この記事では「禁断の木の実」について解説する。

端的に言えば禁断の木の実の意味は「触れてはならない魅惑」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

絵本から専門書まで読み漁る本の虫、シクロを呼んです。一緒に「禁断の木の実」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/シクロ

絵本から専門書まで読み漁る本の虫。塾講師の経験もあり、難関校への合格実績も多数。

本という物質があれば誘蛾灯に引き寄せられる羽虫のごとく読み漁りたくなる禁断症状を抱えている。

「禁断の木の実」の意味や語源・使い方まとめ

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皆さんにはどうしても誘惑にあらがえず、手を付け始めたら驚くほどの時間を熱中してしまうようなものはあるでしょうか。自身にそういったご経験がある方も、周囲にそういった方がいらっしゃる方も、本日ご一緒させていただくこの言葉を憶えていただければと思います。

それでは早速「禁断の木の実」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「禁断の木の実」の意味は?

「禁断の木の実」には、次のような意味があります。

1.一度始めるとやめられなくなるので、してはならないとされる魅惑的な快楽のたとえ。

出典:用例でわかることわざ辞典(学研出版)「禁断の木の実(きんだんのこのみ)」

皆さんの好きなものは何でしょうか。スポーツ観戦、食事、旅行にゲームなど、人それぞれに好きなものがあることでしょう。かく言う筆者も読書を趣味としており、気が付けば食事も忘れていることもしばしばです。

しかし、「禁断の木の実」は禁止されており手を出してはいけないにもかかわらず、大きな魅力を持っているものを指します。例えば麻薬と言ったものがある意味では該当するでしょうか。禁止されているにもかかわらずなぜ魅力的なのか、と疑問に思う方もいらっしゃることでしょう。実はこれには人間の心理が大きく影響しています。

というのも、人間は「禁止されたものほど手を出したくなる」という性質を備えているからです。有名なシェイクスピアの作品に「ロミオとジュリエット」という作品がありますが、この作品に代表されるように禁断の恋が燃え上がるのもこの心理的傾向が大きく左右しています。人は小説を読むときは大抵の場合、登場人物の誰かに感情移入することからも、こうした作品が爆発的人気を誇る理由として人間の禁忌への渇望が垣間見えますね。

「禁断の木の実」の語源は?

次に「禁断の木の実」の語源を確認しておきましょう。

禁断の木の実とは旧約聖書の創世記に登場します。人類の父と母たるアダムとイブは神様から与えられたパラダイスであるエデンの園に住んでいました。人間はアダムとイブの二人だけです。ここには一本の木が生えており、そこには果実が実ります。しかし、神様はアダムとイブにその実を決して食べないように言いつけました。何を隠そう、その果実は知恵の実であり、食べたものに知識を授けるまさに禁断の果実だったのです。

アダムとイブは当然神の言いつけを守っていました。しかし、楽園に住む蛇がそそのかし、ある日アダムはその果実をたべてしまうのです。そして約束を破った代償として楽園を追放され、長い時を経て我々子孫が今この大地で暮らしています。ちなみにこの果実はリンゴであるという解釈が多いです。

\次のページで「「禁断の木の実」の使い方・例文」を解説!/

「禁断の木の実」の使い方・例文

「禁断の木の実」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.麻薬やギャンブルは禁断の木の身だ
2.田中さんはバンジージャンプを体験してからというもの、あらゆる絶叫マシーンやスカイダイビングなどを体験しているらしい。スリルは田中さんにとって禁断の木の実だったようだ。

禁断の木の実とは手を出してはいけない禁断のものという意味を持っています。

例文1ではそのまま、基本的に社会で禁止されており、容量や用法を間違えれば身を滅ぼすようなものです。尚、一部の国や地域では豪放な場合もありますので、その点は注意しておきましょう。

例文2では、法律などで禁止されているわけではないものの、本人にとっては強力な快楽として存在し、一度手を付ければ戻ってこられないもの、として比喩的に禁断の木の実という言葉が使われています

「禁断の木の実」の類義語は?違いは?

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「禁断の木の実」の意味は「触れてはならないとされている快楽」でした。この類義語と聞いて皆さんの頭の辞書からはどのような言葉が出てきましたか。

それでは類義語を確認しましょう。

「パンドラの箱」

「禁断の木の実」の類義語として「パンドラの箱」が挙げられます。

「パンドラの箱」とはこちらも神話に登場するもので、開けてしまうと大いなる災いをもたらすものです。ここから派生して「絶対に触れてはならないもの」という意味があるため、この意味での類義語と言えるでしょう。それにしても知恵を授ける禁断の木の実といい、神話にはスケールの大きなものが多く登場して面白いものですね。

\次のページで「「禁断の木の実」の対義語は?」を解説!/

「禁断の木の実」の対義語は?

「禁断の木の実」の意味は十分に憶えられたでしょうか。その意味を踏まえて対義語を考えた際、皆さんにはどのような言葉が浮かびましたか。

それでは対義語を確認しましょう。

「三寸之轄」

「禁断の木の実」の対義語として「三寸之轄(さんずんのかつ)」が挙げられます。

禁断の木の実の意味が触れてはならないものだったことから、対義語の意味をなくしてはならない必要不可欠なものと捉えた場合に「三寸之轄」という言葉がうってつけです。三寸とは昔の長さの単位で9センチメートル程度であり、轄とは釘を指します。つまり「三寸之轄」とは三寸釘のことです。しかし、このように小さいものであっても建物などから抜けてしまえば壊れてしまうことから、必要不可欠なものという意味を持ちます。

「禁断の木の実」の英訳は?

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禁断の木の実は触れてはならない快楽を指す言葉でした。その英語訳は一体どのようなものでしょうか。

それでは英語訳を確認しましょう。

「the forbidden fruit」

「禁断の木の実」の英語訳は「the forbidden fruit」です。そのまま直訳された英語になっています。

といいますが、実はこれは全くの逆です。そもそも禁断の果実の出典は旧約聖書でした。つまり、もともと日本のものではなかったことから、外国の言葉を日本語に直したものが最初になります。時代や文化を超えて日本に言葉として根付くというところになんとも言えない感慨深いものを感じますね。

「禁断の木の実」を使いこなそう

この記事では「禁断の木の実」の意味・使い方・類語などを説明しました。

禁断の果実はリンゴだという説はよく耳にしますが、そう思ってリンゴを食べるとなんだか頭が良くなったような気分になれるものです。これは気分的なものですが、果物一つ食べる場合にもこうした知識を持って食べるだけでも普段と違った味わい方ができますよ。そんなことをしたら変な行動をしていると思われると不安になるかもしれませんが、世の中の偉大な人は変人ばかりだ、と開き直るのも一興です。

それでは、良い言葉の日々を。

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【ことわざ】「禁断の木の実」の意味や使い方は?例文や類語を超読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「禁断の木の実」について解説する。

端的に言えば禁断の木の実の意味は「触れてはならない魅惑」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

絵本から専門書まで読み漁る本の虫、シクロを呼んです。一緒に「禁断の木の実」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/シクロ

絵本から専門書まで読み漁る本の虫。塾講師の経験もあり、難関校への合格実績も多数。

本という物質があれば誘蛾灯に引き寄せられる羽虫のごとく読み漁りたくなる禁断症状を抱えている。

「禁断の木の実」の意味や語源・使い方まとめ

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皆さんにはどうしても誘惑にあらがえず、手を付け始めたら驚くほどの時間を熱中してしまうようなものはあるでしょうか。自身にそういったご経験がある方も、周囲にそういった方がいらっしゃる方も、本日ご一緒させていただくこの言葉を憶えていただければと思います。

それでは早速「禁断の木の実」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「禁断の木の実」の意味は?

「禁断の木の実」には、次のような意味があります。

1.一度始めるとやめられなくなるので、してはならないとされる魅惑的な快楽のたとえ。

出典:用例でわかることわざ辞典(学研出版)「禁断の木の実(きんだんのこのみ)」

皆さんの好きなものは何でしょうか。スポーツ観戦、食事、旅行にゲームなど、人それぞれに好きなものがあることでしょう。かく言う筆者も読書を趣味としており、気が付けば食事も忘れていることもしばしばです。

しかし、「禁断の木の実」は禁止されており手を出してはいけないにもかかわらず、大きな魅力を持っているものを指します。例えば麻薬と言ったものがある意味では該当するでしょうか。禁止されているにもかかわらずなぜ魅力的なのか、と疑問に思う方もいらっしゃることでしょう。実はこれには人間の心理が大きく影響しています。

というのも、人間は「禁止されたものほど手を出したくなる」という性質を備えているからです。有名なシェイクスピアの作品に「ロミオとジュリエット」という作品がありますが、この作品に代表されるように禁断の恋が燃え上がるのもこの心理的傾向が大きく左右しています。人は小説を読むときは大抵の場合、登場人物の誰かに感情移入することからも、こうした作品が爆発的人気を誇る理由として人間の禁忌への渇望が垣間見えますね。

「禁断の木の実」の語源は?

次に「禁断の木の実」の語源を確認しておきましょう。

禁断の木の実とは旧約聖書の創世記に登場します。人類の父と母たるアダムとイブは神様から与えられたパラダイスであるエデンの園に住んでいました。人間はアダムとイブの二人だけです。ここには一本の木が生えており、そこには果実が実ります。しかし、神様はアダムとイブにその実を決して食べないように言いつけました。何を隠そう、その果実は知恵の実であり、食べたものに知識を授けるまさに禁断の果実だったのです。

アダムとイブは当然神の言いつけを守っていました。しかし、楽園に住む蛇がそそのかし、ある日アダムはその果実をたべてしまうのです。そして約束を破った代償として楽園を追放され、長い時を経て我々子孫が今この大地で暮らしています。ちなみにこの果実はリンゴであるという解釈が多いです。

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