この記事では「海波を揚げず」について解説する。

端的に言えば海波を揚げずの意味は「平和であること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

絵本から専門書まで読み漁る本の虫、シクロを呼んです。一緒に「海波を揚げず」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/シクロ

絵本から専門書まで読み漁る本の虫。塾講師の経験もあり、難関校への合格実績も多数。

最近は過ごしやすい日には本を入れたショルダーバッグを小脇に抱え、自然豊かな場所で読書することを楽しむ。昆虫や動物の視線を感じれば、逆にそれを観察して休憩する。

「海波を揚げず」の意味や語源・使い方まとめ

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皆さんのお気に入りのお休みの過ごし方はどのようなものでしょうか。休日は積極的に外に出かけ、山でキャンプをしたりサーフボード片手にビーチへ繰り出す方もいれば、家の中でお気に入りの書籍や映画を楽しむ方もいらっしゃるでしょう。特に静かに過ごす時は穏やかな気持ちになることと思います。今回ご紹介する言葉はまさにそんな穏やかな時に使える言葉でしょう。

それでは早速「海波を揚げず」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「海波を揚げず」の意味は?

「海波を揚げず」には、次のような意味があります。

1.天下が治まって穏やかであることのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「海波を揚げず(うみなみをあげず)」

皆さんが平和を感じる場面はどのような時でしょうか。少年少女が元気に走り回る声を遠くに聞く昼下がり、はたまた少し奮発して人気のお店でおいしいものを食べている時など、ブレイクタイムの過ごし方は人によってまちまちでしょう。

目まぐるしい現代とはよく言われることではありますが、乳幼児死亡率が現代に比べて高かった時代や戦乱の時代などを思うに、日本では身近に諍いがないという点でとても平和と言えるかもしれません。多少忙しい日々はあれど、思い思いの時間を過ごす自由とゆとりがある時間が続けばいいと願うばかりです。

そしてこのような平和な世の中を表す言葉が、「海波を揚げず」であり、海が波を立てないほど穏やかである様子を表しています。

「海波を揚げず」の語源は?

次に「海波を揚げず」の語源を確認しておきましょう。

海波を揚げずの出典は『韓詩外伝』の五に登場する「海不揚波」という言葉を由来とします。この『韓詩外伝』とは中国の古代説話集で、故事や逸話を「詩経」の詩句と関連付けて開設したものです。古典というとタイトルだけで難しいと感じてしまったり、中々スタンスが合わないという方もいらっしゃるかもしれませんが、優しい言葉に直した書籍も多く存在します。向き不向きは確かにありますが、物は試しとして手を出してみてはいかがでしょうか

\次のページで「「海波を揚げず」の使い方・例文」を解説!/

「海波を揚げず」の使い方・例文

「海波を揚げず」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.穏やかな天気の日に斜面に寝そべれば、草木の擦れる音や鳥のさえずりが楽曲のように聞こえてくる。まさに海波を揚げずといった心地だ。
2.些細なきっかけで始まった子供たちの喧嘩は、大声で叫びものが飛び交う混沌の状態と化した。海波を揚げずとは正反対の大嵐の中海中に飛び込んだような錯覚を覚える。

「海波を揚げず」の意味は「世の中が平和であること」でした。

例文1ではまさに穏やかな場面に身を置き、心身ともにリラックスしている様子が伝わってきます。

対して例文2では現状と正反対である言葉として海波を揚げずという言葉を使用しており、これによって目の前にどのような惨状が繰り広げられているか対比できる構図です。このように対比として使用することでも文章の印象を大きく左右することが分かりますね。

「海波を揚げず」の類義語は?違いは?

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「海波を揚げず」の意味は「世の中が平和であること」でした。皆さんは平和を表す言葉をどれほどご存じでしょうか。

それでは類義語を確認しましょう。

その1「天下泰平」

「海波を揚げず」の類義語の一つは「天下泰平」です。

言葉の意味はそのまま「世の中が平和であること」を表し、「海波を揚げず」の類義語となっています。また、この言葉はのんびりとした時間が流れ、穏やかである様子も表す為、リラックスした時にすらりと口から出てくると教養豊かと印象付けられるかもしれませんよ。

\次のページで「その2「尭風舜雨」」を解説!/

その2「尭風舜雨」

「海波を揚げず」の同義語の一つは「尭風舜雨」です。

読み方は「きょうふうしゅんう」で、「聖天子の恵が遍く雨のように隅々までいきわたり、平和な世の中であること」という意味を表します。

「海波を揚げず」の対義語は?

「海波を揚げず」の意味は「世の中が平和であること」でした。皆さんの頭の中にはどのような対義語が浮かんだでしょうか。

それでは対義語を確認しましょう。

その1「澆季混濁」

「海波を揚げず」の対義語は「澆季混濁」です。

読み方は「ぎょうきこんだく」で、「人情や道徳が薄くなり、風紀が乱れた世の中」を表します。世の中の平和を表す海波を揚げずの対局の言葉と言えるでしょう。この言葉は難しい漢字が含まれていますので辞書が欲しくなりますね。

その2「綱紀廃弛」

「海波を揚げず」の対義語の一つは「綱紀廃弛」です。

読み方は「こうきはいし」で、「社会の法律や道徳が守られず、規律が乱れている世の中」を表します。こちらも平和の正反対の意味となっているため、海波を揚げずの対義語と言えるでしょう。

「海波を揚げず」の英訳は?

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「海波を揚げず」の意味は十分に身体に染み渡ったでしょうか。平和を表すこの言葉の英語訳はいったいどのようなものでしょうか。

それでは英語訳を確認しましょう。

「peace reigns over the land」

「海波を揚げず」の英語訳は「peace reigns over the land」です。

直訳すると「平和が大地を覆っている」となり、「天下泰平」と同じ意味をもっていると考えれば海波を揚げずの英語訳と言えるでしょう。

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「海波を揚げず」を使いこなそう

この記事では「海波を揚げず」の意味・使い方・類語などを説明しました。

思えば海は天候によって様々な表情を見せてくれますが、海と聞いて多くの方は穏やかな様子を思い浮かべるのではないでしょうか。趣味として海中遊泳や海底散歩を楽しむ方も多く、言葉においても「母なる海」というように穏やかであったり安心できるといった印象の言葉が存在します。

筆者も情報社会の恩恵として最新の電子書籍用タブレットで読書を楽しみますが、時折アウトドアの場面でのんびりと自然の中で読書したい欲求が生まれるものです。もしかすると自分の中の本能の部分が、生物の両親たる自然へ誘っているのかもしれませんね。

それでは良い言葉の日々を。

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【ことわざ】「海波を揚げず」の意味や使い方は?例文や類語を超読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「海波を揚げず」について解説する。

端的に言えば海波を揚げずの意味は「平和であること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

絵本から専門書まで読み漁る本の虫、シクロを呼んです。一緒に「海波を揚げず」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/シクロ

絵本から専門書まで読み漁る本の虫。塾講師の経験もあり、難関校への合格実績も多数。

最近は過ごしやすい日には本を入れたショルダーバッグを小脇に抱え、自然豊かな場所で読書することを楽しむ。昆虫や動物の視線を感じれば、逆にそれを観察して休憩する。

「海波を揚げず」の意味や語源・使い方まとめ

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皆さんのお気に入りのお休みの過ごし方はどのようなものでしょうか。休日は積極的に外に出かけ、山でキャンプをしたりサーフボード片手にビーチへ繰り出す方もいれば、家の中でお気に入りの書籍や映画を楽しむ方もいらっしゃるでしょう。特に静かに過ごす時は穏やかな気持ちになることと思います。今回ご紹介する言葉はまさにそんな穏やかな時に使える言葉でしょう。

それでは早速「海波を揚げず」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「海波を揚げず」の意味は?

「海波を揚げず」には、次のような意味があります。

1.天下が治まって穏やかであることのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「海波を揚げず(うみなみをあげず)」

皆さんが平和を感じる場面はどのような時でしょうか。少年少女が元気に走り回る声を遠くに聞く昼下がり、はたまた少し奮発して人気のお店でおいしいものを食べている時など、ブレイクタイムの過ごし方は人によってまちまちでしょう。

目まぐるしい現代とはよく言われることではありますが、乳幼児死亡率が現代に比べて高かった時代や戦乱の時代などを思うに、日本では身近に諍いがないという点でとても平和と言えるかもしれません。多少忙しい日々はあれど、思い思いの時間を過ごす自由とゆとりがある時間が続けばいいと願うばかりです。

そしてこのような平和な世の中を表す言葉が、「海波を揚げず」であり、海が波を立てないほど穏やかである様子を表しています。

「海波を揚げず」の語源は?

次に「海波を揚げず」の語源を確認しておきましょう。

海波を揚げずの出典は『韓詩外伝』の五に登場する「海不揚波」という言葉を由来とします。この『韓詩外伝』とは中国の古代説話集で、故事や逸話を「詩経」の詩句と関連付けて開設したものです。古典というとタイトルだけで難しいと感じてしまったり、中々スタンスが合わないという方もいらっしゃるかもしれませんが、優しい言葉に直した書籍も多く存在します。向き不向きは確かにありますが、物は試しとして手を出してみてはいかがでしょうか

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