今回は「季節風」について解説していきます。

季節風は特定の場所に吹く季節性の風のことです。季節風が吹く場所では、それに起因する特徴的な天気が観測されるぞ。日本の天気も季節風の強い影響を受けている。この記事では、具体例を交えつつ、季節風のメカニズムについて詳しく説明します。ぜひ、この機会に季節風についての理解を深めてくれ。

環境工学を専攻している現役理系学生ライター通りすがりのペンギン船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。エネルギー工学、環境工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。土壌、生態系、気象、地球温暖化について学んだこともある。

季節風について学ぼう!

季節風(きせつふう)という気象用語は天気予報の中でよく耳にします。また、この言葉は中学や高校の地学・地理の授業でも取り上げられますよね。しかしながら、難しい学問の用語だと考えて、それを理解することに苦手意識を持っている方もおられるかもしれません。

そこで今回は、季節風がどのようなものでありどのような特徴をもつのか、ということを具体例などを交えてわかりやすく解説していきますよ。そして、記事の後半では世界各地でみられる季節風を地域別にご紹介します。その中で日本における季節風の影響についても解説しますよ。それでは、最初に季節風についての基礎知識を身につけましょう

季節風とは?

季節風とは?

image by Study-Z編集部

季節風は、特定の季節・場所において、同じ方向に吹く風のことをさします。なお、季節風はモンスーンと呼ばれることもありますよ。

季節風が発生する場所は様々ですが、夏に吹く季節風は海洋から大陸に向かう風である傾向があります。一方、冬に吹く季節風は大陸から海洋に向かう傾向があるのですこのような点が、恒常的に同じ向きに吹く風である偏西風や貿易風との違いになります

季節風は古い時代から人々に認識されていました。それは季節風が航海に大きな影響を与えていたからですよ。インド洋を航海していた人々は、紀元前から季節風の存在を理解していたようですよ。

\次のページで「季節風のメカニズム」を解説!/

季節風のメカニズム

ここでは、季節風発生のメカニズムについて述べますね。一般的に、大陸部分は温度変化しやすく、海洋部分は温度変化しにくいとされています。それゆえ、夏の間は大陸部分は海洋部分よりも暖かくなるのです暖かくなった大陸部分では、上昇気流が発生し、気圧が低下します。そして、気圧が低い大陸部分に海洋部分から風が吹き込むのです。これが夏の季節風なのですね。

一方、冬の間は海洋部分が大陸部分よりも暖かくなります。そのため、海洋側の気圧が下がり、大陸から海洋の方向に風が吹くのです。これが冬の季節風となります。以上のことから、季節風は大陸と大きな海洋に挟まれた地域で発生することもわかりますよね。

世界各地の季節風にはどんなものがあるの?

ここからは、世界各地でみられる季節風をいくつかご紹介します季節風が発生するところの地理的な特性やその地域の気候が季節風にどのような影響を受けるのかということも考えていきましょう

今回は、数ある季節風の分布の中から日本インド東アジア紅海で観測される季節風について考察します。先ほど述べた季節風のメカニズムを思い出しながら、以下の記事を読み進めてみてくださいね

日本の季節風とは

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冬の時期になると、ユーラシア大陸から日本列島に向かって季節風が吹きますこの季節風はシベリア気団の寒気を日本に運びますよ

また、この季節風は日本海を通過するときに、海からの水蒸気を大量に吸収しますこの水蒸気を含んだ空気が日本を貫く山脈にぶつかると、そこに雪を降らせるのですこれが日本海沿岸部に豪雪地帯が多い理由となります。そのため、日本海側にはスキーといった冬のレジャーが楽しめる施設が多くありますよね。

季節風は沖縄や奄美などの温暖な地域にも影響を与えますこの地域では、季節風の影響で海が荒れやすくなりますよ。そのため、漁業などにも季節風の影響が及ぶのです。また、沖縄周辺では季節風の影響で雲が発達しやすくなるため、晴天の日が少なくなります

\次のページで「インドの季節風」を解説!/

インドの季節風

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インドでは、6月から9月にかけて、降水量が非常に多くなる時期が存在します。インドでは、この時期のことを雨季と呼びますよ。雨季という言葉を聞くと、日本における梅雨の天気を思い浮かべる方が多いかもしれません。ですが、日本の梅雨と違い、インドの雨季の場合は一日に何度か短時間で集中的な豪雨が降るという天気になりますよ

この雨季の原因になるものが、インドモンスーンです。インドモンスーンは、オーストラリア付近から西アジアに向かって吹く季節風ですよ。インドモンスーンによる豪雨は、洪水被害などを広範囲にもたらします。

東アジアの季節風とは

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中国が存在する東アジアには、広範囲に影響を与える季節風が吹きます。この季節風はアジアモンスーンの代表格であると言えますよ。東アジアの季節風は、中国の奥地から太平洋に浮かぶミッドウェー島に間を吹き抜けますこの季節風は、冬の間に北風、夏の間に南風となりますよ

東アジアに吹く季節風は梅雨前線や秋雨前線にも影響を与えるため、日本の天気を考える上で無視できない要素の一つとなるのです。日本に関連が深い季節風と聞くと、ロシアから日本海に向かって吹く風を真っ先に思い浮かべます。ですが、ここで説明した東アジア全域に吹く季節風も日本の天気を考える際に重要になることを覚えておきましょう。

紅海の季節風とは

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東アフリカ地域に存在する紅海の真上にも、季節風が吹くことが知られていますこの季節風を利用して、紅海では古代から海上貿易が活発に行われていたことが知られていますよ。このことは、紅海が海のシルクロードの一部となっていたことからもうかがい知れますよね

季節風を利用した航海の様子は、『エリュトゥラー海案内記』という書物に記述されています。紅海での航海の様子は、アラビアンナイトのお話の中でも登場するのです。アラビアンナイトは、映画化がなされており、見たことがある方も多いのではないでしょうか。

具体例を交えて季節風について知ろう!

教科書や参考書で季節風について学ぶと、メカニズムの説明で終わってしまうケースが多いため、季節風の具体例までを知っている方はあまり多くないかもしれません。この記事では、そのような問題を解決するべく、世界の季節風についての説明に織り交ぜながら、解説を進めました。

具体例の中には、アラビアンナイトに関する話題も登場したので、楽しみながら季節風についての勉強ができた方もおられるでしょう。このように具体例を交えて学んだ事柄は、記憶にも残りやすくなりますよ。ぜひこの機会に、季節風について学んでみてくださいね。

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地学理科

3分で簡単季節風!その定義や影響・偏西風や貿易風との違いは?現役理系学生ライターが徹底わかりやすく解説!

今回は「季節風」について解説していきます。

季節風は特定の場所に吹く季節性の風のことです。季節風が吹く場所では、それに起因する特徴的な天気が観測されるぞ。日本の天気も季節風の強い影響を受けている。この記事では、具体例を交えつつ、季節風のメカニズムについて詳しく説明します。ぜひ、この機会に季節風についての理解を深めてくれ。

環境工学を専攻している現役理系学生ライター通りすがりのペンギン船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。エネルギー工学、環境工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。土壌、生態系、気象、地球温暖化について学んだこともある。

季節風について学ぼう!

季節風(きせつふう)という気象用語は天気予報の中でよく耳にします。また、この言葉は中学や高校の地学・地理の授業でも取り上げられますよね。しかしながら、難しい学問の用語だと考えて、それを理解することに苦手意識を持っている方もおられるかもしれません。

そこで今回は、季節風がどのようなものでありどのような特徴をもつのか、ということを具体例などを交えてわかりやすく解説していきますよ。そして、記事の後半では世界各地でみられる季節風を地域別にご紹介します。その中で日本における季節風の影響についても解説しますよ。それでは、最初に季節風についての基礎知識を身につけましょう

季節風とは?

季節風とは?

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季節風は、特定の季節・場所において、同じ方向に吹く風のことをさします。なお、季節風はモンスーンと呼ばれることもありますよ。

季節風が発生する場所は様々ですが、夏に吹く季節風は海洋から大陸に向かう風である傾向があります。一方、冬に吹く季節風は大陸から海洋に向かう傾向があるのですこのような点が、恒常的に同じ向きに吹く風である偏西風や貿易風との違いになります

季節風は古い時代から人々に認識されていました。それは季節風が航海に大きな影響を与えていたからですよ。インド洋を航海していた人々は、紀元前から季節風の存在を理解していたようですよ。

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