この記事ではニットとセーターの違いについてみていきます。

まず皆に言いたいのはニット=セーターではないと言うことです。まさか「今日は寒いからニット着よう」とか言ってないよな。理由は2つの語源や歴史・素材を調べたらわかるみたいです。

そこで、今回はニットとセーターの違いについて、語源から確認しつつ、ハンドメイド作家の平いずみと一緒に解説していきます。

ライター/平 いずみ

ハンドメイド作家兼Webライター。刺しゅう作家としてハンドメイド業界に17年携わっている。

一般的に言うニットとセーターの違いとは?

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寒くなってくるとニットが恋しくなってきますよね。そこで「じゃあ、ニットを着よう」と言うのは誤りで、正しくは「じゃあ、セーターを着よう」になります。理由は、ニットはセーターではないからです。そこでいまから、一般的に言うニットとセーターの違いについて解説します。

ニットとは1本の糸を輪にして編んだ素材の名称

ニットとは、1本の糸をループ状にして編んだ生地の名称です。普段着ているセーターをイメージしてみてください。たくさんの編み目からできているのがわかるでしょう。

しかし、ニットでできているものはセーターだけではありません。したがって、ニット生地でできている全てのものをニットと言うことになります。

セーターとはニット素材で作られた衣類の名称

ニット素材で作られたものは、セーター以外にもニット帽や手袋、マフラーなどさまざまあります。そのため、セーターはニット素材でできたもののひとつであり、「セーター」と言う衣類の名称であることがわかるでしょう。

ニット・セーターの語源とは?

では、ニットやセーターについて語源から見ていきましょう。

ニットの語源は「knit」

ニットの語源は英語で「knit」と記し、編む・編み物をすると言う意味です。カタカナでもニットと表記し、読み方がそのまま「編み物」や「ニットでできた製品名」として使われています。

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セーターの語源は「sweat」

セーターの語源は英語で「sweater」で「sweat」汗と言う言葉に由来していると言われています。1891年にアメリカのフットボールチームが減量のため、汗をかくためのスポーツウェアとして採用したのが始まりです。「sweat」(汗)+「er」(人)で汗をかく人と言う意味から、汗をかかせる服に転じたとのこと。

しかし、フランスではセーターは「pull-over」であり汗に関連付けされてないことから、「セーター」は英語圏での呼び方のみとされています。

ニット・セーターの歴史とは?

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では次にニット・セーターにはどのような歴史があるのかみていきましょう。

ニットの歴史

ニットの起源は古く、シリアの古代遺跡やエジプト遺跡からかぎ針編みのアイテムが見つかっています。その後4、5世紀には羊毛の盛んなヨーロッパへと広まっていきました。14世紀ごろには中世の騎士や上流階級の間で人気となり、靴下や手袋が編まれていました。

日本に伝わったのは17世紀後半で、ポルトガル人やスペイン人によって手編みの手袋や靴下がもたらされました。しかし、当時羊がおらず、伝統的にも編み物の文化が無かったので一般的に知られるようになったのは明治時代以降です。

セーターの歴史

セーターの歴史には諸説あるものの、11世紀ごろノルマン人がシチリアでイスラム人より編み物の技術を学び、イギリスに持ち帰って伝えたのが起源とされています。そして、島で暮らす漁師たちの冬の作業着としてセーターが生まれました。

名前を挙げると、イギリスのガンジー島で生まれたセーターの元祖と言われるガンジーセーターや、アイルランドのアラン諸島で11世紀ごろ島の女性たちによって編まれたアランセーターが有名です。

ニット・セーターの素材の違いとは?

それでは、ニットとセーターの素材の違いにどのようなものがあるのか解説します。

\次のページで「ニットの素材は大きく分けて3種類」を解説!/

ニットの素材は大きく分けて3種類

ニットの素材としては、大きく3種類に分けられるでしょう。まず、動物から取れる「動物繊維」には、ウールやカシミヤ、アンゴラ、アルパカなどが含まれます。次に植物から取れる「植物繊維」には、コットンやリネンなど。最後に、化学薬品を用いて人工的に作られた「化学繊維」にはアクリルやポリエステル、ナイロンなどが含まれるでしょう。

セーターの素材は目的によって違う

セーターの素材として用いられるものは、目的によって変わってきます。冬の防寒対策として保温性を重視するなら動物素材のものがおすすめですが、値段が少々高くなる可能性も。そのため冬用のセーターでも、金額の安さと丈夫さを重視するなら、化学繊維のものを選ぶと良いでしょう。

天然素材のニット特有のチクチク感が苦手で肌触りを重視したい方には、コットン素材のものが良いですが、保温性は高くないのが難点です。

ニットとはニット素材でできた全ての製品の総称

これまでの内容をまとめると、セーターはニット素材でできた製品のうちのひとつと言うことになります。ニット製品には、手袋や靴下、マフラー、帽子などさまざまなものが含まれるでしょう。

そしてニットと言うのは、ニット素材でできたた全ての製品の総称であることがわかりました。そのため、ニット=セーターではないと言えるのです。

ニットとセーターに関する豆知識をご紹介!

ニットとセーターは歴史があり、人々から親しまれているアイテムであるため、まだまだ知っておきたいこともたくさんあります。そこで、これからそのうちの豆知識2つについて紹介しましょう。

ニットの別名はメリヤス

今は編み物のことをニットと呼んでいますが、江戸時代初期に編み物がスペインやポルトガルから伝えられたときはメリヤスと呼ばれていました。由来は靴下を指すスペイン語の「medias」や、ポルトガル語の「meias」が訛ったものだと言われています。

「目利安」、「莫大小」などの字が当てられ、体にぴったりと沿うと言う意味がありました。明治時代以降~1950年代くらいまで肌着を中心にメリヤスと呼ばれていましたが、近年はセーターなどのニット製品が大衆化したことにより、ニットと言われるようになったのです。

カーディガンもセーターの仲間

カーディガンは、前開きでボタンなどで開閉するジャケットタイプの衣類の名称です。由来はイギリスのカーディガン伯爵7世の名前からきているとのこと。伯爵自ら、クリミア戦争で負傷した兵士たちが着脱しやすいように、前開きジャケットタイプのセーターを考案したのが始まりだと言われています。

日本ではセーターと区別されますが、海外ではカーディガンもセーターの仲間として扱われているのが一般的です。

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まだまだある!ニット関連アイテム

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これまでニットやセーター、カーディガンなどについて解説してきました。しかし、ニットに関連するアイテムはまだ他にもいくつかあるので、これから紹介します。

カットソーはミシンで縫えるの?

1つ目の関連アイテムはカットソーです。ニットと言うと意外な気もしますが、Tシャツの生地としても使われているカットソーは、実は1本の糸から編まれているニット素材になります。ちなみに、カットソーは”cut”(切る)and ”sewn”(縫う)が組み合わさった和製英語です。

そのため、ニット素材とは言えセーターのようなニットアイテムとは縫製方法が異なります。洋服を作る際、セーターは最初からパーツの形に編んでいきますが、カットソーはパーツを裁断し、ミシンで縫い合わせて作るのです。

ジャージ―素材って何?

2つ目の関連アイテムはジャージ素材です。トレーニングウェアとして使われているジャージ素材は、1本の糸をジャージー編みと言う方法で編まれたニット生地になります。イギリスのジャージー島発祥とされるジャージー編みの生地は、伸縮性や速乾性に優れていることから、スポーツウェアとして取り入れられるようになりました。

原材料としては、以前はウールが使われていましたが、近年は化学繊維やコットンが多く使われているとのこと。また、ジャージ素材の縫製も、カットソーと同じく裁断して縫い合わせる方法になります。

ニットは素材、セーターは衣類の名称と区別しよう

本記事では、ニットとセーターの違いについて解説しました。ニットは編み目がある素材のことで、セーターはニット素材で作られた衣類の名称と言うことがわかりました。そのため、ニット=セーターではありません。

冬になると「ニットが恋しくなる季節」などと言いますが、これはセーターに限定しているのではなく、ニットアイテム全般を指すと言うことになりますね。違いを理解して、正しく使い分けするようにしましょう。

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ニット=セーターじゃなかった!2つの違いを語源や歴史・素材などからハンドメイド作家がわかりやすく解説!

この記事ではニットとセーターの違いについてみていきます。

まず皆に言いたいのはニット=セーターではないと言うことです。まさか「今日は寒いからニット着よう」とか言ってないよな。理由は2つの語源や歴史・素材を調べたらわかるみたいです。

そこで、今回はニットとセーターの違いについて、語源から確認しつつ、ハンドメイド作家の平いずみと一緒に解説していきます。

ライター/平 いずみ

ハンドメイド作家兼Webライター。刺しゅう作家としてハンドメイド業界に17年携わっている。

一般的に言うニットとセーターの違いとは?

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寒くなってくるとニットが恋しくなってきますよね。そこで「じゃあ、ニットを着よう」と言うのは誤りで、正しくは「じゃあ、セーターを着よう」になります。理由は、ニットはセーターではないからです。そこでいまから、一般的に言うニットとセーターの違いについて解説します。

ニットとは1本の糸を輪にして編んだ素材の名称

ニットとは、1本の糸をループ状にして編んだ生地の名称です。普段着ているセーターをイメージしてみてください。たくさんの編み目からできているのがわかるでしょう。

しかし、ニットでできているものはセーターだけではありません。したがって、ニット生地でできている全てのものをニットと言うことになります。

セーターとはニット素材で作られた衣類の名称

ニット素材で作られたものは、セーター以外にもニット帽や手袋、マフラーなどさまざまあります。そのため、セーターはニット素材でできたもののひとつであり、「セーター」と言う衣類の名称であることがわかるでしょう。

ニット・セーターの語源とは?

では、ニットやセーターについて語源から見ていきましょう。

ニットの語源は「knit」

ニットの語源は英語で「knit」と記し、編む・編み物をすると言う意味です。カタカナでもニットと表記し、読み方がそのまま「編み物」や「ニットでできた製品名」として使われています。

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