今日は「消費期限と賞味期限の違い」を説明します。
冷蔵庫でうっかり食べ忘れたものを見つけた時、「消費期限と賞味期限、過ぎていたら食べられないのはどっちだ?」と迷うことはないでしょうか。
ですが、この二つの言葉の違いは意外とシンプルです。よって、理解さえすれば今後は迷いも焦りも必要なくなるでしょう。
今回は、世界各国から様々な食品の輸入を手掛ける現役商社マンMIYABIと一緒に解説していきます。

ライター/MIYABI

某大手商社の食品部門に勤務する現役営業ウーマン。主にヨーロッパの食材の営業・マーケティングに携わる。パスタからオリーブオイル、デザートからワインまで、毎日山のような食品に囲まれて仕事をしている。

「消費期限・賞味期限」の定義と違い

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消費期限と賞味期限の違い、それは端的に言えば「劣化の早さ」です。ほぼすべての加工食品には、「消費期限」「賞味期限」のいずれかを表示するよう法で定められています。しかし、この似通った二つの言葉に戸惑うことはありませんか?ここではまず、二語の定義を抑えながらその違いを理解していきましょう。

消費期限は「口にしていい最終期限」のこと

消費期限とは、一言で言うと「その食品を口にしていい最終期限」のことです。記載の年月日までは安全に食べられますが、それを過ぎたら食べない方がいいという表示になります。主に、弁当や惣菜、サンドイッチやパン、肉類、ケーキといった、劣化が早く速やかに消費すべき食品が対象です。

ただし、この期限表示は、未開封かつ記載の保存方法を守って保存している場合に有効となります。よって、一度開封したものや、冷蔵保存のところを常温で放置した商品などは「表示されている消費期限内であっても安全とは言えない」となるのです。

賞味期限は「おいしさを保証する期限」のこと

賞味期限とは、期限内は品質が変わらずおいしく食べられるという意味、つまり「おいしさを保証する期限」です。よって、過ぎた途端に口にできなくなるほど激しく劣化をするわけではないため、即座に捨てなくてもいいという意味になります。ここが消費期限との違いですね。賞味期限は主に、スナック菓子、レトルト食品、カップめん、缶詰などに表示されます。ただし、こちらも消費期限と同様に、未開封かつ記載の保存方法を守っていることが前提です。

「消費期限・賞味期限」どちらも表示がない商品もある

実は、一部には、消費期限と賞味期限どちらの表示もない商品が存在します。例えば塩、砂糖、アイスクリーム、チューインガムなどです。なぜならば、長期間保存しても品質が変化しないものは期限記載の義務はないと法律で定められているからなのですね。是非おうちにある塩や砂糖の表示を確認してみてください。

「消費期限・賞味期限」どちらを表示するか決め方と設定方法

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では、なぜ期限表示は「消費と賞味」二つに分かれているのでしょうか。ここでは、どちらの期限をどう区分して付けるのかその条件と、その日数はいかにして定められるのかをご紹介します。

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「消費期限」は5日以内に食べるべきものに

消費期限は、早く食べるべき劣化しやすい食品に表示されます。具体的には、「製造(加工)後、5日以内に食品の劣化が始まると考えられる食品」です。確かに、お刺身や肉、ケーキなどを考えると頷けますね。こういった「足が早い」と言われるものは「5日以内」という基準をもって消費期限が表示されているのでした。

「賞味期限」は劣化が遅めの商品につくがその長さはピンキリ

賞味期限は、品質が劣化しづらいとされている食品に表示されます。その範囲は幅広く、例えば、製造からの品質保持が10日程度のものから、数年に渡って問題ない商品まで様々です。賞味期限の表示には2つのパターンがあり、賞味期限が製造後3ヶ月以内のものは「年月日」まで表示、3ヶ月以上という長期で保存可能なものは「年月」のみの表示でも認められています。

設定方法は製造業者の検査による

では、その具体的な日数は、一体誰がどのように設定しているのでしょうか?それは製造者自身です。

製造業者は、自社の責任の元、社内外の検査によってその日数を設定します。検査には「理化学検査」「微生物検査」「官能評価」などが用いられ、化学と人の五感をもって総合的に判断されるのです。ただし、製品に期限が記載される時には、実際の検査結果よりも短いものが記されます。これは、安全面を考慮してのことです。なお、これらは厚生労働省と農林水産省が定めたガイドラインに沿って行われています。

「消費期限・賞味期限」からどれくらいまで食べていいものか?

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さて、ここからは、実際に期限切れを発見した際にどうするべきかを確認していきましょう。

消費期限が切れたら「もう食べない!」と決める

消費期限切れの食品を見つけた時、それは「もう食べない!」と決めることです。いくら期限表示には若干の猶予があるとはいえ、消費期限に関して言えば、これを超して食べるのは衛生的にお勧めできません。よって、消費期限が過ぎたら諦めてすぐに廃棄をしましょう。 もったいない気持ちは当然ですが、ここは安全が第一。次回はごみにしないよう工夫すればいいのです。

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賞味期限切れ:卵の場合

実は、卵は実際よりもかなり短く期限表示がされています。なぜなら、卵の賞味期限は「夏に生で食べる」ことを前提にした日数で、夏冬問わず年間一律で記載されることが通例だからです。よって、きちんと冷蔵してある場合、夏はともかく冬場については、記載よりも1か月ほど長く食べることができます。

ただし、期限が切れたら基本的には生で食することは推奨されていません。そのため、「卵は賞味期限が切れても食べられる。ただし、その場合は生ではなく加熱して食べること。夏場は特に、期限が過ぎたらすぐ食べる。」と覚えておきましょう。

賞味期限切れ:牛乳の場合

乳業メーカーなどによると、未開封の牛乳については、10℃以下できちんと保存していれば多少賞味期限を超えても飲めるようです。見た目やにおい、味に異変を感じなければ問題はないでしょう。ただし、開封済みの商品については、「賞味期限にかかわらず開封後2日程度」が目安とされていますのでご注意を。「一旦開封したら賞味期限は意味をなさない」という原則はお忘れなく!

正しい知識は食品ロス対策につながる

昨今問題になっている「食品ロス」。その要因の一つが「賞味期限切れ商品」の廃棄です。令和3年発表の農林水産省や消費者庁の情報によると、日本で発生した食品ロスは、飢餓に苦しむ人々に世界が援助した食品量の1.4倍に上るという事実を知っていますか?これはとても衝撃的ですね。

食品ロスについて、私たちができることはたくさんあります。まずは、きちんと消費期限と賞味期限について知る。食品を買う前に冷蔵庫をしっかりチェックする。賞味期限が切れてもすぐには捨てず、熱するなど工夫して食す。そして、自分の生活にフィットした食品量のみを保管する。これらは一見、とても小さなアプローチかもしれません。ですが、「正しく知り身近なことから実行する」ことが、まさに食品ロス対策なのです。

「消費期限・賞味期限」の英語表記は?

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さて次に、消費期限と賞味期限は英語でどのように表現されるのかを見ていきましょう。

消費期限は「expiration date」や「use by date」など

消費期限は「expiration date」「expiry date」「used by date」 などと表記されます。私も仕事では、略語の「EXP」をよく目にしますよ。

なお、同じ英語表記でも、イギリス式とアメリカ式では日付の記載順が異なります。イギリス式は「日/月/年」表示、アメリカ式は「月/日/年」表示となるのです。例えば期限が2021年12月31日までの場合、イギリス式は「31/12/2021」、対してアメリカ式は「12/31/2021」です(ただし、月の表示は「DEC」、年の表示は「21」などと略語になる場合も)。国により表示が異なるため、私も一瞬戸惑うことがあります。

ただし、日本で流通する商品には、日本の法律に沿って分かりやすく期限表示がされているはず。よって、おかしいなと思ったら、違う場所にも記載があるか探してみてくださいね。

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賞味期限は主に「best before date」など

賞味期限は「best before date」「best before」「best by date」 などと表記されます。「Best if used by」なども見かけますね。また、「BBD」や「BD」などと省略されることも多いです。実際に私も仕事では、「あの商品、BBDいつだっけ?」など略語を多用しています。

期限表示に慣れれば怖くない!

消費期限・賞味期限の意味を正しく知ると、期限切れ商品の扱いを自分自身で判断できるようになってきます。そうなればもう、悩んだり恐る恐る食べる必要はなくなりますね!

ただ、期限切れを見て悩むということは、金銭的にも食材ロス的にも「もったいない」と思う気持ちの表れ。私は、それは人としてとても素晴らしいことだと思います。自分のお財布のため、そして食材ロス解消のためにも、まずは期限表示そのものに慣れていくことから始めましょう!

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雑学食べ物・飲み物

3分で分かる消費期限・賞味期限の違い!定義や法律・表示の見方などを食品のプロがわかりやすく解説!

今日は「消費期限と賞味期限の違い」を説明します。
冷蔵庫でうっかり食べ忘れたものを見つけた時、「消費期限と賞味期限、過ぎていたら食べられないのはどっちだ?」と迷うことはないでしょうか。
ですが、この二つの言葉の違いは意外とシンプルです。よって、理解さえすれば今後は迷いも焦りも必要なくなるでしょう。
今回は、世界各国から様々な食品の輸入を手掛ける現役商社マンMIYABIと一緒に解説していきます。

ライター/MIYABI

某大手商社の食品部門に勤務する現役営業ウーマン。主にヨーロッパの食材の営業・マーケティングに携わる。パスタからオリーブオイル、デザートからワインまで、毎日山のような食品に囲まれて仕事をしている。

「消費期限・賞味期限」の定義と違い

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消費期限と賞味期限の違い、それは端的に言えば「劣化の早さ」です。ほぼすべての加工食品には、「消費期限」「賞味期限」のいずれかを表示するよう法で定められています。しかし、この似通った二つの言葉に戸惑うことはありませんか?ここではまず、二語の定義を抑えながらその違いを理解していきましょう。

消費期限は「口にしていい最終期限」のこと

消費期限とは、一言で言うと「その食品を口にしていい最終期限」のことです。記載の年月日までは安全に食べられますが、それを過ぎたら食べない方がいいという表示になります。主に、弁当や惣菜、サンドイッチやパン、肉類、ケーキといった、劣化が早く速やかに消費すべき食品が対象です。

ただし、この期限表示は、未開封かつ記載の保存方法を守って保存している場合に有効となります。よって、一度開封したものや、冷蔵保存のところを常温で放置した商品などは「表示されている消費期限内であっても安全とは言えない」となるのです。

賞味期限は「おいしさを保証する期限」のこと

賞味期限とは、期限内は品質が変わらずおいしく食べられるという意味、つまり「おいしさを保証する期限」です。よって、過ぎた途端に口にできなくなるほど激しく劣化をするわけではないため、即座に捨てなくてもいいという意味になります。ここが消費期限との違いですね。賞味期限は主に、スナック菓子、レトルト食品、カップめん、缶詰などに表示されます。ただし、こちらも消費期限と同様に、未開封かつ記載の保存方法を守っていることが前提です。

「消費期限・賞味期限」どちらも表示がない商品もある

実は、一部には、消費期限と賞味期限どちらの表示もない商品が存在します。例えば塩、砂糖、アイスクリーム、チューインガムなどです。なぜならば、長期間保存しても品質が変化しないものは期限記載の義務はないと法律で定められているからなのですね。是非おうちにある塩や砂糖の表示を確認してみてください。

「消費期限・賞味期限」どちらを表示するか決め方と設定方法

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では、なぜ期限表示は「消費と賞味」二つに分かれているのでしょうか。ここでは、どちらの期限をどう区分して付けるのかその条件と、その日数はいかにして定められるのかをご紹介します。

\次のページで「「消費期限」は5日以内に食べるべきものに」を解説!/

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