この記事では「冠を曲げる」について解説する。

端的に言えば冠を曲げるの意味は「不機嫌になる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役のオンライン塾講師でライターのななを呼んです。一緒に「冠を曲げる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/なな

現役のオンライン塾講師であり、現在はライターとしても活動している。作文の添削をする際にひたすら辞書を引いた経験から、正しい日本語について常に考えるようになった。日本語の奥深さを伝えたいという熱い思いをもっている。

「冠を曲げる」の意味や使い方まとめ

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それでは早速「冠を曲げる」の意味や使い方を見ていきましょう。

「冠を曲げる」の意味は?

「冠を曲げる」には、次のような意味があります。

不機嫌になる。つむじを曲げる。「からかうとすぐにー・げる」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「冠を曲げる」

「冠を曲げる」は「かんむりをまげる」と読み、「機嫌を悪くする」という意味の言葉です。昔、公家が自分より上位の人に対し、故意に冠をずらしてかぶることで抗議の気持ちを表したことに由来する表現とされています。

さらに、「冠を曲げる」からできたといわれる言葉が「お冠(おかんむり)」。「お冠」は「冠を曲げる」と同様に、「不機嫌な様子、怒っているさま」を表します。「冠を曲げる」と「お冠」を、セットで覚えてしまうとよいでしょう。

「冠を曲げる」の使い方・例文

「冠を曲げる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「冠を曲げる」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.こちらの態度が気に入らないといって、商談相手は冠を曲げてしまった。

2.父は帰りが遅くなるにもかかわらず連絡をしなかったため、母は冠を曲げた。

1の例文は、こちらの態度に不満を持った商談相手が機嫌を悪くしてしまったという内容です。2つ目は、連絡もなく帰りが遅くなった父親に対して、母親が不機嫌になったという例文ですね。

また、「こちらの態度が気に入らないといって、商談相手はお冠だ」「父は帰りが遅くなるにもかかわらず連絡をしなかったため、母はお冠だ」のように、どちらも「お冠」を使って言い換えることができるでしょう。

「冠を曲げる」の類義語は?違いは?

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次に、「冠を曲げる」の類義語を確認していきます。

その1「旋毛を曲げる」

「旋毛を曲げる」は「つむじをまげる」と読む慣用句で、「冠を曲げる」の類語といえるでしょう。「不機嫌になって意地悪な行動をとること」を意味します。機嫌が悪くなるのみならず意地悪をしている点で、「冠を曲げる」とややニュアンスの違いがありそうです。「後輩の服装を注意したところ、旋毛を曲げて挨拶をしなくなった」などと使えるでしょう。

その2「臍を曲げる」

「臍を曲げる(へそをまげる)」も「冠を曲げる」の類語と考えてよいでしょう。「旋毛を曲げる」と同様に、「不機嫌になって意地悪をする」という意味を持つ点で、「冠を曲げる」との違いがあるといえます。「親への反抗心からなのか、少し叱ると息子はすぐ臍を曲げる」などと使えるでしょう。

また、「あの男性は臍曲がりだ!」というときの「臍曲がり」は、「ひねくれている人」という意味です。

\次のページで「その3「風向きが悪い」」を解説!/

その3「風向きが悪い」

「風向きが悪い」には2つの意味があり、「形勢が自分にとって不利な状態」と「不機嫌な様子」を表します。後者の意味において、「冠を曲げる」の類語と考えてよさそうです。「旋毛を曲げる」や「臍を曲げる」のように、意地悪な行動をとるというニュアンスは含まれないでしょう。「今日は母親の風向きが悪く、朝から食卓の雰囲気が悪い」などと使えます。

その4「気色ばむ」

普段の生活ではあまり使わない表現かもしれませんが、「気色ばむ」という言葉があります。「けしきばむ」と読み、「怒った顔色になる」という意味を持つ表現です。怒りの感情が顔にあらわれる様子を示している点で、不機嫌な様子や態度を指す「冠を曲げる」とは違いがあるといえます。「彼は気色ばんでオフィスから出て行った」などと使えるでしょう。

「冠を曲げる」の対義語は?

「冠を曲げる」について特定の対義語は見つかりませんでした。「機嫌を悪くする」という意味合いを考えると、「機嫌がよい様子」を表す用語が対義語となりそうです。参考に、3つの言葉を紹介します。

その1「満悦」

「喜びを感じて満足な様子」を意味する「満悦(まんえつ)」。不機嫌を意味する「冠を曲げる」とは反対の気持ちを表しているといえるでしょう。「普段は怒ってばかりの上司だが、飲み会で後輩に囲まれてご満悦の様子だった」などと使えます。

その2「上機嫌」

文字が表す通り「とても機嫌がよい様子」を表すのが「上機嫌」です。「満悦」と同様、「冠を曲げる」とは反対の意味合いとなるでしょう。「行きつけのレストランで料理をサービスしてもらい、彼は上機嫌だ」などと使えます。

その3「喜色」

喜ぶ色と書いて「喜色(きしょく)」という熟語があります。「喜色満面」などと使われ、「うれしそうな表情・様子」を表す言葉です。「冠を曲げた」人とは、反対の感情があらわれた顔つきだといえそうですね。

\次のページで「「冠を曲げる」の英訳は?」を解説!/

「冠を曲げる」の英訳は?

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最後に、「冠を曲げる」の英語表現を考えます。

その1「be cross with」

「be cross with」で「冠を曲げる」の意味合いを表すことができるでしょう。「be cross with~」は「~のことで不機嫌な」という意味のフレーズです。「トムは弟のことで冠を曲げた」は、「Tom was cross with his brother.」と訳せそうですね。

その2「be in a bad mood」

「be in a bad mood」を使って不機嫌な状態を表せそうです。moodは「気分」や「機嫌」を意味する英単語ですね。「My mother was in a bad mood.」で「母は冠を曲げていた」 となるでしょう。

「冠を曲げる」を使いこなそう

この記事では「冠を曲げる」の意味・使い方・類語などを説明しました。「冠を曲げる」は「機嫌を悪くする」を表すのでしたね。あなたも誰かの機嫌をそこねてしまったとき、「彼は冠を曲げた」と使ってみましょう。

今回は「不機嫌」に関する慣用句が中心でした。他にも、人の気持ちを表す慣用句やことわざを辞典で探してみるのもおもしろいでしょう。微妙な心の動きを巧みに表現する言葉を覚え、語彙力アップを目指しましょう!

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国語言葉の意味

【慣用句】「冠を曲げる」の意味や使い方は?例文や類語を現役塾講師ライターがわかりやすく解説!

この記事では「冠を曲げる」について解説する。

端的に言えば冠を曲げるの意味は「不機嫌になる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役のオンライン塾講師でライターのななを呼んです。一緒に「冠を曲げる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/なな

現役のオンライン塾講師であり、現在はライターとしても活動している。作文の添削をする際にひたすら辞書を引いた経験から、正しい日本語について常に考えるようになった。日本語の奥深さを伝えたいという熱い思いをもっている。

「冠を曲げる」の意味や使い方まとめ

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それでは早速「冠を曲げる」の意味や使い方を見ていきましょう。

「冠を曲げる」の意味は?

「冠を曲げる」には、次のような意味があります。

不機嫌になる。つむじを曲げる。「からかうとすぐにー・げる」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「冠を曲げる」

「冠を曲げる」は「かんむりをまげる」と読み、「機嫌を悪くする」という意味の言葉です。昔、公家が自分より上位の人に対し、故意に冠をずらしてかぶることで抗議の気持ちを表したことに由来する表現とされています。

さらに、「冠を曲げる」からできたといわれる言葉が「お冠(おかんむり)」。「お冠」は「冠を曲げる」と同様に、「不機嫌な様子、怒っているさま」を表します。「冠を曲げる」と「お冠」を、セットで覚えてしまうとよいでしょう。

「冠を曲げる」の使い方・例文

「冠を曲げる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「冠を曲げる」の類義語は?違いは?」を解説!/

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