4.ワセリンは4種類ある!
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ワセリンは実は4種類に分けられており、それぞれ黄色ワセリン、白色ワセリン、プロペト、サンホワイトと呼ばれます。
黄色ワセリンとサンホワイトの2種は、もしかすると馴染みがないという方もいるかもしれません。白色ワセリンやプロペトと同じく、どれも皮膚の保護を目的として使われるのですが、それぞれ精製度が異なります。そのため肌への優しさや、価格帯も違ってくるのです。
4-1.4つの違いは精製度!
黄色ワセリンは、名前の通り薄い黄色をしたワセリン。不純物は4種の中では一番多く含まれます。
白色ワセリンは、黄色ワセリンを精製して脱色し、不純物を減らしたもの。
プロペトはこれまでにも説明した通り、白色ワセリンの精製を進めたものです。
サンホワイトは、特殊な方法でプロペトをさらに精製したもの。最も不純物が少なく、なめらかで真っ白です。皮膚に対しての刺激がなく安全性が高いため、アレルギー診断のためのパッチテストにおいても使用されます。パッチテストの際、アレルギーの原因疑いになっている物質を、サンホワイトに混ぜて塗ることで試験をするのです。
精製度の高い方から順に、サンホワイト>プロペト>白色ワセリン>黄色ワセリンとなります。肌への優しさや柔らかさ、そして市販品の価格帯についても、精製度が高いほどにレベルが上がるのです。
4-2.それぞれのワセリンの使われ方
黄色ワセリンは今ではほとんど使われておらず、「ワセリン」とだけ言えば白色ワセリンを指すようになっています。不純物が多い分、やや刺激が多いというイメージで語られますが、現在流通しているものは問題ないレベルの品質です。
白色ワセリン、プロペトは、ご存知の通り皮膚科領域の治療や、市販品によるセルフスキンケアに使われます。
サンホワイトは「化粧油」に区分され、上の三種のように、「医療用医薬品」「第三類医薬品」「医薬部外品」等には入っていません。そのため、医療機関で使用をすすめられる場合も健康保険は効かず、自費で市販品を購入することになるのです。品質が良いのに医薬品ではないの?と疑問に思いますが、最初は一般には販売されない化粧品原料として作られたため、このような区分で残っていると考えられます。
5.薬剤師に聞きたい!ワセリンの疑問
白色ワセリンやプロペトなどを使用する際、「これって大丈夫かな?」と感じる瞬間があるかと思います。経験上、お問い合わせが多かった二点についてまとめてみました。
5-1.処方せんには白色ワセリンがあるけど、入っていたのはプロペト?
医師に処方薬として白色ワセリンを出してもらったのに、薬局で薬を受け取ってみたらプロペトが入っているという場合があります。間違いだと申し出るべき?それとも、そのまま受け取ったらいいのでしょうか。
処方せんに「白色ワセリン(メーカー名)」と、特定の製品を指定して書かれている場合は、医師の指示なしにプロペトに変更することはできません。もしも変更されている場合は、薬剤師が医師へと問合せを行った上で変更されているのです。専門家の判断による変更ですので、問題なくご利用いただけます。
処方せんに「(般)白色ワセリン」あるいは「白色ワセリン」とだけ書かれている場合は、成分の一般名だけが指定されているので、薬剤師の判断で白色ワセリン、プロペトのどちらをお渡ししても良いことになっているのです。ですので、この場合も問題ありません。
ただし、薬の袋や説明の紙の印字が「白色ワセリン」なのにプロペトが入っていた場合は、調剤ミスの可能性がありますので問い合わせてみてください。
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