
パワハラの定義:職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える行為
パワハラは、立場の違いから生まれる上下の力関係を利用して、立場の弱い人に嫌がらせなどの精神的苦痛を与えるハラスメントの為、職場の上司から部下に対して起こりやすいと言えます。
しかし、少数ながら「部下から上司へのハラスメント」も存在するのです。「上下の力関係」とは、上から下に向けてのものとは限らない、という事ですね。仕事が出来ないと思われている上司に対して「指示が出されても聞こえないふりをする」「隣の課の課長ならすぐ対応してくれるのに」などと聞こえよがしに言う、などは上司に対する部下からのハラスメントと言えるでしょう。
モラハラの定義:道徳や倫理に反し精神的に苦痛を与える理不尽な嫌がらせ
モラハラは、必ずしも立場の上下関係があるとは限りません。夫が人前で妻の事を、妻として合格点が与えられるような家事をしていない、などと貶めたり、実際に妻に貶めるような言葉を浴びせたり、などはモラハラにあたります。 パワハラとのはっきりした違いは、身体的な暴力は伴わないという事です。暴力を伴うものはドメスティックバイオレンス(DV)に分類されます。
パワハラとモラハラの法律上の違い
パワハラとモラハラは、似ているようで似ていないものだという事が分かりましたが、法律上はどうなのでしょうか。監督官庁は同じなのでしょうか?
パワハラ→改正労働施策推進法が関与
令和2年6月1日に改正労働施策推進法が施行され、職場でのパワーハラスメント対策が義務化されました。この法律に罰則はありませんが、必要に応じて監督官庁である厚生労働省が勧告・指導することになっており、規定違反が改善されない場合は、企業名を公表できることになっています。
モラハラ→家庭内のモラハラであればDV防止法が関与
モラハラ独自の防止法はありません。職場内でのモラハラであれば、法律的にはパワハラと同じ意味のものとして扱われます。家庭内でのモラハラであればDV防止法の対象になり、行政に通報や保護制度を整えさせ、裁判所が保護命令を出すことも出来るのです。DV加害者には罰金や懲役などの刑事罰が科されることとなります。
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