この記事では「身を砕く」について解説する。

端的に言えば身を砕くの意味は「非常に苦労や努力をする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役のオンライン塾講師でライターのななを呼んです。一緒に「身を砕く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/なな

現役のオンライン塾講師であり、現在はライターとしても活動している。作文の添削をする際にひたすら辞書を引いた経験から、正しい日本語について常に考えるようになった。日本語の奥深さを伝えたいという熱い思いをもっている。

「身を砕く」の意味や使い方まとめ

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それでは早速「身を砕く」の意味や使い方を見ていきましょう。

「身を砕く」の意味は?

「身を砕く」には、次のような意味があります。

1.大変な苦労・努力をする。身を粉 (こ) にする。「ー・いて研究にうち込む」

2.ひどく悩み苦しむ。「命も堪ふまじく、ー・きておぼし惑ふ」〈源・若菜下〉

出典:デジタル大辞泉(小学館)「身を砕く」

「身を砕く」は、「非常に苦労したり力の限り努力したりする」という意味の慣用句です。辞典では2つの意味が解説されていますが、現代においては主に1番目の意味で使われているといえるでしょう。自分の身体を粉々に砕いてしまうのではないかと思われるほど、努力や苦労をする様子を表しているのですね。

「身を砕く」の使い方・例文

「身を砕く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「身を砕く」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.彼女は休日を返上してまで、倒産寸前の会社をたて直そうと身を砕いている。

2.選手が最大のパフォーマンスを発揮できるように、彼は身を砕いてサポートしている。

1つ目の例文は、会社をたて直すために非常に苦労しているという内容です。選手の活躍をサポートするために、裏方の男性が一心に努力しているというのが2番目の例文。「身を砕く」という表現には、自分の身を犠牲にするくらい苦労や努力をするというようなニュアンスがありそうですね。

「身を砕く」の類義語は?違いは?

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次に、「身を砕く」の類義語を確認していきます。

その1「身を粉にする」

「身を粉にする」は「身を砕く」の類語と考えられます。「みをこにする」と読み、「みをこなにする」と読むのは間違いとされているため注意しましょう。「苦労があっても力の限り働く」という意味を持つ慣用句です。「身を砕く」と同じように使えますが、「身を粉にして働く」という使用例が多いのが特徴でしょう。「私たち兄弟を大学にいかせるために、両親は身を粉にして働いた」などと使えます。

その2「骨を折る」

「人のために力を尽くしたり、物事の達成のために苦労や努力をしたりすること」を「骨を折る」と表します。「目的の達成や他人のために苦労をいとわず行動する」という意味合いで使われ、「身を砕く」とは少しニュアンスの違いがありそうです。「友人が骨を折ってくれたおかげで、私は希望する会社に転職できた」などと使えるでしょう。

\次のページで「その3「粉骨砕身」」を解説!/

その3「粉骨砕身」

「粉骨砕身」は、「力を尽くして努力したり働いたりすること」を意味する四字熟語。「身を砕く」と同じ漢字を使うところからも、類語であることが分かります。骨が粉になり身が砕けるような苦労や努力は、生半可なものではありませんね。「地域医療のために粉骨砕身する」などと使えます。「粉骨砕心」と書くのは誤りとされているため注意してください。

その4「心血を注ぐ」

「すべての力を尽くして物事に取り組むこと」を意味する慣用句に、「心血を注ぐ」があります。「心血(しんけつ)」とは、「精神と肉体の全部」という意味です。何かひとつのことに自分のすべてを捧げて取り組むという意味合いであり、大きな苦労や努力を意味する「身を砕く」とはやや違いがあるといえそうですね。「彼はウイルスの研究に心血を注いだ」などと使えるでしょう。

「身を砕く」の対義語は?

「身を砕く」について、特定の対義語は見つかりませんでした。「非常に苦労したり力の限り努力したりする」という意味を考えると、「なまける」などの意味を持つ表現が対義語にあたると考えられそうです。ここでは参考に、3つの用語を紹介します。

その1「骨惜しみ」

「苦労や努力をすることを嫌い、仕事などをなまけること」を「骨惜しみ」といいます。大変な苦労や努力をする「身を砕く」とは、反対の様子を表しているといえるでしょう。苦労をいとわないことを意味する「骨を折る」を紹介しましたが、骨を折ることを嫌がれば「骨」を「惜しむ」となるのが慣用句のおもしろさですね。「彼は入社当初から骨惜しみせず働く姿が評価されてきた」なとど使えるでしょう。

その2「手を抜く」

「手を抜く」は、日常の会話でもよく使われる表現ですね。「必要なことを省いて、いい加減にすませること」を意味します。「彼女は細かい事務仕事で手を抜くくせがある」などと使えるでしょう。「手抜き工事」など、「手抜き」のかたちでも使用されます。

その3「油を売る」

「時間をつぶしたり無駄なおしゃべりをしたりして、仕事をなまけること」を「油を売る」といいます。なかなか出先から戻ってこない部下が帰社した際、「どこで油を売っていたんだ!」と怒鳴る上司の姿を、ドラマなどで目にすることがあるでしょう。身を砕いて仕事をする部下と、よく油を売っている部下では、上司の態度も違うかもしれませんね。

\次のページで「「身を砕く」の英訳は?」を解説!/

「身を砕く」の英訳は?

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最後に、「身を砕く」の英語表現を考えます。

「work one’s fingers to the bone」

「身を砕く」を英語で表現するには、「work one’s fingers to the bone」を使うとよいでしょう。fingerは指、boneは骨を表す英単語ですね。「to the bone」は「骨の髄まで徹底して」という意味のイディオム。「身を粉にする」の方が日本語訳として当てはまるかもしれません。

「Tom worked his fingers to the bone.」で「トムは身を砕いて働いた(身を粉にして働いた)」となるでしょう。

「身を砕く」を使いこなそう

この記事では「身を砕く」の意味・使い方・類語などを説明しました。「身を砕く」は「非常に苦労したり力の限り努力したりする」を表すのでしたね。あなたも大変な苦労をしたとき、「身を砕く」を使って表現してみましょう。

今回は、苦労や努力をすることに関する言葉を紹介しました。「身」を使った慣用句は他にも複数あります。辞典で一覧を調べてみるのも、おもしろいかもしれませんね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「身を砕く」の意味や使い方は?例文や類語を現役塾講師ライターがわかりやすく解説!

この記事では「身を砕く」について解説する。

端的に言えば身を砕くの意味は「非常に苦労や努力をする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役のオンライン塾講師でライターのななを呼んです。一緒に「身を砕く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/なな

現役のオンライン塾講師であり、現在はライターとしても活動している。作文の添削をする際にひたすら辞書を引いた経験から、正しい日本語について常に考えるようになった。日本語の奥深さを伝えたいという熱い思いをもっている。

「身を砕く」の意味や使い方まとめ

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それでは早速「身を砕く」の意味や使い方を見ていきましょう。

「身を砕く」の意味は?

「身を砕く」には、次のような意味があります。

1.大変な苦労・努力をする。身を粉 (こ) にする。「ー・いて研究にうち込む」

2.ひどく悩み苦しむ。「命も堪ふまじく、ー・きておぼし惑ふ」〈源・若菜下〉

出典:デジタル大辞泉(小学館)「身を砕く」

「身を砕く」は、「非常に苦労したり力の限り努力したりする」という意味の慣用句です。辞典では2つの意味が解説されていますが、現代においては主に1番目の意味で使われているといえるでしょう。自分の身体を粉々に砕いてしまうのではないかと思われるほど、努力や苦労をする様子を表しているのですね。

「身を砕く」の使い方・例文

「身を砕く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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