この記事ではシャツとブラウスの違いについてみていきます。

形だけ見るとどちらも似たような作りになっている。違いはずばりボタンの付き方のようですが、語源や用途を調べてみるとなぜ違うのか興味深いことがわかった。

今回はそんなシャツとブラウスの違いを、語源から確認しつつ、ハンドメイド作家平いずみと一緒に解説していきます。

ライター/平 いずみ

普段は刺しゅう作家兼Webライター。ハンドメイド業界に携わって17年になる。洋服づくりの経験もあり。

シャツとブラウスのざっくりとした違いとは?

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一見すると形が似ているシャツとブラウス。それぞれ会社に行くときに着たり、普段着で着たりとファッションアイテムとして身近な存在です。もし「違いは?」と聞かれたら、シャツは男性アイテム、ブラウスは女性アイテムと答える方も多いのではないでしょうか。

実は2つの違いは性別以外にもまだまだあるのです。そこで、いまから違いについて解説します。

シャツとは綿素材でボタン、襟、袖カフスがある前開きの洋服

シャツで代表的なものと言えば、ワイシャツをイメージする方も多いでしょう。会社や学校の制服として着る機会の多い洋服です。特徴は、綿素材で中央にボタンがついており、芯地の入ったしっかりとした襟、袖カフスがついている点になります。

ブラウスとは柔らかい素材でゆったりとしたシャツ風の洋服

一方、ブラウスは絹やポリエステルなど、ふんわりとした素材を使用しており、袖が膨らんでいるなど全体的にゆったりとした洋服です。ボタンはついているもの、ついていないものがあるでしょう。フリルやビジューなど装飾アイテムがついているものも。

シャツとブラウスの語源は?

それでは、シャツとブラウス成り立ちについて語源から解説します。

\次のページで「シャツの語源は「shirt」」を解説!/

シャツの語源は「shirt」

日本のシャツは英語の”shirt"から来ています。shirtの語源は古代英語の”scyrte”(スキルト)で、スカンジナビア語に由来し、「短い着物」という意味で使われていました。ちなみに、中世ではschirte、sherteなどと綴られていたとのことです。

ブラウスの語源は「blouse」

日本語のブラウスは英語の”blouse"から来ています。諸説ありますが、blouseの語源はイギリスの中世のチュニックのような形の洋服の「bliaud」(ブリオー)、または、フランスの農作業者たちが来ていた「blouse」(ブルーズ)から来ているとも。

他には、裾をボトムスに入れることをブラウジングとも言うため、そこからブラウスと言われるようになったとも言われています。

ワイシャツは和製英語

日本でのシャツと同義として扱われるワイシャツですが、これは英語で「white shirt」(ホワイトシャツ)と言っていたのが日本人には(ワイシャツ)と聞こえたことから、そう呼ぶようになった和製英語になります。

英語ではワイシャツのことは「dress shirt」と言うため注意しましょう。

それぞれの本来の用途って?

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シャツとブラウスは語源からして違うことがわかりました。さらに調べてみると、本来の用途も違っているのでみていきましょう。

シャツは男性用の肌着

今でこそ、クールビズなどの影響で暑い季節は1枚でも着るようになったシャツ。しかし、もともとは上着の下に着る男性用の肌着として作られたのがシャツの起源です。古代ではチュニックのような丈が長いものでしたが、中世になると丈が短くなり、フリルのついたラフと呼ばれる襟つきのものも貴族の間で流行していました。

19世紀ごろには、ボタンの普及により現在の形に近いものが、上流階級だけでなく一般人にも広まったと言われています。

ブラウスは女性や子供用の上着

シャツが男性の肌着という位置づけであった一方、ブラウスは女性や子供が一枚で着られる上着として誕生しました。現在のチュニックのような形が原型であるとも言われています。もともとは上流階級の女性が1枚で着る上着だっため、絹の素材で、襟や袖に豪華な刺繍の装飾がされていました。

19世頃になると女性の社会進出とともに、デザイン性はそのままに、活動しやすいブラウスにロングスカートを着用した女性たちが増えたと言われています。

\次のページで「ボタンの付き方に違いはある?」を解説!/

ボタンの付き方に違いはある?

シャツとブラウスの違いは用途以外に、さらにボタンの付き方が違うという大きく異なる点があります。それでは、解説しましょう。

シャツは右前

本来、男性用の下着として使われてきたシャツ。男性は自分自身で脱ぎ着していました。そのためボタンの着脱がしやすいように、右前にボタンがついているのです。

ブラウスは左前

一方、ブラウスは左前にボタンがついています。なぜシャツと同じではないのでしょうか。理由としては、上流階級の人たちは、メイドに洋服を着させてもらっていたからです。

左前のほうが使用人からすると着させやすかったのだとか。また、ボタンが後ろ見頃についていたり、後ろの襟についていたりするのもその名残りで、現在はデザインの一部として扱われています。

シャツとブラウスにまつわるマメ知識

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最後は、シャツとブラウスにまつわる豆知識です。素朴な疑問を一緒に解決しましょう。

ブラウスのクリーニング代が高いのはなぜ?

両方をクリーニングに持って行くと、ブラウスのほうが圧倒的にクリーニング代が高い場合が多いでしょう。というのも、シャツは素材がコットンで強く、機械による洗濯やアイロンができるため、低コストとなります。

一方、ブラウスは素材が絹などデリケートなものが多く、装飾がついているものも多いため、洗浄やアイロンは人がしないといけません。そのため、人件費がかかるブラウスのほうがクリーニング代が高くなっているのです。

\次のページで「カッターシャツって?」を解説!/

カッターシャツって?

ワイシャツの他の呼び方としてカッターシャツという呼び名もあります。この呼び方は、主に西日本中心に使われているそう。始まりは、スポーツメーカーのMIZUNO(旧・美津濃)が1918年に発売したシャツの商品名です。

「勝ったー!」という言葉を「カッター」ともじってカッターシャツと名前にしたところ、縁起が良いと学生たちの間で評判になり広まったと言われています。そのため、同じものですが呼び方が違うのです。

シャツとブラウスの明確な違いはボタンの付き方!

本記事では、シャツとブラウスの違いについて解説してきました。形は似ていますが、一番わかりやすい違いは、ボタンの付き方にあります。現代においてはシャツは男女の区別がなくなり、女性も着るようになっていますが、ボタンの位置はブラウスと同じく左前についたままなのも、歴史の名残とも言えるでしょう。

シャツやブラウスを着るときは、本記事のトリビアを思い出しながら着てみるのも楽しいかもしれませんね。

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形が似てるけどブラウスとシャツの違いって何?語源や用途・ボタンの位置などからハンドメイド作家がわかりやすく解説!

この記事ではシャツとブラウスの違いについてみていきます。

形だけ見るとどちらも似たような作りになっている。違いはずばりボタンの付き方のようですが、語源や用途を調べてみるとなぜ違うのか興味深いことがわかった。

今回はそんなシャツとブラウスの違いを、語源から確認しつつ、ハンドメイド作家平いずみと一緒に解説していきます。

ライター/平 いずみ

普段は刺しゅう作家兼Webライター。ハンドメイド業界に携わって17年になる。洋服づくりの経験もあり。

シャツとブラウスのざっくりとした違いとは?

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一見すると形が似ているシャツとブラウス。それぞれ会社に行くときに着たり、普段着で着たりとファッションアイテムとして身近な存在です。もし「違いは?」と聞かれたら、シャツは男性アイテム、ブラウスは女性アイテムと答える方も多いのではないでしょうか。

実は2つの違いは性別以外にもまだまだあるのです。そこで、いまから違いについて解説します。

シャツとは綿素材でボタン、襟、袖カフスがある前開きの洋服

シャツで代表的なものと言えば、ワイシャツをイメージする方も多いでしょう。会社や学校の制服として着る機会の多い洋服です。特徴は、綿素材で中央にボタンがついており、芯地の入ったしっかりとした襟、袖カフスがついている点になります。

ブラウスとは柔らかい素材でゆったりとしたシャツ風の洋服

一方、ブラウスは絹やポリエステルなど、ふんわりとした素材を使用しており、袖が膨らんでいるなど全体的にゆったりとした洋服です。ボタンはついているもの、ついていないものがあるでしょう。フリルやビジューなど装飾アイテムがついているものも。

シャツとブラウスの語源は?

それでは、シャツとブラウス成り立ちについて語源から解説します。

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