この記事では「明日の百より今日の五十」について解説する。

端的に言えば明日の百より今日の五十の意味は「あてにならないものに期待するより少なくても確実なもののほうがよい」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

漢検準一級を保有しており言葉に詳しいたきじを呼んです。一緒に「明日の百より今日の五十」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/たきじ

国立大学卒、漢検準一級保有のライター。高校時代の得意科目は国語と英語。漢字の意味やことわざ、熟語が好きで新しい言葉を覚えるのが得意。

「明日の百より今日の五十」の意味や語源・使い方まとめ

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「明日の百より今日の五十」ということわざをご存知でしょうか。見た感じでなんとなくは意味を想像できそうなことわざですが、由来などについてはイメージしにくいですよね。実はとてもすばらしい意味を持ったことわざなのです。それでは早速「明日の百より今日の五十」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「明日の百より今日の五十」の意味は?

「明日の百より今日の五十」には、次のような意味があります。

1.あてにならないものに期待するより、たとえ少なくても確実なものの方がよいということ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「明日の百より今日の五十」

「明日の百より今日の五十」の読み方は「あすのひゃくよりきょうのごじゅう」です。明日もらえるかもしれない百両よりも今日確実に手に入る五十両を受け取る方が堅実であるということから、あてにならないものに期待するよりたとえ少なくても確実なものの方がよいということを意味しています。

「明日の百より今日の五十」の語源は?

次に「明日の百より今日の五十」の語源を確認しておきましょう。

「明日の百より今日の五十」における「百」や「五十」は江戸時代の通貨単位である「百両」「五十両」を表しています。現代の円に換算すると米価で一両約四万円ほどなのでかなりの額だということがわかりますね。五十両でも充分だと感じますが、もらえるかわからない百両よりも確実に手に入る五十両をとる方が堅実だということを表現しています。

\次のページで「「明日の百より今日の五十」の使い方・例文」を解説!/

「明日の百より今日の五十」の使い方・例文

「明日の百より今日の五十」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.明日の百より今日の五十というように、来年には株価がさらに上がるかもしれないが今年のうちに売っておいた方が確実に利益になるだろう。
2.あなたは堅実に仕事をするタイプなので、一攫千金のような不確実な選択肢はとらないだろう。まさに明日の百より今日の五十を体現している。
3.未来のことは誰にもわからないのだから、明日の百より今日の五十というように高望みはせず現実的に物事を判断していこう。

例文のように「明日の百より今日の五十」はあてにならないものに期待するより少なくても確実なものの方がよいことを表す場合に用いられることわざです。例文1~3でそれぞれ文頭、文中、文末で用いていますが、文章的によければどこで用いても問題ありません。

文脈に応じて最適な箇所を見つけて使っていきましょう。

「明日の百より今日の五十」の類義語は?違いは?

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次に「明日の百より今日の五十」の類義語やその違いについて見ていきましょう。

その1「聞いた百文より見た一文」

「聞いた百文より見た一文」(きいたひゃくもんよりみたいちもん)人から百文の値打ちがあると聞かされるよりも自分の目で見た方が価値があることを意味することわざです。有名なことわざ「百聞は一見に如かず」と同義なのでイメージしやすいでしょう。

「明日の百より今日の五十」とは若干ニュアンスが異なっていますが、大方の意味は同じなので類義語として覚えておきましょう。

\次のページで「その2「死しての千年より生きての一日」」を解説!/

その2「死しての千年より生きての一日」

「死しての千年より生きての一日」(ししてのせんねんよりいきてのいちにち)死んでからの千年より生きているうちの一日の方が大切だということを意味することわざです。生きていることがどれほど素晴らしいことかよくわかることわざですね。

その3「末始終より今の三十」

「末始終より今の三十」(すえしじゅうよりいまのさんじゅう)将来多く得るよりも現在少しでも手にする方がよいということを表すことわざです。「明日の百より今日の五十」と同義で、こちらの方がより時間的な規模が大きいことがわかります。意味としては一緒なので文章的にどちらの方が適切か考えて用いるようにしましょう。

「明日の百より今日の五十」の対義語は?

次に「明日の百より今日の五十」の対義語を見ていきましょう。

「運否天賦」

「運否天賦」(うんぷてんぷ)運をすべて天に任せることを意味する四字熟語です。「明日の百より今日の五十」は不確定なものをあてにするより確実なものの方がよいことを意味するので、不確定でもすべて天に任せるという意味の「運否天賦」が対義語としてふさわしいでしょう。

 

「明日の百より今日の五十」の英訳は?

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最後に「明日の百より今日の五十」の英語訳を見ていきましょう。

その1「Better an egg today than a hen tomorrow」

henは「メスのニワトリ」を意味する単語で、英文全体では「明日のニワトリよりも今日の卵の方がよい」となり「明日の百より今日の五十」と同じ意味を表します。英語でのことわざ的な表現になるので押さえておきましょう。

\次のページで「その2「A bird in the hand is worth two in the bush」」を解説!/

その2「A bird in the hand is worth two in the bush」

bushは「茂み」を意味する単語で、英文全体で「手に入れた一羽の鳥は茂みの中にいる二羽よりも価値がある」となります。少なくても実際に手に入れたものに価値があることを表すので「明日の百より今日の五十」の英訳としてぴったりです。

「明日の百より今日の五十」を使いこなそう

この記事では「明日の百より今日の五十」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しておきましょう。「明日の百より今日の五十」はあてにならないものに期待するより少なくても確実なものの方がよいことを意味することわざです。類義語では「聞いた百文より見た一文」「死しての千年より生きての一日」「末始終より今の三十」を紹介しました。

高ぶった自分に冷静さを取り戻させてくれるポジティブなことわざですよね。ギャンブルや投資などにおいて少しでも大きな利益を得られそうになるとどうしても欲が出てしまうものですが、そのようなときはこのことわざをぜひ思い出してみましょう。

私自身ギャンブルはしないですが、生活の中で楽に利益を出せるものに目がくらんでしまいそうになるのでしっかりと「明日の百より今日の五十」を頭に入れて行動していこうと思います。この記事が皆さんの参考になれば幸いです。

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国語言葉の意味

【ことわざ】「明日の百より今日の五十」の意味や使い方は?例文や類語を漢検準一級ライターがわかりやすく解説!

この記事では「明日の百より今日の五十」について解説する。

端的に言えば明日の百より今日の五十の意味は「あてにならないものに期待するより少なくても確実なもののほうがよい」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

漢検準一級を保有しており言葉に詳しいたきじを呼んです。一緒に「明日の百より今日の五十」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/たきじ

国立大学卒、漢検準一級保有のライター。高校時代の得意科目は国語と英語。漢字の意味やことわざ、熟語が好きで新しい言葉を覚えるのが得意。

「明日の百より今日の五十」の意味や語源・使い方まとめ

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「明日の百より今日の五十」ということわざをご存知でしょうか。見た感じでなんとなくは意味を想像できそうなことわざですが、由来などについてはイメージしにくいですよね。実はとてもすばらしい意味を持ったことわざなのです。それでは早速「明日の百より今日の五十」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「明日の百より今日の五十」の意味は?

「明日の百より今日の五十」には、次のような意味があります。

1.あてにならないものに期待するより、たとえ少なくても確実なものの方がよいということ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「明日の百より今日の五十」

「明日の百より今日の五十」の読み方は「あすのひゃくよりきょうのごじゅう」です。明日もらえるかもしれない百両よりも今日確実に手に入る五十両を受け取る方が堅実であるということから、あてにならないものに期待するよりたとえ少なくても確実なものの方がよいということを意味しています。

「明日の百より今日の五十」の語源は?

次に「明日の百より今日の五十」の語源を確認しておきましょう。

「明日の百より今日の五十」における「百」や「五十」は江戸時代の通貨単位である「百両」「五十両」を表しています。現代の円に換算すると米価で一両約四万円ほどなのでかなりの額だということがわかりますね。五十両でも充分だと感じますが、もらえるかわからない百両よりも確実に手に入る五十両をとる方が堅実だということを表現しています。

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