この記事では「物の弾み」について解説する。

端的に言えば物の弾みの意味は「勢いにまかせて」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「物の弾み」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「物の弾み」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「物の弾み」の意味や語源・使い方を一覧でご紹介していきます。またその他「物の弾み」は分類としては日本語の慣用句であるという点も抑えておきましょう。

「物の弾み」の意味は?

「物の弾み」というキーワードを辞典・辞書・事典、ネット上の無料データベースサービス「コトバンク」で用語検索してみると、次のような記載があります。こちらの引用の内容をまず確認していきましょう。

1.ちょっとした成り行き。そのときの勢い。「物の弾みで本音を言ってしまう」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「物の弾み」

「物の弾み(もののはづみ)」はちょっとした成り行きや、その場の勢いという意味の慣用句です。普段であれば、そんなことにはならない筈の出来ごとが、その場のちょっとした成り行き(なりゆき)によって起こってしまう。「物の弾み」はこうしたニュアンスをもった慣用句となっています。

「物の弾みで〜〜してしまう」といった形で使われることが多く、その場の勢いにまかせて、普段ならしない行動をとってしまうという意味で使われていますね。「物の弾み」は意図せずして、その場の成り行き・空気感によって物事が思いがけない結果を招くといった言葉となっています。

「物の弾み」の語源は?

次に「物の弾み」の語源を確認しておきましょう。物の弾みは「物」と「弾み」という二種類の言葉を組み合わた方法で生まれました。「物」はここでは事柄・出来事を意味する漢字です。「弾み」は勢いづくこと・勢いを表しています。

「物の弾み」はこれら二つの言葉を組み合わせて、出来事が勢いによって起こるという意味を表す言葉となりました。なにか理屈のある形で出来事が起こるのではなく、その場の勢い・空気などによって出来事が起こってしまう。「物の弾み」はこうした意味を表現した言葉となっています。

\次のページで「「物の弾み」の使い方・例文」を解説!/

「物の弾み」の使い方・例文

「物の弾み」の基本的な使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のような場合に用いられます。例文をヒントに正しい使い方を捉えていきましょう。

1.彼女には話さないつもりでいたのに、物の弾みで思わず自身の秘密を口に出してしまった。
2.あれは物の弾みで、本当はそんなことするつもりは無かった。
3.これまでそんなことは無かったのに、愛する息子と喧嘩して、物の弾みで手を出してしまった。

「物の弾み」は例文のように、本当はそのつもりが無かったのに、その場の勢いによって思わずある行動をとってしまった、といった意味で使われています。実際に見聞きしたときは、意図しないで、普段ならしないような行動をとってしまったというニュアンスに注意して理解していきましょう。

言わないでおこうとしていたことを、その場の勢いでつい話してしまう。決して手は出さないと決めていたのに、思わず手を出してしまう。「物の弾み」はこうした形で使われています。古い表現となっていますが、現在でも書籍・新聞等の文章中のほか、口語でも時折使われることがありますね。

「物の弾み」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

続いて「物の弾み」の類義語の項目について閲覧していきましょう。「物の弾み」の類義語をいくつかピックアップしました。前後関連するよく似た表現との違いを確認することで、「物の弾み」という言葉の機能をより深く理解することができます。

その1「ひょんなことから」

「ひょんなことから」は意外なことから・不思議なきっかけから出来事が起こるという意味をもった言葉です。「物の弾み」とよく似た意味をもった類義語となっていますね。「ひょんなことから」は意外なところをきっかけに出来事が起こる、という意味のため、使う場面に少し違いがある点に注意しましょう。

\次のページで「その2「思いがけず」」を解説!/

その2「思いがけず」

「思いがけず」は予期せずして、期待していなかったにも関わらず、ある出来事が起こるという意味をもった言葉です。出来事が意外な理由で起こるという意味のため、「物の弾み」とよく似た意味をもった類義語となっています。こちらも使用する場面に違いがあるため、注意して使い分けていきましょう。

その3「期せずして」

「期せずして」は予期していたわけでなく・偶然にという意味をもった言葉です。予期していなかった出来事が起こるという意味となっており、「物の弾み」とよく似た意味をもった類義語ですね。「期せずして」は「思いがけず」と意味の一致した、同義語として使われることも多い言葉となっています。

その4「図らずも」

「図らずも」は思いがけないことに・偶然にも、という意味をもった言葉です。こちらも予想もしていないような出来事が起こるという意味となっており、「物の弾み」とよく似た意味をもった言葉ですね。意図していなかった、偶然の出来事だったということを伝える際に使われています。

「物の弾み」の対義語は?

つづいて「物の弾み」の対義語についても確認していきましょう。「物の弾み」には明確に対義語とされている語はありません。しかしその意味から連想してみると次の単語が思い浮かびます。

「計画的」

「計画的」はあらかじめ計画をした上で、あることを行うことを意味する言葉です。偶然や成り行きではなく、事前に計画をした上で行動するという意味となっており、「物の弾み」と反対に近い意味をもっています。対義語の意味と比較して、「物の弾み」の意味をしっかりと把握していきましょう。

「物の弾み」の英訳は?

image by iStockphoto

つづいて「物の弾み」の英語訳についても確認していきましょう。

\次のページで「「heat of the moment」」を解説!/

「heat of the moment」

「heat of the moment」は計画・冷静な判断によらず、かっとした弾みで、という意味をもった英フレーズです。日本語の「物の弾み」と同じように、その場の勢いにまかせて行動してしまうという意味を表現することができます。「物の弾み」の英語表現として、こちらもあわせて覚えておきましょう。

「物の弾み」を使いこなそう

この記事では「物の弾み」の意味・使い方・類語などを説明しました。「物の弾み」はちょっとした成り行き・その場の勢いによって、ある出来事が起こってしまうという意味をもった慣用句でした。そのつもりは無かったのに、勢いにまかせて行動してしまう。こうした意味をもった言葉です。

また類義語には「ひょんなことから」、「思いがけず」、「期せずして」、「図らずも」などがありました。それぞれ少しづつニュアンスが違うため、細かい意味や使われる場面を確認しつつ、使い分けていきましょう。今回の記事が皆さんの参考になっていれば幸いです。

" /> 【慣用句】「物の弾み」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「物の弾み」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「物の弾み」について解説する。

端的に言えば物の弾みの意味は「勢いにまかせて」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「物の弾み」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「物の弾み」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「物の弾み」の意味や語源・使い方を一覧でご紹介していきます。またその他「物の弾み」は分類としては日本語の慣用句であるという点も抑えておきましょう。

「物の弾み」の意味は?

「物の弾み」というキーワードを辞典・辞書・事典、ネット上の無料データベースサービス「コトバンク」で用語検索してみると、次のような記載があります。こちらの引用の内容をまず確認していきましょう。

1.ちょっとした成り行き。そのときの勢い。「物の弾みで本音を言ってしまう」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「物の弾み」

「物の弾み(もののはづみ)」はちょっとした成り行きや、その場の勢いという意味の慣用句です。普段であれば、そんなことにはならない筈の出来ごとが、その場のちょっとした成り行き(なりゆき)によって起こってしまう。「物の弾み」はこうしたニュアンスをもった慣用句となっています。

「物の弾みで〜〜してしまう」といった形で使われることが多く、その場の勢いにまかせて、普段ならしない行動をとってしまうという意味で使われていますね。「物の弾み」は意図せずして、その場の成り行き・空気感によって物事が思いがけない結果を招くといった言葉となっています。

「物の弾み」の語源は?

次に「物の弾み」の語源を確認しておきましょう。物の弾みは「物」と「弾み」という二種類の言葉を組み合わた方法で生まれました。「物」はここでは事柄・出来事を意味する漢字です。「弾み」は勢いづくこと・勢いを表しています。

「物の弾み」はこれら二つの言葉を組み合わせて、出来事が勢いによって起こるという意味を表す言葉となりました。なにか理屈のある形で出来事が起こるのではなく、その場の勢い・空気などによって出来事が起こってしまう。「物の弾み」はこうした意味を表現した言葉となっています。

\次のページで「「物の弾み」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: