漫談と落語の違いは?
漫才と漫談の違いについて演者の人数を挙げましたが、同じく1人で語る話芸に落語があります。落語の歴史は非常に古いのですが、大衆的な娯楽として成立したのは江戸時代。声色や仕草だけで何人もの役を演じ分けながら落ちのある話を語る伝統芸能です。
漫談は基本的に演者は立ったままで話し、高座上を移動することもあります。衣装も派手なスーツから和服まで多種多様。それに対し落語は座布団に座り、着物に羽織という出で立ちです。話す内容にも違いがあり、世間話のような体裁の漫談に比べて、落語で語られるのはストーリー性が高く、洒落や言葉遊びのきいた落ちがある滑稽噺が大半となっています。それ以外にも夫婦や親子の情を語る人情噺があるほか、歌手の米津玄師が怪談噺の代表格である『死神』という演目を歌にして話題となりました。
人気のあのネタは漫才?それともコント?
漫才とコントの違いがはっきりしたところで、人気や評価の高いネタが漫才なのかコントなのかを確認していきましょう。わかりやすい特徴があるものを選んだので、その特徴も一緒に解説します。
かまいたちの『UFJ・USJ』は漫才!
かまいたちの『UFJ・USJ』はネット上でも評価の高いネタです。銀行のUFJとテーマパークのUSJを言い間違えたボケ担当の山内健司が、そのミスをツッコミ担当の濱家隆一になすりつけようとしたことで、2人が大喧嘩をするというモノ。2019年M-1グランプリの1stラウンドで披露され、審査員全員が90点以上を出しました。この漫才では水掛け論を終わらせるために「お客さんにどっちが間違ったのか聞こうや!」とのセリフがあり、観客がいることを意識した漫才の特徴がよく表れています。
ちなみに2019年M-1の優勝者はミルクボーイ。オカンが忘れた好きな朝食の名前を考える『コーンフレーク』というネタも、世代を問わず楽しめるしゃべくり漫才です。
東京03の『旅行』はコント!
2009年のキングオブコントで優勝した東京03。飯塚悟志、豊本明長、角田晃広からなるトリオで活躍しています。サンドウィッチマンやジャルジャルを抑えて優勝したのは『旅行』というコントで、男性2人と女性1人が旅行に行くものの、男性1人の失恋から雰囲気が悪くなるというネタです。序盤の「3人で旅行なんて大学以来か」というセリフで彼らの関係性を自然に説明しており、コントに特化した東京03の巧みな技術が光っています。演者が女装しているというのも、漫才ではできない演出の一つですね。
サンドウィッチマンの『街頭インタビュー』は漫才でありコント!
「面白い」や「高感度の高い」芸人として常にランクインしているサンドウィッチマン。2007年のM-1グランプリで敗者復活戦からの優勝を遂げてから、現在でも非常に人気の高い漫才コンビです。そのM-1で披露した『街頭インタビュー』は、ボケ担当の富澤たけしがツッコミ担当の伊達ミキオに街頭インタビューへの協力を依頼するというネタ。抱腹絶倒のインタビューが続く知名度の高いネタですが、これはコント漫才とコントの両方のバージョンがあります。それぞれ少しずつセリフや設定が変わっているので、見比べるのも面白いですよ。
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