両方とも乾燥を防いだり皮膚を保護してくれる軟膏で、見た目もよく似ている。ですが、白色ワセリンとプロペトの特徴には違いがあり、値段の差が出る場合もあるんです。
そんな二種類の軟膏の性質を、薬のプロである現役薬剤師ライター、アラノるかと一緒に解説していきます。
- 1.白色ワセリンとプロペトの違いとは?
- 1-1.白色ワセリン:最も一般的な「ワセリン」
- 1-2.プロペト:高純度で柔らかな白色ワセリン
- 1-3.白色ワセリンとプロペトの効果は一緒?
- 2.白色ワセリンとプロペトで肌に優しいのはどっち?
- 2-1.白色ワセリンは低温下では固め、伸びにくいことも
- 2-2.プロペトは柔らかく、肌に優しい
- 3.白色ワセリンとプロペトで値段は違うの?
- 3-1.白色ワセリンは安め
- 3-2.プロペトは高純度な分、製造コストも高い
- 4.ワセリンは4種類ある!
- 4-1.4つの違いは精製度!
- 4-2.それぞれのワセリンの使われ方
- 5.薬剤師に聞きたい!ワセリンの疑問
- 5-1.処方せんには白色ワセリンがあるけど、入っていたのはプロペト?
- 5-2.ワセリンが分離した!使えるの?
- 白色ワセリンとプロペト、違いは柔らかさと不純物の含有度
この記事の目次
ライター/アラノるか
薬局の店頭に立つ現役薬剤師ライター。一番よく軟膏つぼに詰めるのは、やっぱり白色ワセリン(他剤との混合処方も含む)。患者さまへの説明同様、わかりやすい解説を心がけている。
1.白色ワセリンとプロペトの違いとは?
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白色ワセリンとプロペトは、どちらもやや透明度のある白色の軟膏です。双方とも病院で処方されたり、ドラッグストアなどで購入できます。
よく似ているように見えますが、違いは何でしょうか。
1-1.白色ワセリン:最も一般的な「ワセリン」
ワセリンは石油の精製過程で得られる、パラフィンを中心とした炭化水素の混合物の半固体油脂です。天然ガスやガソリン、灯油・軽油や重油などを分離したあとの残油から得られます。
その中で最も広く使われているものが、白色ワセリンです。
1-2.プロペト:高純度で柔らかな白色ワセリン
白色ワセリンから不純物を除き、より純度を高くしたものがプロペトと呼ばれています。つまり、純度の違いで呼び名が変わっているのです。
1-3.白色ワセリンとプロペトの効果は一緒?
効果はどちらも一緒と言っていいでしょう。白色ワセリン、プロペトとも、効能は同じ皮膚保護剤。軟膏そのものに水分や保湿成分は含まれませんが、皮膚の表面に膜を張ることで、乾燥を防いだり傷の保護をします。細菌などの感染を抑える効果や、痛みや炎症を鎮める効果はありませんので注意してください。
ただ、効能は同じではありますが、性質の違いにより使い分けがされているケースもあります。下の項目で見ていきましょう。
2.白色ワセリンとプロペトで肌に優しいのはどっち?
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「お肌に優しい軟膏」というフレーズをよく聞きますが、具体的にはどういったものを指すのでしょうか。一般的には、塗るときの肌への負担が少ないかどうか、
刺激性の物質が含まれないかどうかに着目して評価されることが多いです。
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