この記事では「杓子は耳搔きにならず」について解説する。

端的に言えば杓子は耳搔きにならずの意味は「大きいものが必ずしも小さいものの代わりにはならない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

漢検準一級を保有しており言葉に詳しいたきじを呼んです。一緒に「杓子は耳搔きにならず」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/たきじ

国立大学卒、漢検準一級保有のライター。高校時代の得意科目は国語と英語。漢字の意味やことわざ、熟語が好きで新しい言葉を覚えるのが得意。

「杓子は耳搔きにならず」の意味や語源・使い方まとめ

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「杓子は耳搔きにならず」ということわざをご存知でしょうか。杓子が耳に入らないことはわかりきっているのに、なぜわざわざ表現するのか疑問に思う方も多いかもしれません。しかし実はしっかりとした意味が込められたことわざなのです。それでは早速「杓子は耳搔きにならず」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「杓子は耳搔きにならず」の意味は?

「杓子は耳搔きにならず」には、次のような意味があります。

1.大きいものが必ずしも小さい者の代わりにはならないたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「杓子は耳搔きにならず」

「杓子は耳搔きにならず」の読み方は「しゃくしはみみかきにならず」です。「杓子」は飯を盛ったり汁物をすくったりするための道具で耳掻きに形がよく似ています。しかし杓子を耳掻きに使おうとしても大きすぎて入らないことから、大きいものが必ずしも小さいものの代わりにはならないことを表しているのです。

いくら頑張っても杓子で耳搔きをすることはできないので、意味をイメージしやすいことわざですね。

「杓子は耳搔きにならず」の語源は?

次に「杓子は耳搔きにならず」の語源を確認しておきましょう。

先述のように「杓子」は飯を盛ったり汁物をすくったりするための古くからある便利な道具で、現代でも飯用のものは「しゃもじ」として広く使われているのでみなさんご存知かと思います。この「杓子」は耳掻きに形が非常によく似ていますが、本当に耳掻きに使おうとしても大きくて耳に入りません。

このことから大きいものが必ずしも小さいものの代わりにはならないということを表すようになりました。大きいものが小さいものよりも優れているわけではないというニュアンスも含むことができるので押さえておきましょう。

\次のページで「「杓子は耳搔きにならず」の使い方・例文」を解説!/

「杓子は耳搔きにならず」の使い方・例文

「杓子は耳搔きにならず」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.パワフルな性能にひかれてサイズの大きい掃除機を買ったが、細かいところを掃除しにくいので小さくて安いものでも良かった。まさに杓子は耳搔きにならずと言ったところだ。
2.杓子は耳搔きにならずで、有名な経営者の行った方法を真似るより地域密着型の店舗としてサービスを行っていった方がお客さんに喜んでもらえるだろう。
3.健太君のお母さんは朝起きてから楽にごみを出すためにリヤカーを使っていたが、思い切って軽トラを買ったようだ。しかし杓子は耳搔きにならずで軽トラで運ぶ方が余計大変らしい。

例文のように「杓子は耳搔きにならず」大きいものが必ずしも小さいものの代わりになるとは限らないことを意味することわざです。例文1、3のように文章を分けて用いることもできますし、例文2のように一文の中で文頭に持ってくる使い方もあります。

文章的におかしくなければどこで使用しても意味やニュアンスが変わることはないので使いやすいことわざだと言えるでしょう。

「杓子は耳搔きにならず」の類義語は?違いは?

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次に「杓子は耳搔きにならず」の類義語やその違いについて見ていきましょう。

その1「搗き臼で茶漬け」

「搗き臼で茶漬け」(つきうすでちゃづけ)大きいものは細かい作業に向いていないことを意味することわざです。「搗き臼」は餅を搗く大きな臼のことで、茶漬けを食べるには臼は大きすぎることからこのような意味で使われるようになりました。各単語さえ知ってしまえばことわざ全体の意味は想像しやすいですよね。

「杓子は耳搔きにならず」と同じ意味を持つので文脈に応じて使いやすい方を使っていきましょう。

\次のページで「その2「長持枕にならず」」を解説!/

その2「長持枕にならず」

「長持枕にならず」(ながもちまくらにならず)大きいものはいつでも役に立つわけではなくほどほどがよいという意味のことわざです。「長持」とは衣類などを入れる大きな長方形の木箱のことで、大きすぎて枕にすることはできないところからこのような意味で使われるようになりました。

こちらも「杓子は耳搔きにならず」と同じ意味なので一緒に覚えてしまいましょう。

その3「材大なれば用を為し難し」

「材大なれば用を為し難し」(ざいだいなればようをなしがたし)すぐれている人物はかえって世の中で用いられないことを表したことわざです。「材」というのは「材木」のことで、大きすぎる材木は加工をしにくいから役に立たないというところからこのような意味になりました。

「杓子は耳搔きにならず」と同様の意味ですが、「材大なれば用を為し難し」は人物に対して使うことができることを押さえておきましょう。

「杓子は耳搔きにならず」の対義語は?

次に「杓子は耳搔きにならず」の対義語について見ていきましょう。

その1「大は小を兼ねる」

「大は小を兼ねる」(だいはしょうをかねる)大きいものは小さいものの代用として使えるという意味のことわざです。「杓子は耳搔きにならず」とは完全に逆の意味であり有名なことわざなので覚えやすいですよね。また上記の意味に加えて大きいものの方が使い道が広く役に立つというニュアンスも含まれているので覚えておくと良いでしょう。

その2「大きな物は細う使われる」

「大きな物は細う使われる」(おおきなものはほそうつかわれる)大きなものは小さくして使うことができるという意味のことわざです。「大は小を兼ねる」と同義ですが、こちらの方がより具体的かつ限定的な意味を持つという違いに注意しましょう。

「杓子は耳搔きにならず」の英訳は?

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最後に「杓子は耳搔きにならず」の英語表現について見ていきましょう。

\次のページで「「A handsaw is a good thing,but not to shave with.」」を解説!/

「A handsaw is a good thing,but not to shave with.」

handsawは「片手のこぎり」のことで、英文全体の意味は「片手のこぎりは便利だが、顔そりには使えない」となり、大きいものは小さいもののかわりにはならないということを表します。杓子ではなくのこぎりを使うのが英語らしくて覚えやすいですね。

「杓子は耳搔きにならず」を使いこなそう

この記事では「杓子は耳搔きにならず」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しておきましょう。「杓子は耳搔きにならず」は大きいものが必ずしも小さいものの代わりにはならないことを意味することわざです。類義語では「搗き臼で茶漬け」「長持枕にならず」「材大なれば用を為し難し」を紹介しました。

さまざまなことにおいてなんとなく大きなものの方が優れていると感じてしまうものですよね。スポーツでは体が大きい方が有利になることが多いですし、日常でも家具や家電、車など大きければ大きいほど便利で人気なイメージがあります。しかし「杓子は耳搔きにならず」で表現しているように、大きいがゆえにできなくなることも多いのが事実です。

現在私は軽自動車に乗っていますが、細い道や狭い駐車場など小さい車で良かったと感じる場面が多々あります。何事においても本当の利点やデメリットをしっかりと考えて行動することで失敗することは少なくなるかもしれませんね。この記事が皆さんの参考になれば幸いです。

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国語言葉の意味

【ことわざ】「杓子は耳掻きにならず」の意味や使い方は?例文や類語を漢検準一級ライターがわかりやすく解説!

この記事では「杓子は耳搔きにならず」について解説する。

端的に言えば杓子は耳搔きにならずの意味は「大きいものが必ずしも小さいものの代わりにはならない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

漢検準一級を保有しており言葉に詳しいたきじを呼んです。一緒に「杓子は耳搔きにならず」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/たきじ

国立大学卒、漢検準一級保有のライター。高校時代の得意科目は国語と英語。漢字の意味やことわざ、熟語が好きで新しい言葉を覚えるのが得意。

「杓子は耳搔きにならず」の意味や語源・使い方まとめ

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「杓子は耳搔きにならず」ということわざをご存知でしょうか。杓子が耳に入らないことはわかりきっているのに、なぜわざわざ表現するのか疑問に思う方も多いかもしれません。しかし実はしっかりとした意味が込められたことわざなのです。それでは早速「杓子は耳搔きにならず」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「杓子は耳搔きにならず」の意味は?

「杓子は耳搔きにならず」には、次のような意味があります。

1.大きいものが必ずしも小さい者の代わりにはならないたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「杓子は耳搔きにならず」

「杓子は耳搔きにならず」の読み方は「しゃくしはみみかきにならず」です。「杓子」は飯を盛ったり汁物をすくったりするための道具で耳掻きに形がよく似ています。しかし杓子を耳掻きに使おうとしても大きすぎて入らないことから、大きいものが必ずしも小さいものの代わりにはならないことを表しているのです。

いくら頑張っても杓子で耳搔きをすることはできないので、意味をイメージしやすいことわざですね。

「杓子は耳搔きにならず」の語源は?

次に「杓子は耳搔きにならず」の語源を確認しておきましょう。

先述のように「杓子」は飯を盛ったり汁物をすくったりするための古くからある便利な道具で、現代でも飯用のものは「しゃもじ」として広く使われているのでみなさんご存知かと思います。この「杓子」は耳掻きに形が非常によく似ていますが、本当に耳掻きに使おうとしても大きくて耳に入りません。

このことから大きいものが必ずしも小さいものの代わりにはならないということを表すようになりました。大きいものが小さいものよりも優れているわけではないというニュアンスも含むことができるので押さえておきましょう。

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