3-1.株分けで増やせる?芍薬の育て方
芍薬の種は出回っていないため、秋に出回っている地上部分のない状態のポット苗を購入し、植えつけましょう。日当たりと水はけのよい場所で育てていきます。
何年も植えっぱなしにしていると花の付きが悪くなってくるので、9~11月に株分けを行いましょう。株も若返り、たくさんの芍薬を楽しめるようになりますよ。
3-2.芍薬に接ぎ木されている!牡丹の育て方
牡丹は種から育てると、栽培が難しく花がつくまで3~10年もかかってしまいます。そこで、生長の早い芍薬を台木として、牡丹を接ぎ木した苗から育てることで、早く開花させることができるのです。継ぎ目を地面の下になるように深く植え、牡丹そのものの根が出るようにします。根の部分からは芍薬の芽も出てくるので、牡丹が負けることのないよう、よく注意してこまめに摘み取りましょう。
牡丹は根が伸びるのが遅いため植え替えを好まず、地植えなら15年ほど1つの場所で生長を続けます。生長が悪くなったり、鉢植えで年数がたった時にのみ植え替えを行いましょう。
4.薬用植物としての芍薬と牡丹、広く使われるのはどっち?
芍薬と牡丹は、ともに薬用植物としても有名です。芍薬は生薬「芍薬」として根が利用され、牡丹は生薬「牡丹皮」として根の皮が使われます。
花は美しく、根は薬になるなんて、一挙両得でうまい話だと思いますよね。けれど残念ながら、一株を花としても薬としても売るというのは困難です。多様な美しさを求めて品種改良を進める園芸の世界と、質が一定であることが望ましい薬品としての世界では、求められるものも変わってきます。芍薬も牡丹も、園芸用と薬用の品種が交配しないよう、分けて育てる努力がなされているのです。
配合されている漢方処方の種類は、芍薬の方が多く、広く使われていると言えるでしょう。
4-1.芍薬を使った漢方薬とその薬効
芍薬は鎮痛、鎮痙(けいれんを抑える)薬として有名なほか、血液の循環を改善する効果があるため婦人科系の疾患にも用いられます。東洋医学では広く利用され、なんと60種以上の漢方処方に配合されているのです。
代表的な処方に、痛み止めやこむら返りに用いられる芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)や、月経困難や冷え性、不妊や産前産後・妊娠中の体調維持に用いられる当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)があります。
4-2.牡丹を使った漢方薬とその薬効
牡丹皮では血液の循環を改善する作用や、消炎や鎮静・鎮痛作用が有名です。月経不順や無月経、生理痛の緩和などに用いられるほか、下腹部や下肢の炎症性の痛みにも効果があります。
処方としては、月経困難や便秘に用いられる大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)、生理痛や月経不順、めまいや肩こりにも用いられる桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)が代表的です。桂枝茯苓丸には、牡丹皮とともに芍薬も入っています。
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