この記事では三線と三味線の違いを解説していきます。両方とも似たような形・音色で、区別がしにくいよな。

三線といえば沖縄県のイメージですが、実は三味線より歴史が古いらしのです。その背景も一緒に勉強していこう。

もちろん音楽的要素の違いも解説していくから、沖縄県出身で三線のを弾きこなす音楽クリエイターのishkaと一緒に勉強していきます。

ライター/ishka

会社員兼WEBライター兼音楽クリエイター。高校生の頃はバンド活動に専念し、大学生からはDAWを使ったソロの音楽制作を始める。現在は「あなたの人生にBGMを。」をテーマに、日々楽曲制作に奮闘中。

三線と三味線の違いはざっくりコレ

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まずはざっくりと、三線と三味線の違いについて解説していきます。どちらも楽器なのですが、それぞれの由来から知るとより面白いので、歴史的背景の違いもまとめてみました。

三線と三味線の違いをまとめると、以下のようになります。

◆三線
・中国の三絃から進化
・胴に蛇の皮が使用されている
・義甲(水牛爪)で弾く
・比較的始めやすく初心者向け

◆三味線
・沖縄の三線から進化
・胴に猫や犬の皮が使用されている
・イチョウ型のバチで弾く
・少し演奏難易度が高め

三線と三味線の歴史背景

それではまず、それぞれの歴史について見ていきましょう。よくあるイメージとして、「三線 = 沖縄」「三味線 = 日本」があると思います。このイメージがあることで、「日本の三味線が沖縄に渡って三線になったんでしょ?」とお思いの方がいらっしゃいますが、これは間違いなんです!

実は三線の方が三味線より歴史が古いことが明らかになっています。詳しい解説に入っていきましょう!

三線は三味線より歴史が古い

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User Kallgan on zh.wikipedia - Originally from zh.wikipedia; description page is (was) here 03:40 2005?9?24? Kallgan 800x409 (141,343??) (?????? {{PD-art}}), パブリック・ドメイン, リンクによる

時代は室町時代まで遡ります。当時沖縄県は、琉球王国と呼ばれる独立国家として栄えていました。琉球王国は、東シナ海の中心に位置していた利便性から、東アジアの国々との中継貿易を行うことで経済を発展させていました。

14世紀末、中継貿易で中国より伝来したのが、「三絃(サンスェン)」と呼ばれる三線の原型となる楽器です。15世紀に入ると当時の琉球国王・尚真(ショウシン)によって、三線は士族の教養として普及しました。

17世紀に入ると、三線は正式な宮廷楽器として採用され、中国から来る冊封使の接待や年中行事で使われるようになったのです。

\次のページで「三味線は三線の進化系」を解説!/

三味線は三線の進化系

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Jean-Pierre Dalbéra from Paris, France - Fumie Hihara au shamisen (auditorium du musée Guimet), CC 表示 2.0, リンクによる

ここまで、14世紀にあった三絃の伝来から、17世紀の三線としての普及までを説明してきました。次に、三線はどのように三味線へと進化していったのか見ていきましょう。

三線が日本へと伝わったのは、戦国時代(16世紀頃)と言われております。当時日本の国際貿易の拠点であった大阪府の堺に、琉球王国か三線が伝わりました。その後、製造方法などの改良を重ねることで三味線という形で日本で普及したのです。

三線と三味線の作りはこんなに違う!

三線と三味線の歴史で、三味線は製造方法が改良されたと解説しました。ここでは、具体的にどのように製造方法が異なるのか、そしてなぜ異なったのかをお話ししていきます。

三線と三味線の違いを説明するのに外せないのが、胴に使用される皮の違いです。ざっくり説明すると、三線は蛇の皮、三味線は猫や犬の皮が使用されております。詳しく見ていきましょう。

三線の胴体は蛇の皮で作られる

三線の胴には、伝統として蛇(ニシキヘビ)の皮が使用されています。よく沖縄のイメージから、「三線に使用されているのはハブの皮でしょ?」と勘違いされやすいのですが、ハブからは採取できる皮の量が少ないため、大型のニシキヘビから皮を採取しているんです。

元々は輸入していたインドニシキヘビ皮を使用していたのですが、現在はワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)に触れる可能性があることから、ビルマニシキヘビアミメニシキヘビの養殖により採取されております。

三味線の胴体は猫や犬の皮で作られる

Japanese traditional furry art1.jpg
不明 - 不明, パブリック・ドメイン, リンクによる

三線の進化系である三味線ですが、猫や犬の皮が使用されている場合が多いです。三線の皮に使われているニシキヘビが、日本本土には生息しておらず、皮の入手が困難でした。そこで改良を重ねた結果、猫や犬の皮が使われるようになったのです。

主流は猫の皮で作られた三味線で、これは猫のお腹の皮を使用します。1匹あたり1丁分ほどしか取れないため、比較的高価です。犬の皮を使う場合は、背中の皮をとります。こちらは1匹あたり数丁分採取することが可能です。

また最近では、他のカンガルーの皮を使用した三味線もあり、今後動物愛護の観点から、様々な動物から分散して材料を調達する三味線や楽器が増えることが予想されます。

三線と三味線の弾き方は一緒?

続いて、三線と三味線の弾き方について見ていきます。それぞれルーツが同じということもあり、両者の弾き方は非常に似ているんです。しかし、弾くときに使う道具に違いがあるので、詳しく見ていきましょう。

\次のページで「三線と三味線の弾き方には共通点が多い!」を解説!/

三線と三味線の弾き方には共通点が多い!

まずは三線と三味線の弾き方の共通点です。両者とも基本的な演奏フォームが同じで、左手で竿を持ち弦を押さえ、右手で弦を弾くことで音を出します。

また、両者とも勘所(かんどころ)と呼ばれる弦を抑えるポジションがあるので、抑える勘所の位置によって音階が変わるんです。これはギターにも似ているのですが、三線や三味線にはフレットがないため、抑える勘所の位置を体や目視で覚えておく必要があります。初心者の方は勘所にシールを貼って覚えるのがオススメです。

三線は義甲(水牛爪)で弾く

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三線と三味線で、基本的な弾き方は同じなのですが、弾くときに使用する道具が異なるんです。三線は義甲(水牛爪)を、右手の人差し指にはめるように持ち演奏します。また、義甲はつめと呼ばれることも多いです。素材に牛の爪を使用しているものが定番ですが、最近ではプラスチック製のもの販売されています。

そして演奏の際は、座って弾く場合と立って弾く場合があるのも特徴。組踊など伝統芸能の舞台で演奏される際は、座って演奏されることが多いです。しかし、三線はエイサーカチャーシーといった地域の催し物で演奏されることも多く、その際は立って演奏する方も多くいらっしゃいます。

三味線はイチョウ型のバチで弾く

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三味線を演奏する際には、バチと呼ばれる手のひらサイズのイチョウ型の道具を使用します。中指に重心が来るようにバチを持ち、弦を打つように弾く演奏スタイルです。

また三線と異なり、三味線には指かけという道具があります。指かけは、左手の人差し指と親指に掛ける布で、指かけを使うことでスムーズに左手を移動させることができるんです。

さらに三味線ならではの音色としてあるのが「さわり」。さわりとは、最も低い音が出る一の弦を弾いたときに「ビ〜〜ン」と音が共鳴することを指します。これは一の弦をわざと竿に少しだけ触れさせるように調節することで、いわゆるビビリ音を出しているのです。

さわりがあることで、音色に味付けができ、聴かせどころになるんですね。これが由来となって、話の要点や重要なポイントをさわりというようになったんです。

初心者にオススメなのはどっち?

最後に、三線と三味線のどちらが初心者にオススメかについてお話ししていきます。両者とも似ている楽器ですが、実は兼用はしにくいんです。三線の世界観と三味線の世界観は、文化背景の影響もあり、かなり異なります。それぞれの音楽や文化をみて、興味のある方から始めてみるのが良いでしょう。

難易度が低く、初心者向けなのは三線

三線は、難易度が低い方から始めたいという方や、沖縄の音楽を弾いてみたいという方にオススメです。三味線に比べて使う道具や奏法が少ないので、演奏技術でみると初心者向けと言えるでしょう。

ギターに比べても易しいので、ギターの挫折経験があるという方にもオススメです。

\次のページで「難易度は高いが、和の文化が好きな方は三味線」を解説!/

難易度は高いが、和の文化が好きな方は三味線

三味線は三線に比べて、奏法が多いため、演奏難易度は少し高めです。音の出し方や構え方などに間違った癖がついてしまうと、綺麗に奏でることが難しくなるので、YouTube等の動画でしっかりと学んだり、音楽教室に通うことで、早く上達できるでしょう。

また三味線は棹の太さで3種類に分かれており、太棹(津軽三味線)中棹(民謡)細棹(長唄)があります。この選び方も初心者の方は難しいので、楽器店の方などに相談してみるのが良いでしょう。

三線で日本民謡を演奏することも可能ですが、やはり世界観が異なるので、落語など和の世界を楽しみたいという方は三味線がオススメです。

両方とも楽器初心者に人気!

三線と三味線の違いについて、解説してきました。両者と初心者が始める楽器として、とても人気が高いです。ギターに比べ弦の数も少ないですし、バイオリンやトランペットのように、最初は音が出ないということほとんどありません。

両者とも似ている部分も多いですが、歴史的背景文化音楽の雰囲気も違うので、自分が興味惹かれた方に飛び込んでみてはいかがでしょうか。

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3分でわかる三線と三味線の違い!どんな歴史?弾き方は一緒?沖縄出身音楽クリエイターが分かりやすくわかりやすく解説!

この記事では三線と三味線の違いを解説していきます。両方とも似たような形・音色で、区別がしにくいよな。

三線といえば沖縄県のイメージですが、実は三味線より歴史が古いらしのです。その背景も一緒に勉強していこう。

もちろん音楽的要素の違いも解説していくから、沖縄県出身で三線のを弾きこなす音楽クリエイターのishkaと一緒に勉強していきます。

ライター/ishka

会社員兼WEBライター兼音楽クリエイター。高校生の頃はバンド活動に専念し、大学生からはDAWを使ったソロの音楽制作を始める。現在は「あなたの人生にBGMを。」をテーマに、日々楽曲制作に奮闘中。

三線と三味線の違いはざっくりコレ

image by iStockphoto

まずはざっくりと、三線と三味線の違いについて解説していきます。どちらも楽器なのですが、それぞれの由来から知るとより面白いので、歴史的背景の違いもまとめてみました。

三線と三味線の違いをまとめると、以下のようになります。

◆三線
・中国の三絃から進化
・胴に蛇の皮が使用されている
・義甲(水牛爪)で弾く
・比較的始めやすく初心者向け

◆三味線
・沖縄の三線から進化
・胴に猫や犬の皮が使用されている
・イチョウ型のバチで弾く
・少し演奏難易度が高め

三線と三味線の歴史背景

それではまず、それぞれの歴史について見ていきましょう。よくあるイメージとして、「三線 = 沖縄」「三味線 = 日本」があると思います。このイメージがあることで、「日本の三味線が沖縄に渡って三線になったんでしょ?」とお思いの方がいらっしゃいますが、これは間違いなんです!

実は三線の方が三味線より歴史が古いことが明らかになっています。詳しい解説に入っていきましょう!

三線は三味線より歴史が古い

琉球宫廷音乐.jpg
User Kallgan on zh.wikipedia – Originally from zh.wikipedia; description page is (was) here 03:40 2005?9?24? Kallgan 800×409 (141,343??) (?????? {{PD-art}}), パブリック・ドメイン, リンクによる

時代は室町時代まで遡ります。当時沖縄県は、琉球王国と呼ばれる独立国家として栄えていました。琉球王国は、東シナ海の中心に位置していた利便性から、東アジアの国々との中継貿易を行うことで経済を発展させていました。

14世紀末、中継貿易で中国より伝来したのが、「三絃(サンスェン)」と呼ばれる三線の原型となる楽器です。15世紀に入ると当時の琉球国王・尚真(ショウシン)によって、三線は士族の教養として普及しました。

17世紀に入ると、三線は正式な宮廷楽器として採用され、中国から来る冊封使の接待や年中行事で使われるようになったのです。

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