この記事では「蝸牛角上」について解説する。

端的に言えば蝸牛角上の意味は「きわめて小さい世界のたとえ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

早稲田大学文学部で日本文学・日本語学を学んだぽん太を呼んです。一緒に「蝸牛角上」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ぽん太

早稲田大学文学部で日本語学と日本文学を学び、中高国語科の教員免許も取得している。これまで学んだ知識を生かして、難解な言葉をわかりやすく解説していく。

「蝸牛角上」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「蝸牛角上」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「蝸牛角上」の意味は?

「蝸牛角上」には、次のような意味があります。

1.カタツムリの角の上
2.きわめて小さい世界のたとえ
3.蝸牛角上の争いの略

出典:コトバンク ー デジタル大辞泉(小学館)「蝸牛角上」

読み方は「かぎゅうかくじょう」です。よく「蝸牛角上の争い」と使われますね。

「蝸牛」とは「かたつむり」のことです。渦を巻いた殻と牛のような角を持つ見た目から「蝸牛」と書くようになったとされています。ちなみに、日本には800種類以上のかたつむりが生息しているそうですよ。

かたつむりは種類によって大きさが異なりますが、大体3〜4cmほどのものが多いです。そんなかたつむりに生えている角同士で争っても、その世界はせいぜい1cmほどでしょう。これが「きわめて小さい世界」のたとえとして用いられる理由です。

「蝸牛角上の争い」「大局的に見れば、非常につまらない理由で争っていることのたとえ」という意味があります。争っている本人にとって重大でも、端から見ればつまらない争いであるときに使うとぴったりですよ。

「蝸牛角上」の語源は?

次に「蝸牛角上」の語源を確認しておきましょう。

「蝸牛角上」は、中国の戦国時代の思想書である『荘子 ー 則陽』が語源となっています。その話は以下のようなものです。

戦国時代のはげしい覇権争いを目の当たりにしたある賢者が、魏王に「かたつむりの右の角にある国と左の角にある国が領地争いをする」という話をしました。「死者は数万人に及んだ」と賢者は言いますが、魏王は全く信じません。すると賢者は「宇宙から見れば、われわれの世界などあるかどうかわからないもの。今の王だって(かたつむりの角上で争う国々と)同じではありませんか。」と言ったそうです。

この話から「大局的に見れば取るに足らない理由で起こっている争い」を「蝸牛角上の争い」と言うようになりました。

\次のページで「「蝸牛角上」の使い方・例文」を解説!/

「蝸牛角上」の使い方・例文

「蝸牛角上」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.「いつまでそんなつまらない喧嘩してるんだ。そういうのはな、蝸牛角上の争いって言うんだよ。わかったらさっさと終わりにして、仕事に戻れ。」


2.彼が嘘を認めないのに腹が立ち、言い争いになったが、同僚に蝸牛角上の争いと言われてようやく我に返った。


3.今行われている議論は、全くもって蝸牛角上の争いだ。もっと大局的な視点で議論をしてほしい。

「蝸牛角上の争い」を使った例文を3つ紹介しました。

3つとも「非常につまらない理由で争いをすること」のたとえとして「蝸牛角上の争い」を用いています。今回は使いませんでしたが、「まるで〜のようだ」とすることもできるでしょう。

「本人にとって重大でも、端から見ると非常につまらない争い」というのは、意識してみると意外に多いのではないでしょうか。そんなときに「蝸牛角上の争い」を思い出せたら、ぜひ相手にも教えてあげてください。

「蝸牛角上」の類義語は?違いは?

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次に「蝸牛角上」の類義語をいくつか紹介します。

その1「枝葉末節」

読み方は「しようまっせつ」です。

「本質からはずれた些細なこと。主要でない部分のたとえ」という意味があります。

この四字熟語は「枝葉」と「末節」という似た意味の熟語が繋がったものですね。木の枝葉や末端にある節は、木全体を見たとき重要な部分ではありません。枝葉は幹から生えることからも、木の主要部分は幹と言えます。ここから「枝葉末節」は本質からはずれた些細なことを表す言葉だということがわかるでしょう。

使い方の例としては、「枝葉末節にこだわる」などがあります。

\次のページで「その2「些事」」を解説!/

その2「些事」

読み方は「さじ」です。「瑣事」と書くこともあります。

「小さなこと、つまらないこと、小事」という意味の熟語です。

「些 / 瑣」には「少しであるさま。細かい。つまらないさま。」といった意味があります。ただ物事の小ささを表すだけでなく、つまらないものという意味も含まれているがポイントです。

その3「木を見て森を見ず」

「小さいことに心を奪われて、全体を見通せないことのたとえ」という意味のことわざです。

読めば明らかであるように、一本の木ばかり見ていると全体の森が見えなくなるという意味だとわかります。これは「You cannot see the wood for the trees.」という英語のことわざが由来だそうです。

「蝸牛角上」の対義語は?

次に「蝸牛角上」の対義語を紹介します。

その1「着眼大局」

読み方は「ちゃくがんたいきょく」です。

「細かいことだけにとらわれずに、全体をしっかりと把握して本質を見極めて対処すること」という意味があります。「着眼」は「大事なことを注意して見ること」、「大局」は「全体を見ること」です。「大局」は「大局的に見る」「大局観」などとよく使われる言葉なので、覚えておくといいでしょう。

「蝸牛角上」の英訳は?

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最後に「蝸牛角上」の英訳を紹介します。

「A tempest in a teapot.」

直訳すると「ティーポットの中の嵐」という意味です。キーワードとなる語を解説していきます。

「tempest」「嵐、暴風雨」という意味の英単語です。「teapot」はそのままティーポットと訳しましたが、急須でも良いでしょう。

「teapot」この場合「小さな世界」を表す言葉として使われています。これは「蝸牛角上」に当たりますね。「tempest」この場合「争い、ケンカ」という意味です。

これらを組み合わせると「A tempest in a teapot.」「小さな世界で争うこと」、つまり「蝸牛角上の争い」を意味する英文と言えます。

\次のページで「「蝸牛角上」を使いこなそう」を解説!/

「蝸牛角上」を使いこなそう

この記事では「蝸牛角上」の意味・使い方・類語などを説明しました。人によってはあまりなじみのない言葉だったかもしれませんが、しっかり理解できたでしょうか?もしわからない部分があれば是非読み返してみてください。時間がないという人は目次だけでも大丈夫です。記事の内容が一覧で表示されているので復習にも役立ちますよ。

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【故事成語】「蝸牛角上」の意味や使い方は?例文や類語を早稲田文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「蝸牛角上」について解説する。

端的に言えば蝸牛角上の意味は「きわめて小さい世界のたとえ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

早稲田大学文学部で日本文学・日本語学を学んだぽん太を呼んです。一緒に「蝸牛角上」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ぽん太

早稲田大学文学部で日本語学と日本文学を学び、中高国語科の教員免許も取得している。これまで学んだ知識を生かして、難解な言葉をわかりやすく解説していく。

「蝸牛角上」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「蝸牛角上」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「蝸牛角上」の意味は?

「蝸牛角上」には、次のような意味があります。

1.カタツムリの角の上
2.きわめて小さい世界のたとえ
3.蝸牛角上の争いの略

出典:コトバンク ー デジタル大辞泉(小学館)「蝸牛角上」

読み方は「かぎゅうかくじょう」です。よく「蝸牛角上の争い」と使われますね。

「蝸牛」とは「かたつむり」のことです。渦を巻いた殻と牛のような角を持つ見た目から「蝸牛」と書くようになったとされています。ちなみに、日本には800種類以上のかたつむりが生息しているそうですよ。

かたつむりは種類によって大きさが異なりますが、大体3〜4cmほどのものが多いです。そんなかたつむりに生えている角同士で争っても、その世界はせいぜい1cmほどでしょう。これが「きわめて小さい世界」のたとえとして用いられる理由です。

「蝸牛角上の争い」「大局的に見れば、非常につまらない理由で争っていることのたとえ」という意味があります。争っている本人にとって重大でも、端から見ればつまらない争いであるときに使うとぴったりですよ。

「蝸牛角上」の語源は?

次に「蝸牛角上」の語源を確認しておきましょう。

「蝸牛角上」は、中国の戦国時代の思想書である『荘子 ー 則陽』が語源となっています。その話は以下のようなものです。

戦国時代のはげしい覇権争いを目の当たりにしたある賢者が、魏王に「かたつむりの右の角にある国と左の角にある国が領地争いをする」という話をしました。「死者は数万人に及んだ」と賢者は言いますが、魏王は全く信じません。すると賢者は「宇宙から見れば、われわれの世界などあるかどうかわからないもの。今の王だって(かたつむりの角上で争う国々と)同じではありませんか。」と言ったそうです。

この話から「大局的に見れば取るに足らない理由で起こっている争い」を「蝸牛角上の争い」と言うようになりました。

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