今日は「サブレとクッキーの違い」について見ていきます。
サブレやクッキー、ビスケットやクラッカーなど薄い焼き菓子をさす名前は様々思いつくがその違いを知っているか?何となく知っているような気がしますが実はよく分かっていないという人が多いはずです。
今回は、各国から様々なデザートの輸入を手掛ける現役商社マンMIYABIと一緒にこれを解説していきます。

ライター/MIYABI

某大手商社の食品部門に勤務する現役営業ウーマン。主にヨーロッパの食材の営業・マーケティングに携わる。デザート・お菓子類はこれまで最も担当年月が長いカテゴリー。商品選定と品質チェックのため毎日のようにデザートを食べている。

サブレとクッキーの違いはズバリ材料にあり!

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焼き菓子には様々な名前の種類があり、正直その違いはなかなか理解しづらいものですよね。サブレとクッキーでは何が違うのか?大きな点をまず挙げるならそれは材料です。詳しくご説明しましょう。

サブレは「バターと小麦粉=1:1」でバターたっぷり

サブレとは、フランスから伝わった焼き菓子です。小麦粉、バター、砂糖、卵、塩などを使って作られます。サブレはクッキーの仲間ですが、クッキーと比べてバターやショートニングといった油脂分が多いのが特徴。なぜなら、サブレを作る際には小麦粉と同じ量のバターが使用されているからです。この量はクッキーに使われるバターの2倍にも相当します。サブレがサクサクの食感で風味豊かな仕上がりになっているのはバターのおかげなのですね。

クッキーは「バターと小麦粉=1:2」で小麦粉多め

クッキーとは、アメリカから伝わった焼き菓子です。材料はサブレと同じように、小麦粉、バター、砂糖、卵、塩などを使って作られます。ですが、サブレがバターと小麦粉の比率が1:1で作られるのに対し、クッキーはバターと小麦粉が1:2で作られることが多く、全体に占める小麦粉の量が多いのが大きな特徴です。

サブレとクッキーのレシピの違い

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次に、サブレとクッキーのレシピの違いを見ていきましょう。材料はバターの量に違いがあることは分かりましたが、作り方はどのように異なるのでしょうか。

サブレのレシピ:よく冷えたバターを使う

サブレとクッキーのレシピの違い、それはバターの使い方です。サブレを作る際は、冷蔵庫から出したてのよく冷えたバターを使います。よく冷えたバターを小さな四角に切り、それを小麦粉とこすり合わせながらホロホロの粉状にして作られますが、これは「サブラージュ法」と呼ばれる手法です。このサブラージュ法は、サブレの語源の「砂」と同じ意味からきています。砂のようにさらさらに仕上げることでグルテンの発生を抑え、生地同士のつながりを弱くすることができるため、よりサクサクしてもろい食感に仕上げることができるのです。

\次のページで「クッキーのレシピ:バターを常温に戻して使う」を解説!/

クッキーのレシピ:バターを常温に戻して使う

一方、クッキーを作る際は、バターを室温に戻してから使用します。クッキーは、室温に戻したバターをやわらかくなめらかな状態にし、そこに砂糖や卵、小麦粉を混ぜるという工程で作られることが一般的です。このバターを滑らかな状態にして使う方法は「クレメ法」と呼ばれる手法で、クレメ=「クリーム状にする」というフランス語から来ています。

サブレとクッキーのカロリーの違い

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では、サブレとクッキーでカロリーはどのように異なっているのでしょうか。以下で具体的な数値を見てきましょう。

サブレのカロリーはクッキーより少しだけ低め

日本食品標準成分表によると、サブレのカロリーは100gあたり459Kcalとされています。同じくクッキーは100gあたり544Kcalとされていますので、サブレの方が100gあたり85Kcalほど低くなっていますね。100gが実際どの程度の重量感なのか想像しづらいづらですが、例えばサブレとして名高い「鳩サブレー」は1枚当たりの重さが33g。この重さで単純計算すると、1枚当たりのサブレとクッキーのカロリー差は28Kcal程度となり、1枚食べた時の差はそれほど大きくはなさそうですね。ただし、カロリーは商品によって当然異なってきますので、この数値は一つの目安として捉えておきましょう。

クッキーは100gあたり500kcalを超える!

クッキーのカロリーは上記の通り100gあたり544Kcalとなり、サブレより若干高い数値となります。ただし、クッキーの1枚当たりの重量は8~10g程度のものが多いようですので、枚数換算すると50Kcal前後になりそうです。例を挙げると、森永のムーンライトは1枚当たりの重量が8.1gで43Kcal、ミスターイトウのバタークッキーは1枚当たり10,1gで52Kcalとなります。ただし、これらの数値はシンプルなクッキーのカロリーです。チョコやナッツが入ればこれも大きく変わりますので要注意ですね。

こちらも分かりづらい!ビスケットやクラッカー、ガレットとは?

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ここまででサブレとクッキーの違いはご理解いただけたかと思いますが、紛らわしいものはまだまだあります。ビスケットやクラッカー、ガレットなどもよく耳にしますが、これらはどのような違いがあるのでしょうか。その点をご説明しましょう。

\次のページで「ビスケットの一種がサブレやクッキー!」を解説!/

ビスケットの一種がサブレやクッキー!

ビスケットは、もとはイギリスから伝わった焼き菓子です。「二度焼いた」という意味のラテン語「bis coctus」(ビス コクトゥス)」に由来した言葉で、パンを二度焼いて日持ちするように作られた物でした。そのため、もともとはヨーロッパにおいて軍隊や航海で使用されていましたが、17世紀ごろのイギリスで今のようなビスケットとなったそうです。日本には江戸時代に伝わったと言われています。また、ビスケットはヨーロッパから渡った移民によってアメリカに広まり、言葉を変えてクッキーと呼ばれるようになりました。よって、ビスケットとクッキーは元々はほぼ同じものを指していたのです。

クラッカーはイースト使用のビスケット/ガレットは形状を指していた

クラッカーは薄くて硬いビスケットの一種です。クラッカーを定義する言葉はありません。ですが、イーストを発酵させて作っている点、ほぼ無糖で作られる点、塩気が強いといった点がサブレやクッキーと異なるところとして挙げられます。

ガレットとは、フランスから伝わったお菓子や料理で、「丸くて平たいもの」全般を指す言葉でもあるのです。よって、ガレットとは必ずしも甘いお菓子を意味するわけではなく、味や大きさなどは多岐に渡ります。例えば、そば粉のクレープもガレットと呼ばれる代表的な料理。また、フランスのブルターニュで生まれた丸い焼き菓子も「ガレット・ブルトンヌ」などと呼ばれますし、よく新年に見かける「ガレット・デ・ロワ」はアーモンドクリームを詰めて焼いたパイですが、こちらもガレットの一種です。

サブレやクッキー、ビスケットは国によって呼び方が違う?

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サブレやクッキー、ビスケットは、実は国によって呼ばれ方や概念が違ってきます。ここでは、各国で何をどのように呼んでいるのかを調べていきましょう。

日本での定義や使われ方

日本では、小麦粉やバター、砂糖などを使って薄く焼いたものを大きな括りの総称として「ビスケット類」と呼びます。先ほどご説明した「サブレやクッキーもビスケットの一つ」というのはこの意味なのです。また、その中でもクッキーとビスケットをさらに細かく区分けする基準があり、「糖分・脂肪分が全体の40%以上」かつ「手作り風の見た目のもの」がクッキーとされ、それ以外のものがビスケットとされています。

イギリスやアメリカでは何をどう呼ぶの?

先ほどお話しした通り、ビスケットはイギリス発祥のものであり、それがアメリカに渡りクッキーと呼ばれるようになりました。よって、私たち日本人がクッキーとしてイメージするお菓子は、アメリカ人なら同じく「クッキー」です。しかし、イギリスなどでは「ビスケット」と呼ばれます。

また、アメリカで「ビスケット」と言った場合、実はそれは少し厚みのあるパンのようなものを意味するのです。ケンタッキーのビスケットを想像すれば、アメリカでのビスケットのイメージが沸きやすいのではないでしょうか。逆に、アメリカのビスケットのようなものは、イギリスでは「スコーン」になります。同じようなものが様々な呼ばれ方をしたり、同じ言葉が別のものを指していたりと何だかややこしいですね。

\次のページで「買い物に活かせばおいしさも変わってくる!」を解説!/

買い物に活かせばおいしさも変わってくる!

ここまで、サブレとクッキーの違いを中心に、その他にもよく耳にする焼き菓子の意味や国による呼び方や概念の違いを見てきました。スーパーでも様々なお菓子が並んでいますが、今回得た知識から商品を見ると「へ~!そうだったんだ!」という場面が増えることでしょう。違いを知れば、今自分が食べたい味わいが何なのかにも気付けるようになってきます。そして、そうやって自分の感覚に合わせて選んだものなら、よりおいしいと感じて食べられるのは間違いないですね!

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3分で分かるサブレとクッキーの違い!材料やレシピ・カロリー・ビスケットとの違いまでデザートのプロがわかりやすく解説

今日は「サブレとクッキーの違い」について見ていきます。
サブレやクッキー、ビスケットやクラッカーなど薄い焼き菓子をさす名前は様々思いつくがその違いを知っているか?何となく知っているような気がしますが実はよく分かっていないという人が多いはずです。
今回は、各国から様々なデザートの輸入を手掛ける現役商社マンMIYABIと一緒にこれを解説していきます。

ライター/MIYABI

某大手商社の食品部門に勤務する現役営業ウーマン。主にヨーロッパの食材の営業・マーケティングに携わる。デザート・お菓子類はこれまで最も担当年月が長いカテゴリー。商品選定と品質チェックのため毎日のようにデザートを食べている。

サブレとクッキーの違いはズバリ材料にあり!

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焼き菓子には様々な名前の種類があり、正直その違いはなかなか理解しづらいものですよね。サブレとクッキーでは何が違うのか?大きな点をまず挙げるならそれは材料です。詳しくご説明しましょう。

サブレは「バターと小麦粉=1:1」でバターたっぷり

サブレとは、フランスから伝わった焼き菓子です。小麦粉、バター、砂糖、卵、塩などを使って作られます。サブレはクッキーの仲間ですが、クッキーと比べてバターやショートニングといった油脂分が多いのが特徴。なぜなら、サブレを作る際には小麦粉と同じ量のバターが使用されているからです。この量はクッキーに使われるバターの2倍にも相当します。サブレがサクサクの食感で風味豊かな仕上がりになっているのはバターのおかげなのですね。

クッキーは「バターと小麦粉=1:2」で小麦粉多め

クッキーとは、アメリカから伝わった焼き菓子です。材料はサブレと同じように、小麦粉、バター、砂糖、卵、塩などを使って作られます。ですが、サブレがバターと小麦粉の比率が1:1で作られるのに対し、クッキーはバターと小麦粉が1:2で作られることが多く、全体に占める小麦粉の量が多いのが大きな特徴です。

サブレとクッキーのレシピの違い

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次に、サブレとクッキーのレシピの違いを見ていきましょう。材料はバターの量に違いがあることは分かりましたが、作り方はどのように異なるのでしょうか。

サブレのレシピ:よく冷えたバターを使う

サブレとクッキーのレシピの違い、それはバターの使い方です。サブレを作る際は、冷蔵庫から出したてのよく冷えたバターを使います。よく冷えたバターを小さな四角に切り、それを小麦粉とこすり合わせながらホロホロの粉状にして作られますが、これは「サブラージュ法」と呼ばれる手法です。このサブラージュ法は、サブレの語源の「砂」と同じ意味からきています。砂のようにさらさらに仕上げることでグルテンの発生を抑え、生地同士のつながりを弱くすることができるため、よりサクサクしてもろい食感に仕上げることができるのです。

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