この記事では「眉を開く」について解説する。

端的に言えば眉を開くの意味は「心配事がなくなり安心する様子」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役のオンライン塾講師でライターのななを呼んです。一緒に「眉を開く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/なな

現役のオンライン塾講師であり、現在はライターとしても活動している。作文の添削をする際にひたすら辞書を引いた経験から、正しい日本語について常に考えるようになった。日本語の奥深さを伝えたいという熱い思いをもっている。

「眉を開く」の意味や使い方まとめ

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それでは早速「眉を開く」の意味や使い方を見ていきましょう。

「眉を開く」の意味は?

「眉を開く」には、次のような意味があります。

心配事がなくなって、晴れやかな顔になる。愁眉 (しゅうび) を開く。「文三の決心を聞いてお政は漸 (ようや) くー・いて」〈二葉亭・浮雲〉

出典:デジタル大辞泉(小学館)「眉を開く」

「眉を開く」は、「それまであった心配事がなくなり、安心した顔になる」という意味の慣用句です。心配や不安があると、眉間にしわをよせて厳しい顔つきになります。その心配事がなくなって安心し、眉と眉の間があいて明るい表情になる様子を表しているのですね。人の顔つきから心のうちを表現した慣用句のひとつです。

「眉を開く」の使い方・例文

「眉を開く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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1.海外で事故に巻き込まれた息子が無事だと知り、母親は眉を開いた。

2.試験当日に力が出しきれなかったと思っていたが、合格通知をもらって眉を開いた。

1の例文は、外国にいる息子が事故に巻き込まれたと聞いて心配していた母親が、無事だという知らせに安心したという内容です。気が気でない状態から、ほっと一安心する様子が伝わってきますね。2番目は、試験に落ちてしまったのではないかと心配していたところ、合格だと知ってほっとしたという例文。合格通知を手にしたときの、晴れやかな顔つきが想像できます。

「眉を開く」の類義語は?違いは?

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次に、「眉を開く」の類義語を確認していきます。

その1「愁眉を開く」

「眉を開く」の類語に、「愁眉(しゅうび)を開く」があります。「心配していたことがなくなり、安心すること」という意味です。「眉を開く」と同じように使えるため、先ほどの例文を「海外で事故に巻き込まれた息子が無事だと知り、母親は愁眉を開いた」と言いかえることが可能でしょう。愁眉とは、心配があってひそめた眉、つまり心配をしている表情のことです。

その2「胸をなでおろす」

「胸をなでおろす」は、日常的によく耳にする表現ですね。「心配がなくなったり期待通りになったりして安心すること」を意味します。不安に思っていたことが解決したとき、思わず心臓のあたりに手をあてて、「よかった!」と言うことがあります。表情に着目した「眉を開く」に対して、「胸をなでおろす」は安心したときのしぐさに注目した表現といえるでしょう。

先ほどの例文は、「海外で事故に巻き込まれた息子が無事だと知り、母親は胸をなでおろした」と言いかえることができます。

\次のページで「その3「息をつく」」を解説!/

その3「息をつく」

「緊張した状態から解放され、ほっと安心して一休みすること」を「息をつく」といいます。「安心する」という意味合いでは「眉を開く」と似ていますが、「息をつく」には「一休みする」というニュアンスがあり、その点で違いがあるといえそうです。「期限に追われていたが何とか間に合い、やっと息をついた」「繁忙期に入り、息をつく暇もない」などと使います。

その4「肩の荷がおりる」

「それまであった責任や負担などから解放され、気が楽になること」を意味するのが「肩の荷がおりる」です。「責任者をしていたプロジェクトが成功をおさめ、肩の荷がおりた」などと使いますね。「眉を開く」は心配事から解放されて安心する様子ですが、「肩の荷がおりる」は責任・負担・義務といったものがなくなることを表すため、意味合いの違いがあります。

その5「溜飲が下がる」

「たまっていた不満や不平などが消えて、すっきりすること」を意味する慣用句に、「溜飲が下がる」があります。溜飲(りゅういん)とは、食べ物が消化されず胃液が上がってくること。「溜飲が下がる」には「不満が消えてせいせいする」という意味合いがあるため、心配事が消えて安心する「眉を開く」とは違いがありますね。

「日頃から問題だと感じていたことを会議ですべて伝えることができ、溜飲が下がった」などと使えるでしょう。

「眉を開く」の対義語は?

「眉を開く」の「それまであった心配事がなくなり、安心した顔になる」という意味合いを考えると、「心配事が出てきて表情がくもる」といった意味を持つ表現が対義語に当てはまりそうです。ここでは2つの慣用句を紹介します。

その1「眉を曇らす」

「心配事があったり不快な思いをしたりして、表情が暗くなること」を、「眉を曇らす」と表します。安心した顔つきになる「眉を開く」とは反対の表情であり、対義語と考えられるでしょう。「親が病気だと言って眉を曇らす彼女に、かける言葉が見つからなかった」などと使えます。

その2「眉をひそめる」

「眉をひそめる」は、「心配や不快感、困惑などにより眉間にしわをよせて顔をしかめること」を意味する慣用句です。こちらも「眉を曇らす」同様、安心する表情の「眉を開く」とは反対の意味だといえるでしょう。「夜中に住宅街で騒いでいる若者の姿に眉をひそめた」などと使います。

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「眉を開く」の英訳は?

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最後に、「眉を開く」の英語表現を考えます。

「breathe a sigh of relief」

「眉を開く」には、「breathe a sigh of relief」という表現が使えるでしょう。breatheは「息をする」、sighは「ため息」、reliefは「安堵」を表す英単語です。直訳すると「安心してため息をつく」となります。

「トムが無事に帰宅し、彼の母親は眉を開いた」は、「When Tom got home safely, his mother breathed a sigh of relief.」と英訳できるでしょう。

「眉を開く」を使いこなそう

この記事では「眉を開く」の意味・使い方・類語などを説明しました。「眉を開く」は「それまであった心配事がなくなり、安心した顔になる」を表すのでしたね。あなたも心配事がなくなって安心したとき、「眉を開く」を使って状況を説明してみましょう。

今回は「眉を開く」でしたが、その他の顔のパーツを使った慣用句やことわざもたくさんあります。「目」や「口」など、ひとつのテーマを決めて辞典などで調べてみると楽しいかもしれませんね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「眉を開く」の意味や使い方は?例文や類語を現役塾講師ライターがわかりやすく解説!

1.海外で事故に巻き込まれた息子が無事だと知り、母親は眉を開いた。

2.試験当日に力が出しきれなかったと思っていたが、合格通知をもらって眉を開いた。

1の例文は、外国にいる息子が事故に巻き込まれたと聞いて心配していた母親が、無事だという知らせに安心したという内容です。気が気でない状態から、ほっと一安心する様子が伝わってきますね。2番目は、試験に落ちてしまったのではないかと心配していたところ、合格だと知ってほっとしたという例文。合格通知を手にしたときの、晴れやかな顔つきが想像できます。

「眉を開く」の類義語は?違いは?

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次に、「眉を開く」の類義語を確認していきます。

その1「愁眉を開く」

「眉を開く」の類語に、「愁眉(しゅうび)を開く」があります。「心配していたことがなくなり、安心すること」という意味です。「眉を開く」と同じように使えるため、先ほどの例文を「海外で事故に巻き込まれた息子が無事だと知り、母親は愁眉を開いた」と言いかえることが可能でしょう。愁眉とは、心配があってひそめた眉、つまり心配をしている表情のことです。

その2「胸をなでおろす」

「胸をなでおろす」は、日常的によく耳にする表現ですね。「心配がなくなったり期待通りになったりして安心すること」を意味します。不安に思っていたことが解決したとき、思わず心臓のあたりに手をあてて、「よかった!」と言うことがあります。表情に着目した「眉を開く」に対して、「胸をなでおろす」は安心したときのしぐさに注目した表現といえるでしょう。

先ほどの例文は、「海外で事故に巻き込まれた息子が無事だと知り、母親は胸をなでおろした」と言いかえることができます。

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