この記事では都道府県の違いについてみていきます。都市や地域名のイメージがあるよな。違いはずばり「歴史上で重要地域かそうでない地域だったか」のようですが、場所によって呼び方が違う・意味が違うなど調べてみるといろいろあるみたいです。

今回はそんな日本地図の歴史に欠かせない地域の違いを、定義から確認しつつ、雑学好きのライター熊家と一緒に解説していきます。

ライター/熊家

現在ライターとして、さまざま分野で活動している。文学や歴史などのジャンルが得意で、これまで多くの記事を執筆してきた。この経験を生かし文学や歴史、雑学などの知識をわかりやすく解説していく。

ざっくり都道府県の違いって何?

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日本地図は学校の授業で習い、47都道府県全部言える方は多いはずです。ただし、都道府県の違いについてはどうでしょうか。なんとなくはわかっても、くわしく説明できる方は少ないと思います。

はじめに、ざっくりと都道府県の違いについて知っていきましょう。

「都」は東京府と東京市の合併でできた

かつて江戸と呼ばれていた町は、ときを経て東京府東京市の2つに分裂していました。しかし、東京府と東京市の二重行政問題や戦争遂行上の問題が原因で、1943年に合併します。その結果、いまの東京都が生まれました。

「道」は北海道庁の設置とともにできた

かつて蝦夷地と呼ばれていた町は、ときを経て札幌県・函館県・根室県に分裂していました。しかし、機構改革とともに3つの県は廃止され、1886年に北海道全体を管轄する北海道庁ができました。この北海道庁が、いまの北海道の原形となります。

「府」は江戸・大阪・京都など重要地域にできた

はじまりは大政奉還後に明治政府が、奉行が支配した土地や開港した港などを府と称したことがはじまりです。1869年に政治の中心である東京、商都である大阪、御所のある京都を府にしました。(東京はその後、東京都になる)

「県」は重要地域以外にできた

先述では、東京・大阪・京都を府にしたとありましたが、実はそれよりも前に函館・越後・神奈川・長崎・甲斐・度会・奈良を府と称していました。そして、残った他の土地を県と呼んでいたことがはじまりです。

\次のページで「違いその1:成り立ちの違いは?」を解説!/

現在の47都道府県は、東京都・大阪府・京都府・北海道・43の県。地方ごとに分けると、北海道東北地方・中部地方・関東地方・中国四国地方・近畿地方・九州地方・沖縄地方になります。

違いその1:成り立ちの違いは?

ざっくりと都道府県の違いについて、わかったのではないでしょうか。続いては、都道府県の成り立ちについて解説していきます。都道府県について、より深く知っていきましょう。

「都府県」は地域区分を置き換えたもの

都府県は江戸時代にあった藩の地域区分を、明治後に置き換えたものです。これを廃藩置県と呼びます。廃藩置県を行った理由は、府知事や県令(後の知事)を派遣し、治めさせるという改革を行うためでした。

「道」はあいまいだった支配体制を整備してできたもの

北海道はかつて蝦夷地と呼ばれ、明治初期までは支配体制があいまいな地域でした。政府が支配体制を整備するにあたり、1869年に北海道と改称したことが経緯となります。現在「道」は「県」と同じ、自治体区分の名称です。

時代別 誕生した地方自治体の呼称

・江戸時代⇒藩
・明治初期⇒府・県・藩
・廃藩置県後⇒府・県
・明治時代⇒北海道
・戦争中⇒東京都

違いその2:呼び名の違いは?

都道府県の成り立ちや背景を知れたところで、続いては呼び名に込められた意味についてご紹介していきます。どういった意味が込められているのか、また違った角度から知っていきましょう。

\次のページで「「都」は強力な行政機構を意味する」を解説!/

「都」は強力な行政機構を意味する

防空・生活必需品配給・交通整備など、戦争遂行のために強力な行政機構を確立する必要がありました。そこに選ばれたのが東京です。都政導入が議論された内容については、東京都が作成した「東京都制実施に関する記録」に記載があります。

「道」はもともとの地名蝦夷地を改称

北海道はかつて、異民族の住む地として「蝦夷が島」や「蝦夷地」などと呼ばれていました。しかし、江戸時代後期以降ロシアの進出に伴い、蝦夷地を日本として意識せざるを得なくなり新名称をつけたといわれています。

「府」は要地としての直接管理を示す

奉行が支配した土地や、開港した港などを府と称していましたが、府は要地として直接管理する意志も示していました。つまり、軍事や政治の拠点や、大都市に府がつけられています。

「県」は所在する県庁の管轄地域の略

1868年かつて政府は、幕府の直轄地であった地域を府と県に定めます。府と県を定める基準は「重要かどうか」でした。現在の県は、所在する県庁の管轄地域の略となります。

都道府県の制度=「都道府県制」

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都道府県は市町村と同等に位置づけられていて、上下関係はありません。区分は沿革上の理由になりますが、具体的にはどういった役割を果たすのでしょうか。その答えがわかる「都道府県制」について、ご紹介いたします。

\次のページで「市町村を包括する地方公共団体」を解説!/

市町村を包括する地方公共団体

都道府県制は、市町村を包括する広域の地方公共団体の制度で、3種類の事務を処理します。広域事務・絡調整事務・補完事務です。つまり市町村だけでは処理しきれない事務を、都道府県が請け負う制度となります。

都道府県に関する疑問

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ここまでで、さまざまな都道府県の知識を得られたのではないでしょうか。しかし、都道府県について知っていくうちに、新たな疑問も出てきたはずです。続いては、代表的な都道府県についての疑問をご紹介いたします。

「大阪と京都だけなぜ府?」:別格扱いする必要があったから

先述のとおり「府」という漢字は軍事・政治の拠点や、大都市を意味します。経済の中心であった大阪、天皇が住んでいる京都は最重要地でした。この2箇所を別格扱いするために「府」をつけたといわれています。

「北海道はなぜ道?」:五畿七道が由来

古代に日本の律令制における、広域地方行政区間を五畿七道と呼びます。1869年に北海道が新設されてからは、北海道も加わり五畿八道と呼ばれるように。「道」はその名残となります。

都道府県それぞれ歴史や意味がある!

「府」と「県」は江戸幕府の直轄領だったもので、「都」はもともと「府」だったもの。「道」はもともと地方名だったものです。都道府県には、意外と知らなかった歴史や意味があり、知れば知るほど面白いでしょう。

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「都」「道」「府」「県」は何が違う?成り立ちや呼び名の違い・制度や疑問などを雑学好きライターが詳しくわかりやすく解説



この記事では都道府県の違いについてみていきます。都市や地域名のイメージがあるよな。違いはずばり「歴史上で重要地域かそうでない地域だったか」のようですが、場所によって呼び方が違う・意味が違うなど調べてみるといろいろあるみたいです。

今回はそんな日本地図の歴史に欠かせない地域の違いを、定義から確認しつつ、雑学好きのライター熊家と一緒に解説していきます。

ライター/熊家

現在ライターとして、さまざま分野で活動している。文学や歴史などのジャンルが得意で、これまで多くの記事を執筆してきた。この経験を生かし文学や歴史、雑学などの知識をわかりやすく解説していく。

ざっくり都道府県の違いって何?

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日本地図は学校の授業で習い、47都道府県全部言える方は多いはずです。ただし、都道府県の違いについてはどうでしょうか。なんとなくはわかっても、くわしく説明できる方は少ないと思います。

はじめに、ざっくりと都道府県の違いについて知っていきましょう。

「都」は東京府と東京市の合併でできた

かつて江戸と呼ばれていた町は、ときを経て東京府東京市の2つに分裂していました。しかし、東京府と東京市の二重行政問題や戦争遂行上の問題が原因で、1943年に合併します。その結果、いまの東京都が生まれました。

「道」は北海道庁の設置とともにできた

かつて蝦夷地と呼ばれていた町は、ときを経て札幌県・函館県・根室県に分裂していました。しかし、機構改革とともに3つの県は廃止され、1886年に北海道全体を管轄する北海道庁ができました。この北海道庁が、いまの北海道の原形となります。

「府」は江戸・大阪・京都など重要地域にできた

はじまりは大政奉還後に明治政府が、奉行が支配した土地や開港した港などを府と称したことがはじまりです。1869年に政治の中心である東京、商都である大阪、御所のある京都を府にしました。(東京はその後、東京都になる)

「県」は重要地域以外にできた

先述では、東京・大阪・京都を府にしたとありましたが、実はそれよりも前に函館・越後・神奈川・長崎・甲斐・度会・奈良を府と称していました。そして、残った他の土地を県と呼んでいたことがはじまりです。

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