この記事では「口を塞ぐ」について解説する。

端的に言えば「口を塞ぐ」の意味は「話させないようにする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「口を塞ぐ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「口を塞ぐ」の意味をわかりやすく伝える。

「口を塞ぐ」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「口を塞ぐ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「口を塞ぐ」の意味は?

「口を塞ぐ」には、次のような意味があります。

金品を与えたり、おどしたりして話させないようにする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「口を塞ぐ

1. 口止めに同じ。

2. 客に供する料理をへりくだっていう語。くちよごし。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「口塞ぎ

「口を塞ぐ」は「くちをふさぐ」と読み、金品などで口止めをしたり、脅したりして口止めをする際に使用します。「塞ぐ」という強制力のあるような単語からも、社会的・一般常識的にあまりよろしくないシーンで使われることが多い言葉と言えるでしょう。そのためあまりポジティブには用いられないので、使用する場面には注意が必要です。

なお「口塞ぎ」と名詞化すると食事の際の意味が付加されますので、念のため上記しておきました。

「口を塞ぐ」の語源は?

次に「口を塞ぐ」の語源を確認しておきましょう。明確な語源は明確ではありませんが、「塞ぐ」は「耳・目・口などを手で押さえて覆う。また、目・口を閉じる。」といった意味を有していることからも、物理的に「誰かの口を手などで塞ぐ」という強引な行為が、金品や脅迫といった意味の慣用句に変容していったものと思われます。

「口を塞ぐ」の使い方・例文

「口を塞ぐ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「口を塞ぐ」の類義語は?違いは?」を解説!/

1. 彼はなぜか秘密の質問とキーワードの内容を知っていたから、報酬100万円増加で口を塞いで解決しておいたよ。

2. この山城に簡単に侵入されるわけにはいかない。経路を知っていそうなやつは多少乱暴してでも口を塞いでおけ。

3. ご要望を手軽に実現させるためには、根回しで会社役員の口を塞いでおく必要があります。

どの例文も共通して、怪しげなニュアンスがあることがわかると思います。「口を塞ぐ」ために使用している手段は例文1は金銭、例文2は暴力による脅迫、例文3は交渉ですね。このように、基本的にはよからぬことを目論んでいる人を主語として、その物事が上手くいくように画策する際に使用される言葉です。

「口を塞ぐ」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「口を塞ぐ」の類義語を3つほどピックアップしましたので、見ていきましょう。

1. 「口を封じる」

1つ目の類義語が「口を封じる」(くちをふうじる)です。念のため国語辞書で意味を確認しておきましょう。

1. 無理やりだまらせる。他言させない。口止めする。

2. 俗に、秘密を守るために殺す。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「口を封じる

このように「口を塞ぐ」とほぼ同じ意味ですが、2の意味にもあるように「口を封じる」の方がやや過激ですね。「口を塞ぐ」よりも無理やり・致し方なく強硬な手段でといったニュアンスが含まれていることがわかります。

\次のページで「2. 「口止め」」を解説!/

2. 「口止め」

次の類義語が「口止め」(くちどめ)です。これも意味を確認しておきましょう。

1. 口外することを禁じること。箝口(かんこう)。

2. 「口止め料」の略。

3. 反論を封じること。納得させること。

4. 山・磯などの共有地の利用を禁止すること。また、その日。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「口止め

「口を塞ぐ」の類義語としては1~3の意味が該当します。「口止め」もほぼ同じ意味と言えますが、「口を塞ぐ」と比べると脅迫や暴力といったニュアンスは少なく、ややソフトな印象を受ける言葉です。

なおよく口語で用いられる「オフレコ」も「口止め」の意ですね。語源は「off the record」ですので、合わせて覚えておきましょう。

3. 「噯にも出さない」

最後の類義語が「噯にも出さない」(おくびにもださない)です。難しい感じですが、「噯」はちゃんと読めたでしょうか。これも意味を確認しておきましょう。

物事を深く隠して、決して口に出さず、それらしいようすも見せない。おくびにも見せない。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「噯にも出さない

「口を塞ぐ」は他者に強要する意味ですが、「噯にも出さない」は自分の中で完結するという点で異なります。誰に何を言われようともしゃべらない・漏らさないという強い決意を感じる言葉です。「黙る」、「沈黙」なども同じように、自分の意志を示す言葉ですね。

「口を塞ぐ」の対義語は?

さて、同義語の次は対義語(反対語)を見ていきましょう。

\次のページで「「口を割る」」を解説!/

「口を割る」

「口を塞ぐ」の対義語として挙げられるのが「口を割る」でしょう。意味としては「白状する」ですから、「口を割らせる」などとすると「誰かから話を引き出す」となり、対義の意味となります。

「口を塞ぐ」の英訳は?

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最後に、「口を塞ぐ」を英訳するとどうなるかを見ていきましょう。

「muzzle somebody」

「口を塞ぐ」に最も近い英語での言い回しが「muzzle somebody」です。「muzzle」は名詞では「犬などの口輪」の意味を有しており、確かに物理的に黙らせることができることから動詞化すると「沈黙させる」などという意味となります。聞きなれない単語かもしれませんが覚えておきましょう。

なお「muzzle」を用いずとも、「keep quiet」など良く用いる言葉で代用することも可能です。以下に例文での使い方を示しておきます。

・You'll need to muzzle anyone who has questions before you get an answer from that company.

あの会社からの回答が来る前に、疑問を持っている人間の口を塞いでおく必要があるよ。

・It depends on who you're talking to and you might be nervous, but if this important topic leaks to the outside world, you're in trouble, so let's shake free service and keep everyone muzzled.

相手にもよるし神経質かもしれないけど、この大事な話題が外部に漏れたら大変だから、無料サービスを振るまって全員の口を塞いでおこう。

・Kenta is the kind of guy who doesn't talk much, so you need to keep him quiet, even if you have to threaten him a little.

健太君は口が軽いタイプだから、多少脅してでも口を塞ぐ必要があるよ。

「口を塞ぐ」を使いこなそう

この記事では「口を塞ぐ」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しておきましょう。

「口を塞ぐ」は金品などで口止めをしたり、脅したりして口止めをする際に使用する言葉でした。ビジネスシーンでも日常生活でも、あまり「口を塞ぐ」場面が多いといつか破綻するでしょうから、「口止め」や「口封じ」はほどほどにしましょうね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「口を塞ぐ」の意味や使い方は?例文や類語を元校閲者がわかりやすく解説!

この記事では「口を塞ぐ」について解説する。

端的に言えば「口を塞ぐ」の意味は「話させないようにする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「口を塞ぐ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「口を塞ぐ」の意味をわかりやすく伝える。

「口を塞ぐ」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「口を塞ぐ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「口を塞ぐ」の意味は?

「口を塞ぐ」には、次のような意味があります。

金品を与えたり、おどしたりして話させないようにする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「口を塞ぐ

1. 口止めに同じ。

2. 客に供する料理をへりくだっていう語。くちよごし。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「口塞ぎ

「口を塞ぐ」は「くちをふさぐ」と読み、金品などで口止めをしたり、脅したりして口止めをする際に使用します。「塞ぐ」という強制力のあるような単語からも、社会的・一般常識的にあまりよろしくないシーンで使われることが多い言葉と言えるでしょう。そのためあまりポジティブには用いられないので、使用する場面には注意が必要です。

なお「口塞ぎ」と名詞化すると食事の際の意味が付加されますので、念のため上記しておきました。

「口を塞ぐ」の語源は?

次に「口を塞ぐ」の語源を確認しておきましょう。明確な語源は明確ではありませんが、「塞ぐ」は「耳・目・口などを手で押さえて覆う。また、目・口を閉じる。」といった意味を有していることからも、物理的に「誰かの口を手などで塞ぐ」という強引な行為が、金品や脅迫といった意味の慣用句に変容していったものと思われます。

「口を塞ぐ」の使い方・例文

「口を塞ぐ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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