

端的に言えば薹が立つの意味は「旬を過ぎる」だが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
早稲田大学文学部で日本文学・日本語学を学んだぽん太を呼んだ。一緒に「薹が立つ」の意味や例文、類語などを見ていくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/ぽん太
早稲田大学文学部で日本語学と日本文学を学び、中高国語科の教員免許も取得している。これまで学んだ知識を生かして、難解な言葉をわかりやすく解説していく。
「薹が立つ」の意味は?
「薹が立つ」を国語辞典や漢字辞書で検索すると、次のような意味がありました。
1.野菜などの花茎が伸びてかたくなり、食用に適する時期を過ぎる。
2.盛りが過ぎる。年ごろが過ぎる
出典:デジタル大辞泉(小学館)「薹が立つ」
読み方は「とうがたつ」です。
野菜の食べごろの時期が過ぎることや、主に女性の婚期について盛りが過ぎるという意味があります。
この「薹」という難しい漢字は「ふきのとう」の「とう」です。ふきのとうは冬の終わりにちょこんと芽を出すつぼみのような山菜ですが、これはふきの花の部分に当たります。花が咲いた後に下から茎、つまり私たちが「ふき」として食べる部分が生えてくるのですが、この花と茎の間にある台座部分が「薹」です。
ふきのとうは、蕾がキュッと締まっているものが食べごろと言われています。大きく花が咲いて下から茎が生えてきたものは、苦味が強すぎて食用には向きません。つまり、薹が開いて花が咲いたふきのとうは食べごろを過ぎてしまっているのです。
「薹が立つ」の語源は?
次に「薹が立つ」の語源を確認しておきましょう。
ふきのとうなどの食べごろは花が開く前のつぼみの時期です。これを過ぎると食用には適しません。「薹」は「フキ・チサなどの野菜類の、花のつく茎がのび出たもの。花のつく台座。」という意味で、薹が出てくる頃のふきのとうは花が咲いて食べごろを過ぎてしまうことがわかります。ここから「薹が立つ」は「食べごろ、旬を過ぎる」という意味になりました。
そこから転じて、男女の婚期についても同様の意味で使われます。しかし、ほとんどは女性に対してで、決して良い意味ではありません。「薹が立つ」を使う場合には、相手を傷つけてしまうリスクもきちんと考える必要があります。
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