5.ことわざ「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」って?
立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花……といえば、美人の姿や振る舞いを、花に見立てた言葉です。由来には諸説ありますが、代表的な3つの説を紹介します。
(1)花の特徴を女性の動きにたとえたもの。「立てば芍薬」は真上にまっすぐ伸びる芍薬、「座れば牡丹」は低い位置で咲く牡丹、「歩く姿は百合の花」は、柔らかい茎で風に吹かれて揺れる百合から来ている。
(2)花の鑑賞に適した姿勢を言い表したもの。咲き方の違いから、芍薬は立って見る、牡丹は座って見る、百合は歩きながら眺めるのが見やすく、一番美しいという。
(3)生薬として用いられる際の症状に当てはめたもの。イライラと気が立っている女性には芍薬、血の巡りが悪く座り込む女性には牡丹、心身が弱りふらふらと歩く女性には百合を用いると改善する、ということから。芍薬、牡丹、百合を使えば、健康的で美しい女性になれるという意味も。
どの説にも説得力があり、なるほどと頷きたくなりますね。
似て非なる芍薬と牡丹、それぞれの美を楽しもう
草である芍薬と、木である牡丹。美しい花を咲かせる両者ですが、見た目で区別できる点や育て方の違いに、植物としての性質の違いが表れています。
近縁種でありながら、薬効には異なる点もあるのが興味深いですね。
「立てば芍薬、座れば牡丹~」の言葉にも表される通り、日本人は昔から両者の違いをとらえつつも、それぞれの美を賞賛してきたのです。