今回は「白滝」と「糸こんにゃく」の違いについて解説していきます。おでんや煮物でおなじみの食材です。子供の頃、おつかいで「白滝」を頼まれて買いに行ったら「糸こんにゃく」しか売ってなくて困ったことはないか?両者は見た目も食感も同じで、一体どこが違うのか意外と知られていない。この記事では、そんな両者の違いとその歴史について、雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、料理や食材の歴史にも詳しい。

白滝と糸こんにゃくの違いをざっくり解説

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まずは、白滝と糸こんにゃくの違いをざっくり解説。両者の違いはズバリ製造法と地域性にあります。

白滝:こんにゃくを、穴の開いた筒から押し出して作るもの

「白滝」は関東地方で生まれた呼び名です。こんにゃくを穴の開いた筒に入れて、それを押し出すことで作られていました。筒から押し出される時の様子が白い滝のように見えたことから、「白滝」と名付けられたのです。

糸こんにゃく:こんにゃくを、紐のように細かく刻んだもの

「糸こんにゃく」は関西地方の呼び名です。こんにゃくを紐のように細く刻んだものをこう呼んでいました。

白滝と糸こんにゃくは実は同じ原料からできている?

白滝と糸こんはこんにゃくの加工品。つまり原料も材料も同じで、現代は製造法も同じです。つまり、もはや違っているのは名前だけということになります。

白滝と糸こんにゃくの原料は「こんにゃく芋」

このように「白滝」と「糸こんにゃく」は、どちらもこんにゃくの加工品で、原料は同じ「こんにゃく芋」です。

こんにゃく芋をすりつぶしたもの、あるいは粉末状にしたものを水に溶かし、凝固剤の水酸化カルシウムを加えて固めれば「こんにゃく」ができます。これを紐のように細く加工すれば、白滝あるいは糸こんにゃくになるのです。

今ではどちらも製法は同じで、ともに穴の開いた容器から押し出して作ります。よって白滝と糸こんにゃくは名前以外に明確な違いはありません。

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白滝と糸こんにゃくの歴史は?

「白滝」と「糸こんにゃく」という異なる呼び名が生まれたのは、江戸時代にこんにゃくの加工法と保存法が発見されたことがきっかけでした。

原料である「こんにゃく」の歴史

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それでは、「白滝」と「糸こんにゃく」がそれぞれ違う名前で呼ばれるようになるまでどんな経緯があったのでしょうか。それを知るために、原料であるこんにゃくの歴史を紐解いてみましょう。

日本の歴史上、初めて「蒟蒻(こんにゃく)」という名前が文献の中で書かれたのは平安時代のことです。また鎌倉時代は寺のお坊さんの食べ物として、そして江戸代には便秘に効く薬として食べられていました。

白滝と糸こんにゃくが生まれたのは江戸時代

ところが、こんにゃくには欠点もありました。原料のこんにゃく芋はアクが強く、素手で触れるとかぶれることもあります。しかも日持ちしないことから、気軽に扱うことができませんでした。

で、江戸時代になって「こんにゃくを粉末状にする」という加工法が発見されます。この発見によりこんにゃく芋を素手で触ることが減り、保存もきくようになりました。こうしてこんにゃく料理は全国に普及します。そして関東と関西で、それぞれ独自の製法による「白滝」と「糸こんにゃく」が生まれたのです。

白滝と糸こんにゃくは料理で使い分けるべき?

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以上のことから、白滝と糸こんにゃくは歴史的にも名前が違うだけで同じものだということが分かります。よって、料理の材料としてはどちらを使っても違いはありません。

こんにゃくは低カロリーで、和食・洋食・中華のいずれの味付けにも合わせやすい食材です。しかも細く刻まれていれば汁や油も絡みやすく、麺の代用品としても使えます。使い分けどころか、逆に何にでも使用できる食材だと言えるでしょう。

白滝と糸こんにゃくのおすすめレシピを紹介!

白滝・糸こんにゃくは値段も手頃で、料理に加えればボリュームも増す上にダイエットにも最適の食材。これを活用して簡単に作れるレシピを2つご紹介します。

\次のページで「1.たらこ白滝」を解説!/

1.たらこ白滝

たらこ白滝は、たらこと白滝を和えた和食レシピです。ヘルシーな白滝ですが、たらこと和えることで満足感が感じられます。まるでたらこパスタのような感覚で食べられて、ダイエットにもぴったり。

1・白滝を水で洗って食べやすく切り、湯通しして水けを切っておく。

2・フライパンにゴマ油を熱し、白滝をかるく炒める。

3・たらこの中身を加えて、白くなるまで炒め合わせる。

4・器に盛って、刻んだねぎをちらす。

2.白滝と人参のきんぴら

白滝と人参のきんぴらは、常備食材の人参と白滝を甘辛く味付けて炒めた料理。作り方はシンプルなのでお弁当のおかずに困った時の一品としても便利です。

1・白滝を水で洗って食べやすく切り、湯通しして水けを切っておく。

2・人参を4~5㎝の長さの千切りにしておく。

3・フライパンにゴマ油を熱し、白滝と人参を炒める。

4・しょうゆみりん砂糖一味唐辛子で味付けする。

5・器に盛って白ごまをふる。

「白滝」「糸こんにゃく」は関東・関西の呼び方の違い

「白滝」と「糸こんにゃく」は、それぞれもとを辿れば関東と関西の呼び名だと分かりました。材料であるこんにゃくの加工方法が異なっていたため呼び名も違うものになったのです。しかし今では製造法も同じなので、かつての呼び名の違いも今では商品名の違いでしかありません。

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白滝と糸こんにゃくは名前が違うだけで、食べ物としては同じ

かつて「白滝」と「糸こんにゃく」は、製造法の違いのため異なる名前で呼ばれていました。しかし今では明確な違いはなく、ただ昔の呼び名が残っているだけです。普段、名前が違う理由など意識することがないおなじみの食材ですが、原料のこんにゃくの歴史を踏まえて食べてみると、また違った味わいがありそうですね。

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実は原料は同じ?白滝と糸こんにゃくの違い!呼び方や歴史、おすすめレシピなどを雑学好きライターがわかりやすく解説

今回は「白滝」と「糸こんにゃく」の違いについて解説していきます。おでんや煮物でおなじみの食材です。子供の頃、おつかいで「白滝」を頼まれて買いに行ったら「糸こんにゃく」しか売ってなくて困ったことはないか?両者は見た目も食感も同じで、一体どこが違うのか意外と知られていない。この記事では、そんな両者の違いとその歴史について、雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、料理や食材の歴史にも詳しい。

白滝と糸こんにゃくの違いをざっくり解説

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まずは、白滝と糸こんにゃくの違いをざっくり解説。両者の違いはズバリ製造法と地域性にあります。

白滝:こんにゃくを、穴の開いた筒から押し出して作るもの

「白滝」は関東地方で生まれた呼び名です。こんにゃくを穴の開いた筒に入れて、それを押し出すことで作られていました。筒から押し出される時の様子が白い滝のように見えたことから、「白滝」と名付けられたのです。

糸こんにゃく:こんにゃくを、紐のように細かく刻んだもの

「糸こんにゃく」は関西地方の呼び名です。こんにゃくを紐のように細く刻んだものをこう呼んでいました。

白滝と糸こんにゃくは実は同じ原料からできている?

白滝と糸こんはこんにゃくの加工品。つまり原料も材料も同じで、現代は製造法も同じです。つまり、もはや違っているのは名前だけということになります。

白滝と糸こんにゃくの原料は「こんにゃく芋」

このように「白滝」と「糸こんにゃく」は、どちらもこんにゃくの加工品で、原料は同じ「こんにゃく芋」です。

こんにゃく芋をすりつぶしたもの、あるいは粉末状にしたものを水に溶かし、凝固剤の水酸化カルシウムを加えて固めれば「こんにゃく」ができます。これを紐のように細く加工すれば、白滝あるいは糸こんにゃくになるのです。

今ではどちらも製法は同じで、ともに穴の開いた容器から押し出して作ります。よって白滝と糸こんにゃくは名前以外に明確な違いはありません。

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