
しゃべくり漫才とコント漫才

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漫才を見ていると、途中でコントが差し込まれるネタが多くあることに気付きます。筆者のお気に入りの芸人ではサンドウィッチマンやNON STYLEが頻繁にこの手法を使っていますね。基本は漫才なのに会話の流れでコントが入るものを「コント漫才」と言います。この項ではしゃべくり漫才とコント漫才の違いについて確認していきましょう。
しゃべくり漫才とは
元祖の漫才のスタイルはこのしゃべくり漫才です。読んで字の如く、最初から終わりまで演者たちの話芸と掛け合いだけで観客を楽しませます。時事や流行や巷説などを話題に雑談を始めて、次第にボケが頓珍漢なことを言い出し、相方がツッコミを入れるというのが共通した展開です。
漫才は古来からある伝統芸能(当時の表記は万才)ですが、現代のように娯楽性を高めたものが登場するのは明治時代になってから。当時の演者は和服を着用し、鼓などを打ち鳴らして演じていました。1930年に吉本興業の横山エンタツ・花菱アチャコがスーツで舞台に上がり、話芸のみで行う今のスタイルを作り上げたのです。
コント漫才とは
漫才中に演者たちがごっこ遊びをするのがコント漫才です。コント漫才の導入は漫才と同じで挨拶や自己紹介。その後「刑事になってみたいからお前は犯人の役をやってくれ」「もしものときに備えて謝罪会見の練習をしたい」など、これから始まる寸劇の設定に触れてからそれぞれが役を演じ始めます。
コントと違うのは、ごっこ遊びがスムーズにいかないときに一旦漫才に戻ってツッコミを入れられること。同じシーンを何度も繰り返すことも可能です。ネタの終わりには再び漫才の形式に戻り、お決まりのセリフで締めくくります。
コントで演じたネタを簡易化させてコント漫才として披露するパターンもありますね。
漫談・落語との違い

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漫才と同じ話芸として漫談や落語が挙げられます。漫才と漫談はなんとなく似たような立ち位置にある気がしますが、その違いは何なのでしょう。同じように語りで観客を笑わせる落語との違いも一緒に解説していきます。
漫才と漫談の違いは?
まず、そもそも漫談とは何かを説明しましょう。漫談は漫談家が時事ネタや社会風刺、馬鹿馬鹿しい話を観客に語って聞かせる演芸です。無声映画が主流だった時代、映像に合わせて解説やセリフを入れる活動弁士という仕事がありましたが、日本でもトーキーが普及するにつれて、彼らの仕事は衰退してしまいます。仕事がなくなった活動弁士たちがその話術を生かして寄席の高座に立ったことが、漫談の始まりです。
漫才と漫談のもっとも大きな違いは演者の人数。漫才はボケとツッコミの2人が会話形式でネタを展開させますが、漫談は1人で観客の興味を引くような話を面白おかしく語ります。有名な漫談家である綾小路きみまろの「あれから30年!」は中高年層に非常に高い人気を誇っていますよね。そのほか、ウクレレやギターを持って演奏しながら漫談するスタイルもあります。
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