この記事ではゼラチンと寒天の違いについてみていきます。2つとも料理のときに食品を固める凝固剤として使われていますね。一見どちらも違いがないように見えるが、成分や使い方、ダイエット効果など調べてみるといろいろ違いがあるみたいです。
今回はそんなお菓子作りには欠かせないゼラチンと寒天の違いを、専業主婦歴10年の料理好きライターささき葵と一緒に解説していきます。

ライター/ささき葵

料理やお菓子作りが好きな、子ども3人を育てる専業主婦。栄養の高さや身体によいという食品を、なんでも料理に取り入れている健康オタクでもある。

ゼラチンと寒天の違いは成分!

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料理の中でもお菓子作りによく使われるゼラチンと寒天は、食品を固める凝固剤として知られています。この2つの凝固剤はさまざまなレシピに登場しますが、一体何が違うのでしょうか。区別が難しいこの2つは、成分で見るとまったく違うものということがわかります。

ゼラチンは100%コラーゲン由来

ゼラチンの主成分は、牛や豚の皮や骨、腱などから抽出される動物性たんぱく質の一種です。この動物性たんぱく質のことを「コラーゲン」といい、熱により溶けたものがゼラチンといいます。肉や骨をじっくり煮込んだスープなどは、冷めるとプルンとしたかたまりのようなものができますが、あれはコラーゲンでありゼラチンということですね。

寒天はテングサなどの海藻由来

寒天の主成分は、テングサやオゴノリといった海藻からなる植物性の炭水化物です。それらの海藻を煮ることで出来たところてんを、凍結・乾燥させたものが寒天として凝固剤に使われるようになりました。主成分が植物性の炭水化物と言ってもそのほとんどが食物繊維でできていて、高い保水力があるのが特徴。

ゼラチンと寒天、ダイエット向きなのは?

ゼラチンと寒天はヘルシーなイメージがありますが、どちらがダイエットにむいているのでしょうか?ゼラチンと寒天100gあたりのカロリーと糖質を比べてみましょう。

・ゼラチン   カロリー:344キロカロリー/糖質:0g

・寒天     カロリー:0キロカロリー/糖質0g

カロリーだけで見るとゼラチンのほうが高いのでダイエットには不向きなように思いますが、実際は水100mlに使うゼラチンの量は2g程度です。カロリーにすると6キロカロリーくらいなので、低カロリーといえます。

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ゼラチンは身体をつくる重要な栄養素のかたまり

ゼラチンの主成分はコラーゲンで、良質なたんぱく質の一種です。コラーゲンといえば、美肌やツヤのある髪をつくるうえで女性にとっては欠かせない成分ですが、骨や血管などのにも多く含まれています

身体をつくるうえで重要な栄養素でありながら低カロリーなので、糖質を抑えたゼリーなどを手作りすれば、ダイエット中にもスイーツを食べることができますね。

寒天は食物繊維たっぷりでダイエット効果がある

寒天の主成分は炭水化物です。炭水化物は糖質+食物繊維からできていて、寒天の糖質は0gなのですべてが食物繊維ということ。寒天は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2つを含んでいます。

水溶性食物繊維は満腹感が持続し、糖の吸収をゆるやかにするので血糖値の上昇を抑える効果が。不溶性食物繊維は保水力が高く、腸で水分を吸収して膨らむことで刺激となり、便通を促進します。これらの働きから、寒天はダイエットに向いていると言えるでしょう。

ゼラチンと寒天の食感は?

ゼラチンと寒天は2つとも食品をゲル化するため、ゼリー状に固まった見た目は似ていますよね?見た目ではなかなか区別が難しいですが、食感の違いや特徴などはあるのでしょうか。

ゼラチンはプルンとして口どけが良い

ゼラチンは弾力性と粘性委があり、とてもやわらかくプルンとした食感です。体温で溶けてしまうので口どけがよいのも特徴の一つ。泡を保有する力があるため、マシュマロやムースなどのふわっとしたスイーツにも使われています。

寒天は歯切れがよくほろっとくずれる

寒天はしっかりと固まるので歯切れがよく、口の中では溶けずほろっとくずれるような食感です。透明感や弾力性はあまりありません。凝固力が強く型から外しても形を維持するので、羊かんや杏仁豆腐などに使われています。

ゼラチンと寒天は料理にどう使い分ける?

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ゼラチンはぷるんとやわらかく、寒天はしっかりとした歯切れのよい食感をしていることがわかりましたが、実際に料理に使う際はどのように使い分けているのでしょうか?一般的に使われることが多いデザートやほかの活用法についてみていきましょう。

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ゼリーやムースなど洋菓子にはゼラチン

まずは、ゼラチンを使ったデザートにはどのような種類があるのかを見ていきましょう。

〈ゼラチンを使ったデザート〉
・ゼリー
・ムース
・プリン
・ババロア
・マシュマロ
・レアチーズケーキ
・パンナコッタ

ゼラチンといえばやはりゼリーというイメージではないでしょうか。ぷるぷるでツヤと透明感があるので、ぶどうやみかんなどの果物入りのゼリーによく使われています。

その他のデザートを見ても、洋菓子が多いことが分かりますね。洋菓子は牛乳や生クリームを使うことが多く、同じ動物性たんぱく質のゼラチンの動物独特の香りをカバーしてくれるので、とても相性がいいと言えます。

他の活用法としてスープや温かい飲み物に入れてとろみを加えたり、ハンバーグに入れて焼くと保水力により肉汁を閉じ込めてふっくらジューシーに仕上がりますよ。また、お米にゼラチンを入れて炊くことで、ご飯がコーティングされてつぶ感が引き立ち美味しくいただけるそう。

羊かんやところてんなど和菓子には寒天

次に、寒天を使ったデザートの種類についても見ていきましょう。

〈寒天を使ったデザート〉
・羊かん
・杏仁豆腐
・ところてん
・牛乳かん
・あんみつ

寒天といえば水や砂糖を入れて固めたのもに、黒蜜やあんこを合わせて食べるあんみつが定番ではないでしょうか。他にも羊かんなどの和菓子によく使われています。

ところてんのイメージもありますが、寒天の原材料でもあるテングサを煮詰めて作ったものがところてんです。それを冷凍・乾燥させたものが寒天になるのですが、簡単にところてんを楽しむ方法として寒天からつくるところてんのレシピもありますので、試してみるのもいいですね。

他の活用法として、ドレッシングやポン酢をジュレ状にしたものを食材にかければ、オシャレな上にこぼれにくく口の中で溶けて美味しく味わうことができますよ。

\次のページで「ゼラチンと寒天を調理するときのコツ」を解説!/

ゼラチンと寒天を調理するときのコツ

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ゼラチンと寒天の相性のいい使い方をご紹介してきましたが、実際に溶かし固める時のコツや注意点などはあるのでしょうか?失敗せずに作る方法を知っておきましょう。

ゼラチンは沸騰させない

ゼラチンの種類は主に板ゼラチン・粉ゼラチンがあります。ここではスーパーで買えてふやかす手間のかからない粉ゼラチンでみていきましょう。

粉ゼラチンを溶かすコツは、沸騰させないということです。ゼラチンは熱に弱いため、沸騰した液体に入れるとうまく固まらない原因になります。溶かす際は液体を沸騰させず、50℃~60℃にしてよく溶かしましょう

また、生のパイナップルやキウイ・柑橘系のフルーツを使う際は少し注意が必要です。これらのフルーツに含まれるたんぱく質分解酵素が、ゼラチンが固まるのを邪魔してしまいます。生のフルーツは加熱をするか、すでに加熱処理のされている缶詰を使うといいですね。

寒天は沸騰させる

寒天の種類は主に棒寒天・糸寒天・粉寒天があります。こちらもスーパーで買えてふやかす手間のかからない粉寒天でみていきましょう。

粉寒天を溶かすコツは、沸騰させるということです。寒天は90℃以上で溶けていくので、水に粉寒天を入れてよく混ぜてから火にかけ煮溶かします。沸騰してから2分間は火からおろさずにかき混ぜることで、寒天がしっかりと溶けてダマになりません。

酸性の強いジュースなどを合わせる時は、一緒に煮立てるとうまく固まらないことがあるので、水に入れた寒天が溶けて粗熱が取れてから加えるようにしましょう。

ゼラチンと寒天はそれぞれ代用できる?

ゼラチンか寒天かのどちらかしか買い置きがない時、それぞれ代用は可能なのでしょうか?それは作るものによって変わってきます。

ゼラチンのプルっと口どけの良い食感は、寒天ではなかなか出せないでしょう。しかし、ゼリーなら寒天の量を少なめにすればやわらかめな寒天ゼリーとして楽しめるはずです。

寒天のほろっとくずれる食感は、ゼラチンでは表せません。ゼラチンの量を多くしてしっかり目のかたさにしても、食感は変わるため別のものになります。

私はゼラチンと寒天を間違えて買ってきた時、ゼラチンを沸騰させて固まらなかったことがありました。2つとも同じ棚で売られていることも多いので、購入する時は間違えないように!代用するときも溶かす温度に注意しましょう。

似たような商品、アガーとは?

アガーとは海藻を原材料とする植物性の凝固剤で、透明感がとても高くゼラチンのようなぷるんとした食感があります。光沢感・透明感があり無味無臭なことから、食材の味を邪魔しないと近年人気の高い凝固剤です。ゼラチンと比べても常温でも溶けないのが使いやすく、ゼラチンと寒天の間くらいの食感を出したい時に試してみるのもいいですね。

ゼラチンと寒天の特徴を知って、上手に使い分けよう

ゼラチンと寒天は同じ凝固剤として知られていますが、原料や特徴に違いがあることが分かりました。ダイエット中にも活用でき、デザート以外の料理にも使えるので、それぞれに相性のよい調理法で上手に使い分けてみましょう。食感の違いを利用した新しいレシピを考えてみれば、料理の幅も広がり楽しめるのではないでしょうか。

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雑学食べ物・飲み物

3分で分かるゼラチンと寒天の違い!ダイエット向きなのはどっち?アガーとは?成分や代用品を専業主婦歴10年の料理好きライターがわかりやすく解説

ゼリーやムースなど洋菓子にはゼラチン

まずは、ゼラチンを使ったデザートにはどのような種類があるのかを見ていきましょう。

〈ゼラチンを使ったデザート〉
・ゼリー
・ムース
・プリン
・ババロア
・マシュマロ
・レアチーズケーキ
・パンナコッタ

ゼラチンといえばやはりゼリーというイメージではないでしょうか。ぷるぷるでツヤと透明感があるので、ぶどうやみかんなどの果物入りのゼリーによく使われています。

その他のデザートを見ても、洋菓子が多いことが分かりますね。洋菓子は牛乳や生クリームを使うことが多く、同じ動物性たんぱく質のゼラチンの動物独特の香りをカバーしてくれるので、とても相性がいいと言えます。

他の活用法としてスープや温かい飲み物に入れてとろみを加えたり、ハンバーグに入れて焼くと保水力により肉汁を閉じ込めてふっくらジューシーに仕上がりますよ。また、お米にゼラチンを入れて炊くことで、ご飯がコーティングされてつぶ感が引き立ち美味しくいただけるそう。

羊かんやところてんなど和菓子には寒天

次に、寒天を使ったデザートの種類についても見ていきましょう。

〈寒天を使ったデザート〉
・羊かん
・杏仁豆腐
・ところてん
・牛乳かん
・あんみつ

寒天といえば水や砂糖を入れて固めたのもに、黒蜜やあんこを合わせて食べるあんみつが定番ではないでしょうか。他にも羊かんなどの和菓子によく使われています。

ところてんのイメージもありますが、寒天の原材料でもあるテングサを煮詰めて作ったものがところてんです。それを冷凍・乾燥させたものが寒天になるのですが、簡単にところてんを楽しむ方法として寒天からつくるところてんのレシピもありますので、試してみるのもいいですね。

他の活用法として、ドレッシングやポン酢をジュレ状にしたものを食材にかければ、オシャレな上にこぼれにくく口の中で溶けて美味しく味わうことができますよ。

\次のページで「ゼラチンと寒天を調理するときのコツ」を解説!/

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