3分で分かる「帝銀事件」戦後の日本を震撼させたこの事件の背景と概要・現代まで続く冤罪の議論まで文系ライターが分かりやすくわかりやすく解説!
ライター/けさまる
普段は鉄鋼系の事務をしながら、大学時代の人文学科での経験を生かして執筆活動に取り組む。学生時代の研究テーマはイスラーム文化について。
帝銀事件とは
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帝都事件とは、1948年1月に東京都豊島区の帝国銀行(のちの三井銀行)で起こった銀行強盗殺人事件です。犯人は銀行員ら12人を毒殺し、現金と小切手を奪い、逃走しました。容疑者は逮捕され、死刑判決を受けるも無実を主張。その後、死刑は最後まで執行されることなく、犯人と思われる人物は獄中死。今なお、多くの謎が残されている事件です。
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時代背景には何があった?
帝都事件があったのは1948年、太平洋戦争終結後の日本。当時の日本はアメリカGHQの実質的な支配下にあり、その指揮者であるマッカーサーの指令によって日本の民主化が推し進められていた時代です。事件の2年前に当たる1946年には日本国憲法が公布され、翌年には第1回参議院議員通常選挙が実施されました。やがて事件から2年後の1950年に始まった朝鮮戦争をきっかけに日本は高度経済成長期に突入しますがここではまだ、内政の立て直しがGHQの指令のもと急ピッチに進められていました。
その1.戦後間もない日本
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人々の生活はというと、終戦直後の食糧危機、浮浪者と闇市の増加といった混沌とした時代から抜け出しつつありました。教育改革制度によって子どもたちは学校に通って授業を受け、輸入食品に助けられながら学校給食が本格的に提供されるようになりました。また都市部では激しいインフレに見舞われたものの少しずつギャンブルを含む娯楽が社会に戻りつつありました。そして若者たちを中心にアメリカからの文化流入が盛んになったのもこのころからです。
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