今回のテーマは太陽です。太陽は地球から最も近い恒星で、太陽のおかげで地球の環境が保たれている。ところで皆は太陽がいつ誕生し、どのような構造となっているのか知っているか?

太陽が誕生したのは約46億年前です。人間は寿命が延びたと言っても100年くらいしか生きられないことを考えると途方もない時間です。今回は太陽の性質を学習する。解説は化学系科学館職員のたかはしふみかです。

ライター/たかはし ふみか

理科教育に興味があり、理系に進んだ化学系科学館職員。実験したり工作を考える科学館の仕事が大好き。仕事を通して化学はもちろん、生物や天文と色々な事を調べる機会が多いため、雑学やウンチクが増えてきた。

そもそも太陽って何?

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そもそも太陽とは何でしょうか。初めにその定義や役割を確認しましょう。

定義から見る太陽

コトバンクを確認すると太陽とは次のように解説されています。

太陽系の中心をなす恒星

太陽系とは太陽を中心とした、惑星や衛星、小惑星や彗星などの天体の集団のことです。地球も太陽系に所属する惑星のひとつですね。そして恒星とは、自ら光を発する星のことになります。

惑星、衛星って何だった?という人はこのページを参考にして下さい。

数値から見る太陽

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今度は数値から太陽がどんな星か確認していきましょう。

誕生 約46億年前

直径 139万㎞(地球の109倍)

質量 1.9891×10³⁰kg(地球の33万倍) 

密度 1.411 g/cm3

表面温度 約6000℃

地球からの距離 1億5千万㎞(光が届くのに8分半)

黒点温度 約3800℃

中心核温度 約1600万℃

自転周期 約27~32日

\次のページで「太陽の構造~太陽はなぜ輝くのか?」を解説!/

太陽の構造~太陽はなぜ輝くのか?

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真っ赤に燃えた太陽、という表現があるが実は太陽は燃えていません。それもそのはず、燃える(燃焼)とは酸素と結びつく酸化の一種です。しかし宇宙には酸素がないので燃えることができません。ではどうして太陽は輝いて見えるのででしょうか。

なお、酸化についてはこちらの記事を参考にして下さい。

太陽は核融合によって膨大なエネルギーを作っています。太陽の約75%が水素で、残りのほとんどくはヘリウムです。太陽は内側から中心核(コア)・放射層・対流層・光球・彩層という層に分かれています。太陽が輝くのは中心核で核融合が行われているから、核融合とは簡単に言うと「軽い原子核がぶつかって重い原子核になる」ことです。原子核がぶつかった時に膨大なエネルギーが生まれます。

約1600万度の高温で2500億気圧の高圧状態の太陽の中心。そこで核融合反応が起こります。この核融合反応によって、4個の水素原子から2個のヘリウムができるのです。反応の流れとしては、次のようになっています。

1 水素原子2つから重水素ができる

2 重水素に水素原子がついてヘリウム3に

3 ヘリウム3がくっついてヘリウム4となり、エネルギーを放出

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核融合によって太陽は1秒間に約430万tも減り、それと引き換えに38億6000万メガワットの1兆倍というエネルギーを生み出しています。このエネルギーは中心からゆっくりと表面へ移動していくのです。発生したエネルギーが表面に伝わるまでには膨大な時間がかかっています。

太陽は約46億年前に誕生しました。そして寿命は後50億年程ではないかと言われています。つまり太陽が活動できる時間は折り返しに差し掛かりつつあると言う事ですが、人間にしてみれば膨大な時間過ぎてピンときませんね。

太陽のキーワード

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太陽を学ぶ上で、次の用語をチェックしておきましょう。

太陽を覆うガス:コロナ

コロナとは太陽を覆うガスの大気のこと。コトバンクで調べると

\次のページで「赤い炎:プロミネンス」を解説!/

皆既日食の際、黒い太陽の周りに真珠色に輝いて見える太陽最外層の大気

と書かれています。連なったコロナの大きさは地球の直径の30倍にもなり、コロナの温度はなんと100万℃以上となるのです。コロナは、皆既日食の時に観察することができます。

コロナと聞くと2019年年末から世界中で猛威を振るうウィルスを思い浮かべる人も多いでしょう。コロナと形が似ている、という事でコロナウイルスと名付けられたのです。ちなみに、この太陽のコロナとは、ラテン語で「王冠」を意味しています。

赤い炎:プロミネンス

プロミネンス、紅炎とは皆既日食のときに観察できる赤い炎のようなもののことです。コトバンクを調べると、次のように書かれています。

太陽の彩層からコロナにかけて見られる深紅色の高温な気体。

黒点付近に出現することが多い。

皆既日食の際は肉眼でも見られる。

このプロミネンス、大きいものでは地球の10倍ほどにもなります。

黒い斑点:黒点

太陽の表面にある、黒い斑点を黒点と言います。黒点は4000℃と太陽の表面に比べて温度が低くなっているのが特徴です。黒点の中でも特に暗い部分は暗部、その周囲のやや明るい部分を半暗部といいます。そして黒点が集まった状態の所を黒点群というのです。

黒点を観察することで、太陽が自転していることが分かります。ガスでできた太陽は自転のスピードが一定ではありません。場所によって自転のスピードが異なっているのです。赤道付近は約27日、局は30日程度で1回の自転をしています。

爆発現象:フレア

フレアとは太陽コロナ中でおこる爆発現象のことです。黒点からでた磁力線の束が、橋のようにかかります。そして、このアーチが引き延ばされ、磁場のエネルギーが放出されてフレアが起こるのです。

このフレア、実は地球に大きな影響を与えています。フレアが起きると太陽風という風が地球に吹き付け、電波や電子機器類に影響を与えるのです。またこの太陽風によってオーロラが見られます。フレアによって発生した太陽風によって押し寄せて来た電子や陽子によってオーロラが発生するのです。オーロラについては、こちらの記事をどうぞ。

太陽が隠される現象:日食

太陽・地球・月の位置関係で起きるのが日食です。コトバンクを調べると

\次のページで「太陽の役割」を解説!/

太陽が月によって隠される現象

太陽全部が隠される皆既食(皆既日食)、一部分が隠される部分食(部分日食)、太陽が黒い月の縁に沿ってリング状にはみ出す金環食(金環日食)がある

と書かれています。日食は地球から見て太陽が月によって隠されて怒る現象です。日食には隠れ方によって皆既日食・部分日食・金環日食の3種類あります。

日食については、こちらの記事を確認して下さい。

太陽の役割

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太陽はどのような役割を持っているのでしょうか。

太陽が地球に光と熱をもたらしています。この光と熱によって地球は生命が生活できる環境となっているのです。そして、この光と熱によって植物が光合成を行い、酸素を生み出しています。地球と太陽が絶妙な距離にあるため、地球は生命があふれる星となったのです。

また、現在では太陽はエネルギーとしても活用されています。太陽から1時間で届くエネルギーはなんと、人間が1年で使うエネルギーに相当するのです。

太陽の役割とは

太陽は約46億年前に誕生しました。太陽は内部で核分裂を繰り返すことでエネルギーを発生しています。

太陽が程よい熱と光を与えてくれているおかげで、地球は生命の過ごしやすい環境となったのです。また、今は太陽のエネルギーを電気エネルギーにすることもできます。災害で電気が途絶えた時や電気代節約に太陽光発電は有効です。

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地学理科

太陽ってどんな星?いつ誕生した?日食や太陽フレア・コロナなどの現象、太陽の秘話を科学館職員がわかりやすく解説

今回のテーマは太陽です。太陽は地球から最も近い恒星で、太陽のおかげで地球の環境が保たれている。ところで皆は太陽がいつ誕生し、どのような構造となっているのか知っているか?

太陽が誕生したのは約46億年前です。人間は寿命が延びたと言っても100年くらいしか生きられないことを考えると途方もない時間です。今回は太陽の性質を学習する。解説は化学系科学館職員のたかはしふみかです。

ライター/たかはし ふみか

理科教育に興味があり、理系に進んだ化学系科学館職員。実験したり工作を考える科学館の仕事が大好き。仕事を通して化学はもちろん、生物や天文と色々な事を調べる機会が多いため、雑学やウンチクが増えてきた。

そもそも太陽って何?

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そもそも太陽とは何でしょうか。初めにその定義や役割を確認しましょう。

定義から見る太陽

コトバンクを確認すると太陽とは次のように解説されています。

太陽系の中心をなす恒星

太陽系とは太陽を中心とした、惑星や衛星、小惑星や彗星などの天体の集団のことです。地球も太陽系に所属する惑星のひとつですね。そして恒星とは、自ら光を発する星のことになります。

惑星、衛星って何だった?という人はこのページを参考にして下さい。

数値から見る太陽

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今度は数値から太陽がどんな星か確認していきましょう。

誕生 約46億年前

直径 139万㎞(地球の109倍)

質量 1.9891×10³⁰kg(地球の33万倍) 

密度 1.411 g/cm3

表面温度 約6000℃

地球からの距離 1億5千万㎞(光が届くのに8分半)

黒点温度 約3800℃

中心核温度 約1600万℃

自転周期 約27~32日

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