今回のテーマは、振袖と着物の違いについてです。振袖と聞くと、若い女性が成人式に着る華やかな着物というイメージが強いのではないでしょうか。その認識は間違ってはいないが、それはほんの一部の情報です。振袖と一般的な着物とでは、着用シーンや着付けのルールなどいくつもの違いがあり奥が深いものです。
今回は振袖と着物の違いについて、年に100日は着物を着る和装好きライターおかちづと一緒に解説していきます。

ライター/おかちづ

美容部員・介護職・飲食店勤務を経てwebライターへ。美容と動物をこよなく愛する。今回は和装好きの経験を生かし、振袖と着物の違いを詳しく解説する。

振袖と着物はざっくりこう違う!

見た目がよく似ている振袖着物違いといえば、袖丈くらい?という認識ではないでしょうか。わかっているようで、いざ説明するとなると難しい振袖と着物の違い。ここでは、ざっくりこう違う!という部分を紹介します。

振袖は未婚女性の第一礼服

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そもそも着物は多くの種類があり、振袖はその中の1つです。袖の長さが最大の特徴で、一般的な着物の約2倍の長さのタイプもあります。未婚女性が着る第一礼服とされていて、フォーマルな場で活躍する衣装です。ただ、柄が慶事向けに作られているので、おめでたい席限定となります。

着物はどの年代でも着られる万能選手

着物は未婚・既婚に関係なく、どんな年代でも着られる万能な衣装です。振袖より袖丈は短く、種類が豊富なのが着物の特徴。その場にあった種類を選ぶことでフォーマルな場から、ちょっとしたお出かけまで着ることができます。振袖と違い、弔事にも対応できるのが着物の利点です。

振袖と着物の違い 袖の長さと帯に注目

振袖と着物の違いで最も有名なのは、袖丈の長さの違いです。そして意外と知られていませんが、実は合わせる帯もそれぞれ特徴があります。では、どのような違いがあるのか詳しく見ていきましょう。

振袖は3パターンの袖と豪華な帯が特徴!

振袖は袖丈が長いのが特徴で、袖の長さは75㎝~114㎝あります。成人式の映像などで見かける機会があるので、ご存じの方も多いのでは。振袖の袖丈には3種類の長さがあり、長ければ長いほど「格が高い」と言われています。また、帯は4m30㎝前後もの長さのある高級な「袋帯」を使用。結び方も特徴があり、喜びが二重に重なるという意味がこめられた「二重太鼓」や、華やかな「飾り結び」など、お祝い事に合った結び方をします。

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振袖の長さの違い
大振袖(約114㎝)…主に婚礼衣装に使われる袖丈。最近では成人式でも大振袖を着る方も増えています。
中振袖(約100㎝)…成人式の衣装が中振袖。結婚式や結納やなどフォーマルな場で着られるタイプです。
小振袖(約85㎝)…二尺袖と呼ばれ、振袖の中では短めの袖丈。卒業式に袴と合わせて着るが一般的です。

着物は格式により4種類!帯は使い分けが基本

着物は振袖に比べ袖丈は短く、49㎝~68㎝です。着物は、デザインや生地の違いによって変わる「格の違い」で、大きく4種類に分類されます。慶事や弔事に着る「礼装」・フォーマルな場に着る「準礼装」・パーティーなどに着る「盛装」・気軽な外出に着る「普段着」の4種類です。

帯は基本的に3種類を使い分け。フォーマルな場には、振袖と同じ長さの「袋帯」を、普段使いには3m60㎝前後の「名古屋帯」や4m前後の「半幅帯」が使われます。

振袖と着物 着用シーンの違い

振袖と着物は着用するシーンにも若干の違いがあります。それぞれ、いつ着るのがピッタリなのか詳しく見ていきましょう。

振袖は成人式以外でも活躍

成人式では皆が振袖を着るので、「振袖=成人式専用の着物」と勘違いしている方もいるかと思います。振袖は、成人式だけではなく特別な日に着るフォーマルな衣装という位置付けです。結婚式・結納・パーティーなどのお呼ばれや、かしこまったお祝いの場面でも活躍します。特に結婚式での振袖は、お祝いの場に花を添えられると主催の方に喜ばれるのでおすすめです。

着物はシーンを選ばない

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着物は種類が豊富なので、シーンを選ばずにオールマイティに着ることができます。ただし、デザイン・生地・紋の数・帯の種類により格の違いが出るので、その場にあった物を選ぶことが重要です。

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振袖は未婚だけ?年齢的には?振袖と着物の着用ルール

誰でも着られる着物と違い、振袖は未婚女性が着るものというイメージです。では、成人式の時にすでに結婚している女性が振袖を着るのはダメなのでしょうかなのでしょうか?ここでは、曖昧で分かりにくい振袖と着物の着用ルールについて掘り下げてみます。

未婚女性が着るのが一般的な振袖

古くから振袖は「未婚女性が着るもの」「若い女性向けのもの」という暗黙のルールがあります。ただし成人式の時だけは、すでに結婚している女性でも振袖を着ることが多いようです。では逆に、独身女性が振袖を着られるのは何歳までなのでしょうか?実は年齢的なものに明確な決まりはありませんが、一般的には30代位までの女性が着るものとされています。

色柄により年代を問わない着物

振袖と違って、着物は未婚・既婚に関係なく誰でも着ることができます。その場に合わせた格のものを着ることは大切ですが、ルールさえ守れば好きなデザインのものを選んで大丈夫。色柄によって幅広い年代の女性がおしゃれを楽しめる点も着物の魅力です。

袖の長さの違いには愛情表現の意味が?

振袖と着物の袖の長さの違いには、愛情表現にまつわるロマンティックな意味が込められています。日本人女性の奥ゆかしい愛情表現を見ていきましょう。

女性からの好意を伝える振袖の袖

江戸初期、踊り子たちが袖の長い着物を着用し、舞台上で愛情表現として袖を振る演技が流行しました。当時、女性から男性への好意を露骨に伝えることはご法度です。それゆえ若い女性が踊り子たちの演技を真似て、着物の袖を振って愛情表現したと言われています。このことから、振袖は未婚女性のものという認識が広まりました。

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夫への想いを込めた着物の袖

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既婚の女性が正装する時は、振袖ではなく「留袖(とめそで)」と言われる袖の短い着物を着ます。結婚すると、夫以外の男性に袖を振って愛情表現することがなくなるので、短い袖で十分なのです。夫だけに想いを留める、という意味から「とめそで」と言われるという説もあります。

振袖と着物 それぞれの違いを知って和装を身近なものに!

今回の記事では振袖と着物の違いについて、曖昧でよく分からない点を比較して解説しました。あまり馴染みのない和装ですが、少し身近なものに感じてもらえたのではないでしょうか。着られる期間が限られている振袖を卒業したのち、着物はいくつになってもずっと楽しむことができます。ぜひこれを機に、振袖や着物に触れる機会を作ってみてください。

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振袖と着物の違いは?振袖は未婚女性だけのもの?着付けのルールや帯の特徴・成人式との関係などを和装好きライターがくわしくわかりやすく解説

今回のテーマは、振袖と着物の違いについてです。振袖と聞くと、若い女性が成人式に着る華やかな着物というイメージが強いのではないでしょうか。その認識は間違ってはいないが、それはほんの一部の情報です。振袖と一般的な着物とでは、着用シーンや着付けのルールなどいくつもの違いがあり奥が深いものです。
今回は振袖と着物の違いについて、年に100日は着物を着る和装好きライターおかちづと一緒に解説していきます。

ライター/おかちづ

美容部員・介護職・飲食店勤務を経てwebライターへ。美容と動物をこよなく愛する。今回は和装好きの経験を生かし、振袖と着物の違いを詳しく解説する。

振袖と着物はざっくりこう違う!

見た目がよく似ている振袖着物違いといえば、袖丈くらい?という認識ではないでしょうか。わかっているようで、いざ説明するとなると難しい振袖と着物の違い。ここでは、ざっくりこう違う!という部分を紹介します。

振袖は未婚女性の第一礼服

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そもそも着物は多くの種類があり、振袖はその中の1つです。袖の長さが最大の特徴で、一般的な着物の約2倍の長さのタイプもあります。未婚女性が着る第一礼服とされていて、フォーマルな場で活躍する衣装です。ただ、柄が慶事向けに作られているので、おめでたい席限定となります。

着物はどの年代でも着られる万能選手

着物は未婚・既婚に関係なく、どんな年代でも着られる万能な衣装です。振袖より袖丈は短く、種類が豊富なのが着物の特徴。その場にあった種類を選ぶことでフォーマルな場から、ちょっとしたお出かけまで着ることができます。振袖と違い、弔事にも対応できるのが着物の利点です。

振袖と着物の違い 袖の長さと帯に注目

振袖と着物の違いで最も有名なのは、袖丈の長さの違いです。そして意外と知られていませんが、実は合わせる帯もそれぞれ特徴があります。では、どのような違いがあるのか詳しく見ていきましょう。

振袖は3パターンの袖と豪華な帯が特徴!

振袖は袖丈が長いのが特徴で、袖の長さは75㎝~114㎝あります。成人式の映像などで見かける機会があるので、ご存じの方も多いのでは。振袖の袖丈には3種類の長さがあり、長ければ長いほど「格が高い」と言われています。また、帯は4m30㎝前後もの長さのある高級な「袋帯」を使用。結び方も特徴があり、喜びが二重に重なるという意味がこめられた「二重太鼓」や、華やかな「飾り結び」など、お祝い事に合った結び方をします。

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