英語力を測る試験・検定はいくつかありますが、その中でも紛らわしいTOEICとTOEFLについてみていきます。TOEICもTOEFLも、同じETS(Educational Testing Service)と呼ばれる非営利団体によって実施・運営されているが、その内容にはいくつか違いがある。英語を勉強している読者は、どちらを受験すればよいのか、本記事を参考にしてみてほしい。

今回は英米文学科卒のぽりにかに解説してもらおう。

ライター/ぽりにか

学生時代には英米文学科で翻訳学について学んでいた。塾の講師を務めていた経歴もあり、英語の知識や英語学習について詳しい。

「TOEIC」と「TOEFL」のざっくりとした違い

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「TOEIC」と「TOEFL」はどちらも英語力を測るための検定です。それぞれどのような違いがあるのか解説します。

TOEICは就職やビジネスに使われる

恐らく英語の試験の中でも聞きなじみのある「TOEIC」は、一般的に英語によるコミュニケーション力の指標です。なので、大学入学後や就職活動、あるいは海外転勤や昇進といった様々なケースで、一定の数値を求められることがあります。

TOEFLは留学の際に使われる

「TOEFL」はアカデミックな内容を多く含んでいる試験です。アメリカやオーストラリアなどの教育機関で、入学基準として受験を求められることがあります。そのため、留学を目的に受講されるケースが多いことが特徴です。

「TOEIC」と「TOEFL」の違いは試験の目的

「TOEIC」と「TOEFL」の違いは試験の目的であることを解説しましたが、両者の違いをもう少し詳しく説明します。

「TOEIC」は主にビジネスで使われる

「TOEIC」は、Test of English for International Communicationの略称です。直訳すると、「国際的なコミュニケーションの為の英語の試験」となります。その名の通り、TOEICは日常会話やビジネスでの英語力の測定のための試験です。そのため、学生からビジネスパーソンまで、幅広い層に向けた英語力測定のための試験だといえます。大変人気な試験となっており、国内では2020年度には約169万人もの人が受験しました。

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「TOEFL」は留学の際に必要

一方の「TOEFL」は、Test of English as a Foreign Langageの略称です。直訳すると、「外国語としての英語の試験」となります。つまり、英語を母国語としない人に向けた英語力測定のための試験です。TOEFLは留学の際に求められることが多い試験となっています。

何故「TOEIC」と分かれているのかというと、外国の学校で専門的な知識を学ぶ上では、普段のコミュニケーション力とは異なる語学力を求められるからです。目的が限定的な分、TOEICよりは受験者数は少ないですが、近年では大学入学時にスコアを参照する日本の大学も増えてきています。

「TOEIC」と「TOEFL」の試験内容

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「TOEIC」と「TOEFL」には、試験内容にも大きな違いがあります。それぞれの試験内容についてみていきましょう。

「TOEIC」の試験形式は2時間で200問!

実は「TOEIC」の中にもいくつか種類はありますが、ここでは代表的な形式であるTOEIC Listening & Reading Test(L&R)について解説します。

「TOEIC L&R」は、その名の通りReading(読む)能力とListening(聞く)能力を測定する試験です。TOEICの試験時間は2時間。リスニングテスト45分(100問)、及びリーディングテスト75分(100問)で構成されています。試験中に休憩時間はなく、45分のリスニングテストが終了したらそのままリーディングテストという流れです。

試験は指定の会場で行われます。マークシート(紙)方式で、点数はリスニングとリーディングを併せて990点満点です。正解数に応じたスコアが算出され、合格・不合格といった結果はありません。

「TOEFL」はライティングやスピーキングもある!

「TOEFL」にもいくつか種類がありますが、一般的にTOEFLと言われた時に指すのは、インターネットで受験するTOEFL iBTです。

「TOEFL」は英語のアカデミックな活用が可能かどうかを図る試験ですので、リスニングやリーディングに加え、スピーキング(話す)やライティング(書く)が出題されます。TOEFLの試験時間は約3時間で、設問数は200問。満点は120点で、配点はそれぞれ30点ずつです。

TOEICとTOEFLの難易度の違いは?

試験内容の異なる「TOEIC」と「TOEFL」ですが、その難易度も異なります。それぞれの難易度と、どちらがより難しいかについてみていきましょう。

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TOEICの難易度:高校卒業レベルで約600点

「TOEIC」で600点を取得するために必要な語彙数は約5,000語と言われており、高校までで習う語彙数とほぼ同じです。600点の取得は、英語におけるコミュニケーション能力があるとされる一つの指標とされています。

TOEFLの難易度:TOEICよりも難しい

試験時間が3時間とTOEICよりも更に1時間長いため、英語に対する集中力が求められます。問題の傾向も、TOEICに比べアカデミックな内容が多いのが特徴です。従って、求められる語彙についても、より専門的な単語を理解しておかなければなりません。

「TOEIC」、「TOEFL」の試験対策

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試験内容や難易度が異なる「TOEIC」と「TOEFL」。基礎的な英語力に加えて、それぞれどのような対策が必要か解説します。

「TOEIC」は英語のリーディングに慣れておこう!

「TOEIC」は2時間で200問を解く必要があり、特にリーディングは長文読解も含まれるので、かなりのスピードを要求されます。日頃から英文を読む習慣をつけ、読解のスピードを上げておきましょう。問題の傾向としては、ビジネスシーンや日常会話が題材となる傾向にあります。模擬問題などを通じて、それらのテーマに慣れておくとよいでしょう。

「TOEFL」は必ず模擬試験を受けておこう!

「TOEFL」では、TOEIC L&Rにはないスピーキング形式やライティング形式の問題もありますので、通常の英語力に加えて、TOEFLに向けて準備をしておく必要があるでしょう。

また、TOEFL iBTはテスト全編を通じてパソコンを通じて行います。特にスピーキングは、マイクに向かって録音するという特殊な受講方法になりますので、問題内容の対策だけではなく、模試を通じてリハーサルをしておくとよいでしょう。

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その他の英語の試験「英検」、「IELTS」

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英語力を測る試験、検定は他にもいくつかあります。ここでは「英検」、「IELTS」について解説していきましょう。

小中学生に人気の「英検」

「英検」の正式名称は実用技能英語検定です。公益財団法人日本英語検定協会が実施する、日本発の英語検定となります。文部科学省が後援をしているため、日本の英語教育における一つの指標と言えるでしょう。

英検は5級から1級の全7級(準2級と準1級があります)に分かれています。特に小中学生に人気の検定となっており、中学卒業程度の技能を求められる英検3級を高校受験時期に受験された方も多いのではないでしょうか。

もう一つのスタンダード「IELTS」

「IELTS」はInternational English Language Testing Systemの略で、英語運用能力評価試験を意味します。「IELTS」は、海外への留学や移住、外国企業への就職など、英語を使用する国で生活する上で受講を求められることが多い試験です。また、試験内容もTOEFLと同じ4技能ですが、IELTSは筆記試験になります。国や機関によってはTOEFLを認めない場合がありますので、その場合にIELTSを受講しましょう。

特にイギリスでは、留学ビザにTOEFLを認めないケースがありますので、留学を検討している場合にはしっかりと要綱を確認しておく必要があります。

目的意識をもった英語学習を心がけよう!

「TOEIC」と「TOEFL」の違いを中心に、英語の試験・検定について解説していきました。英語学習は終わりのない積み重ねなので、しっかりと目的意識をもって取り組んでいきたいですね。試験目的の異なる「TOEIC」や「TOEFL」は、目的意識を持った英語学習に最適な指標となりますので、本記事で違いをしっかりと理解し、積極的にチャレンジしてみてください!

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資格・専門雑学

3分でわかるTOEICとTOEFLの違い!留学や就職に有利なのはどっち?難易度やIELTSなども元英米文学部ライターがわかりやすく解説!

英語力を測る試験・検定はいくつかありますが、その中でも紛らわしいTOEICとTOEFLについてみていきます。TOEICもTOEFLも、同じETS(Educational Testing Service)と呼ばれる非営利団体によって実施・運営されているが、その内容にはいくつか違いがある。英語を勉強している読者は、どちらを受験すればよいのか、本記事を参考にしてみてほしい。

今回は英米文学科卒のぽりにかに解説してもらおう。

ライター/ぽりにか

学生時代には英米文学科で翻訳学について学んでいた。塾の講師を務めていた経歴もあり、英語の知識や英語学習について詳しい。

「TOEIC」と「TOEFL」のざっくりとした違い

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「TOEIC」と「TOEFL」はどちらも英語力を測るための検定です。それぞれどのような違いがあるのか解説します。

TOEICは就職やビジネスに使われる

恐らく英語の試験の中でも聞きなじみのある「TOEIC」は、一般的に英語によるコミュニケーション力の指標です。なので、大学入学後や就職活動、あるいは海外転勤や昇進といった様々なケースで、一定の数値を求められることがあります。

TOEFLは留学の際に使われる

「TOEFL」はアカデミックな内容を多く含んでいる試験です。アメリカやオーストラリアなどの教育機関で、入学基準として受験を求められることがあります。そのため、留学を目的に受講されるケースが多いことが特徴です。

「TOEIC」と「TOEFL」の違いは試験の目的

「TOEIC」と「TOEFL」の違いは試験の目的であることを解説しましたが、両者の違いをもう少し詳しく説明します。

「TOEIC」は主にビジネスで使われる

「TOEIC」は、Test of English for International Communicationの略称です。直訳すると、「国際的なコミュニケーションの為の英語の試験」となります。その名の通り、TOEICは日常会話やビジネスでの英語力の測定のための試験です。そのため、学生からビジネスパーソンまで、幅広い層に向けた英語力測定のための試験だといえます。大変人気な試験となっており、国内では2020年度には約169万人もの人が受験しました。

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