生きるための一つの選択肢です。
裁判を起こしたとしても、かけた労力に対してそれほど報われるわけではなく、職場に居づらくなるなどの理不尽さが残り続ける結果になる事が多いので、配置換えや転職なども視野に入れつつ、弁護士と相談して最も納得のいく対策を講じるのが良いでしょう。