この記事では「息を殺す」について解説する。

端的に言えば「息を殺す」の意味は「呼吸の音をさせずじっとしている」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「息を殺す」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「息を殺す」の意味をわかりやすく伝える。

「息を殺す」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「息を殺す」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「息を殺す」の意味は?

「息を殺す」には、次のような意味があります。

呼吸の音もさせないで、じっとしている。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「息を殺す

「息を殺す」は「いきをころす」と読み、呼吸する音もさせず、じっとしている際に使用します。この意味から読み取れるように、静寂な状況で使用する言葉です。悪事や悪巧みなどの状況で使用されることが多い印象ですが、この言葉自体にはネガティブなニュアンスは無いため、サプライズのイベントなどポジティブな用途でも使用可能と言えます。

「息を殺す」の語源は?

次に「息を殺す」の語源を確認しておきましょう。「息を殺す」の語源は明確ではありませんが、「息」と「殺す」の2つがくっついた言葉ですから、それぞれの意味を確認してみます。

まず「息」はここでは文字通り「口・鼻から空気を吸ったり吐いたりすること。また、吸う空気や吐く空気。」の意味で間違いありません。では「殺す」はというと、「活動や動作をおさえとどめる。」という意味でしょう。「感情を殺す」、「声を殺す」などと同じ使い方です。

そのため「息を殺す」を丁寧に言い回すと「吸ったり吐いたりする空気(の音)をおさえとどめる」となることがわかりますね。

「息を殺す」の使い方・例文

「息を殺す」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. コードが絡まっていて危ないから、プレゼン中にバレないよう、息を殺してスクリーンの近くまで行って直してきて!

2. サプライズのために息を殺して気配を消していたのに、健太君の第六感で存在が察知されてしまった。

3. その泥棒は息を殺すのが非常にうまく、物音も立てない方法も確立しているため、捕まえるのは不可能に近い。

このように、どの例文も静寂な又は静かにしなければならない状況であることがわかりますね。また例文の1と3はミスや泥棒といった悪だくみのシーンで、例文の2はサプライズといったポジティブなシーンで使用されており、比較的幅広い場面で使いやすい言葉であると言えるでしょう。

「息を殺す」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「息を殺す」の類義語を3つほどピックアップしましたので、見ていきましょう。

1. 「固唾を呑む」

今回ご紹介する最初の類義語が「固唾を呑む」(かたずをのむ)です。念のため国語辞書で意味を確認しておきましょう。

事の成り行きが気がかりで、緊張している。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「固唾を吞む

このように「固唾を呑む」は「緊張していて静かにしている」というニュアンスであるため、「静かにしている」という点では「息を殺す」と似ていますが、周りの状況がやや異なります。「息を殺す」は周りが静かである前提がありますが、「固唾を呑む」は例えばスポーツ観戦などでも使用されますから、周りの音量は関係なく使える言葉です。

2. 「息を凝らす」

次の類義語が「息を凝らす」(いきをこらす)です。こちらも意味を確認しておきましょう。

呼吸を抑えてじっとしている。息を詰める。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「息を凝らす

「息を凝らす」は「息を殺す」とほぼ同じ意味と言ってよいでしょう。強いて言えば「息を殺す」の方が音をさせないというニュアンスが強調できますが、口語では明確に使い分けしなくとも問題ありません。なお上述した国語辞書にもありますが、「息を詰める」も同じ意味です。

3. 「息を潜める」

今回ご紹介する最後の類義語が「息を潜める」(いきをひそめる)です。こちらも意味を確認しておきましょう。

そこにいると分からないように、息をおさえてじっとしている。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「息を潜める

「息を潜める」も「息を殺す」とほぼ同じ意味と言ってよいでしょう。「息を潜める」には「隠れている」というニュアンスが強いため、誰かから隠れているシーンで使われることが多い言葉です。

「息を殺す」の対義語は?

さて、同義語の次は対義語(反対語)を見ていきましょう。

「息を吐く」

「息を殺す」の対義語として「息を吐く」(いきをつく)が挙げられるでしょう。意味としては2つありますので、念のため確認しておきます。

1. ためていた息をはく。大きく呼吸をする。

2. 苦しみや緊張から解放される。ほっとする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「息を吐く

「息を殺す」の対義語としては1が近いでしょうか。ずっと呼吸を我慢していたのを、何かしら状況が進展して安らいだ状態が「息を吐く」ですね。読み方は間違えがちですので、注意しておきましょう。

\次のページで「「息を殺す」の英訳は?」を解説!/

「息を殺す」の英訳は?

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最後に、「息を殺す」を英訳するとどうなるかを見ていきましょう。

「hold one's breath」

「息を殺す」の慣用句に最も近い英語での言い回しが「hold one's breath」でしょう。意味は「息を止める(殺す、凝らす)」ですから、日本語とほぼ同等と捉えて構いません。直訳しても「息を保つ」ですから、覚えやすいと思います。例文を以下に見てみましょう。

・In order to succeed in this hunt and get their prey, they need to restrict their body movements to the maximum extent and most of them need to hold their breath.

この狩りを成功させ獲物を得るためには、最大限身動きを制限して、ほとんどの人が息を殺す必要がある。

・While my boss was checking for typos in the café, I was almost pretending to be a stranger, holding my breath.

上司がカフェで誤字脱字をチェックしている間、私はほとんど他人のふりをして息を殺していた。

・Let's wait for him to do his work, holding our breath, without doing anything unnecessary to achieve his goal and get results.

目的を達成し結果を残すために、余計なことはせず息を殺して彼の作業を待とう。

「息を殺す」を使いこなそう

この記事では「息を殺す」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しておきましょう。

「息を殺す」は呼吸する音もさせず、じっとしている際に使用する言葉でした。ビジネスシーンでもたまに、失敗して上司や先輩に怒られそうになると「息を殺して」バレないようにしておきたい状況がありますが、あまりそのような場面を生じさせないよう普段から丁寧な仕事をしておきたいですね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「息を殺す」の意味や使い方は?例文や類語を元校閲者がわかりやすく解説!

この記事では「息を殺す」について解説する。

端的に言えば「息を殺す」の意味は「呼吸の音をさせずじっとしている」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「息を殺す」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「息を殺す」の意味をわかりやすく伝える。

「息を殺す」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「息を殺す」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「息を殺す」の意味は?

「息を殺す」には、次のような意味があります。

呼吸の音もさせないで、じっとしている。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「息を殺す

「息を殺す」は「いきをころす」と読み、呼吸する音もさせず、じっとしている際に使用します。この意味から読み取れるように、静寂な状況で使用する言葉です。悪事や悪巧みなどの状況で使用されることが多い印象ですが、この言葉自体にはネガティブなニュアンスは無いため、サプライズのイベントなどポジティブな用途でも使用可能と言えます。

「息を殺す」の語源は?

次に「息を殺す」の語源を確認しておきましょう。「息を殺す」の語源は明確ではありませんが、「息」と「殺す」の2つがくっついた言葉ですから、それぞれの意味を確認してみます。

まず「息」はここでは文字通り「口・鼻から空気を吸ったり吐いたりすること。また、吸う空気や吐く空気。」の意味で間違いありません。では「殺す」はというと、「活動や動作をおさえとどめる。」という意味でしょう。「感情を殺す」、「声を殺す」などと同じ使い方です。

そのため「息を殺す」を丁寧に言い回すと「吸ったり吐いたりする空気(の音)をおさえとどめる」となることがわかりますね。

「息を殺す」の使い方・例文

「息を殺す」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. コードが絡まっていて危ないから、プレゼン中にバレないよう、息を殺してスクリーンの近くまで行って直してきて!

2. サプライズのために息を殺して気配を消していたのに、健太君の第六感で存在が察知されてしまった。

3. その泥棒は息を殺すのが非常にうまく、物音も立てない方法も確立しているため、捕まえるのは不可能に近い。

このように、どの例文も静寂な又は静かにしなければならない状況であることがわかりますね。また例文の1と3はミスや泥棒といった悪だくみのシーンで、例文の2はサプライズといったポジティブなシーンで使用されており、比較的幅広い場面で使いやすい言葉であると言えるでしょう。

「息を殺す」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「息を殺す」の類義語を3つほどピックアップしましたので、見ていきましょう。

1. 「固唾を呑む」

今回ご紹介する最初の類義語が「固唾を呑む」(かたずをのむ)です。念のため国語辞書で意味を確認しておきましょう。

事の成り行きが気がかりで、緊張している。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「固唾を吞む

このように「固唾を呑む」は「緊張していて静かにしている」というニュアンスであるため、「静かにしている」という点では「息を殺す」と似ていますが、周りの状況がやや異なります。「息を殺す」は周りが静かである前提がありますが、「固唾を呑む」は例えばスポーツ観戦などでも使用されますから、周りの音量は関係なく使える言葉です。

2. 「息を凝らす」

次の類義語が「息を凝らす」(いきをこらす)です。こちらも意味を確認しておきましょう。

呼吸を抑えてじっとしている。息を詰める。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「息を凝らす

「息を凝らす」は「息を殺す」とほぼ同じ意味と言ってよいでしょう。強いて言えば「息を殺す」の方が音をさせないというニュアンスが強調できますが、口語では明確に使い分けしなくとも問題ありません。なお上述した国語辞書にもありますが、「息を詰める」も同じ意味です。

3. 「息を潜める」

今回ご紹介する最後の類義語が「息を潜める」(いきをひそめる)です。こちらも意味を確認しておきましょう。

そこにいると分からないように、息をおさえてじっとしている。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「息を潜める

「息を潜める」も「息を殺す」とほぼ同じ意味と言ってよいでしょう。「息を潜める」には「隠れている」というニュアンスが強いため、誰かから隠れているシーンで使われることが多い言葉です。

「息を殺す」の対義語は?

さて、同義語の次は対義語(反対語)を見ていきましょう。

「息を吐く」

「息を殺す」の対義語として「息を吐く」(いきをつく)が挙げられるでしょう。意味としては2つありますので、念のため確認しておきます。

1. ためていた息をはく。大きく呼吸をする。

2. 苦しみや緊張から解放される。ほっとする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「息を吐く

「息を殺す」の対義語としては1が近いでしょうか。ずっと呼吸を我慢していたのを、何かしら状況が進展して安らいだ状態が「息を吐く」ですね。読み方は間違えがちですので、注意しておきましょう。

\次のページで「「息を殺す」の英訳は?」を解説!/

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