この記事では「踵を接する」について解説する。

端的に言えば「踵を接する」の意味は「間髪入れず」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「踵を接する」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「踵を接する」の意味をわかりやすく伝える。

「踵を接する」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「踵を接する」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「踵を接する」の意味は?

「踵を接する」には、次のような意味があります。

物事が間をおかずに起きる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「踵を接する(きびすをせっする)

1. 前後の人のかかとが接するほど、次から次へと人が続く。くびすをつぐ。きびすを接する。

2. 物事が続けざまに起こる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「踵を接する(くびすをせっする)

「踵を接する」は「きびすをせっする」と読み、人や物事が間髪おかず生じる際に使用します。同じ漢字で「くびすをせっする」と読むこともあり、ほぼ意味は同じなのですが若干違う意もありますので、上述しておきました。口語では地方によって「きびす」「くびす」と読み方が違うこともあるようですので、物事だけではなく人も含めて、次から次へと続くという意味で覚えておくと良いでしょう。

「踵を接する」の語源は?

次に「踵を接する」の語源を確認しておきましょう。上述した国語辞書の「くびすをせっする」にもあるように、「前後の人のかかとが接するほど、次から次へと人が続く。」が語源となっています。この「人が続く」が、「きびすをせっする」の意味である「物事が続く」に何故変容したかは明確ではありませんが、おそらく軍事中の用語が発端となり軍人の続くさまを表した「くびすをせっする」が一般的な用語に普及するにつれ、人から物事へと意味が付加されていったと考えられるでしょう。

「踵を接する」の使い方・例文

「踵を接する」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「踵を接する」の類義語は?違いは?」を解説!/

1. いろいろな事件が踵を接して起きるから、混同して現在の状況が把握できないよう。

2. 踵を接するように文学作品を彼は投稿してくるな。メディアに人気なのもよくわかる。

3. 科学の進歩がわかる世界的な展覧会に踵を接して子供が訪れた。

例文の1と2は物事が絶え間なく続いている様子、例文3は人物ですね。このように人物と物事のどちらにも使用することが可能です。なお「様子」や「状況」を表す言葉であるため、そこに含まれる「感情」や、人物や物事が続いた「結果」は表現されないことに注意しましょう。

「踵を接する」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「踵を接する」の類義語を3つほどピックアップしましたので、見ていきましょう。

1. 「続々」

最初にご紹介する類義語が「続々」(ぞくぞく)です。念のため国語辞書で意味を確認しておきましょう。

絶え間なく続くさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「続々

「続々」は口語でも良く使われますから問題ないですよね。意味もほぼ「踵を接する」と同じですし、「続々」の方が使用する範囲が広く使いやすい言葉と言えるでしょう。

\次のページで「2. 「延々」」を解説!/

2. 「延々」

次にご紹介する類義語が「延々」(えんえん)です。こちらも意味を確認しておきましょう。

非常に長く続くさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「延々

このように「延々」も「踵を接する」とほぼ同じ意味ですが、「踵を接する」や「続々」は「多くの要素(人や物事)」が「次から次へと」生じる・来るさまを表現しているのに対し、「延々」はそのような意味でも使われますが、「1つの要素が時間的に長く続く」意味でも使われるところが若干異なります。

例えば1つの要素に対しては「延々と試合が続く」などと使うことができますし、「踵を接する」と同じ使い方であれば「延々と列が続く」などと使用可能です。

3. 「じゃんじゃん」

今回最後にご紹介する類義語が「じゃんじゃん」です。こちらも念のため意味を確認しておきましょう。

1. 半鐘などが激しく続いて鳴る音を表す語。

2. 物事が盛んな勢いでたてつづけに行われるさま。次から次へと盛んに起こるさま。どんどん。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「じゃんじゃん

「踵を接する」の類義語としては2の意味ですね。「じゃんじゃん」も「多数の要素が生じる・生じ続ける」というほぼ同じ意味ですが、「盛り上がっている」「気分が高まっている」というような感情や雰囲気が表現されている言葉です。「踵を接する」はニュートラルな言葉ですから、その点が違うと言えるでしょう。

「踵を接する」の対義語は?

さて、同義語の次は対義語(反対語)を見ていきましょう。

\次のページで「「ぼつぼつ」」を解説!/

「ぼつぼつ」

「踵を接する」や「続々」の対義語として、「ぼつぼつ」が挙げられるでしょう。意味としては「物事が徐々に進行するさま。また、ゆっくりと物事にとりかかるさま。ぼちぼち。」ですから、反対の意味を有していることがわかります。

「踵を接する」の英訳は?

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最後に、「踵を接する」を英訳するとどうなるかを見ていきましょう。

「one after another」

「踵を接する」に最も近い言い回しが「one after another」です。どちらかというと慣用句というよりも、「続々」や「次々と」というニュアンスに近いですが、以下の例文にて使い方を見ていきましょう。

・That company is a major trading company, and one after another, university graduates are being sucked in for job hunting.

あの企業は大手商社なんだけど、踵を接して大学卒の学生が就職活動のために吸い込まれていくね。

One after another, older aunts and uncles are entering the popular social scene.

人気の社交場に踵を接して年配のおじさま・おばさま方が入っていくよ。

・Books are being published one after the other these days, and it's a new business model.

最近踵を接するように書籍が発刊されていて、ビジネスモデルとしては新しいよね。

「踵を接する」を使いこなそう

この記事では「踵を接する」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しておきましょう。

「踵を接する」は人や物事が間髪おかず生じる際に使用する言葉でした。「きびす」「くびす」と2種類の読み方がありますから注意しましょう。ビジネスパーソンとしては「踵を接して」仕事を依頼させるようになると、一人前と言えるかもしれませんね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「踵を接する」の意味や使い方は?例文や類語を元校閲者がわかりやすく解説!

この記事では「踵を接する」について解説する。

端的に言えば「踵を接する」の意味は「間髪入れず」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「踵を接する」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「踵を接する」の意味をわかりやすく伝える。

「踵を接する」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「踵を接する」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「踵を接する」の意味は?

「踵を接する」には、次のような意味があります。

物事が間をおかずに起きる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「踵を接する(きびすをせっする)

1. 前後の人のかかとが接するほど、次から次へと人が続く。くびすをつぐ。きびすを接する。

2. 物事が続けざまに起こる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「踵を接する(くびすをせっする)

「踵を接する」は「きびすをせっする」と読み、人や物事が間髪おかず生じる際に使用します。同じ漢字で「くびすをせっする」と読むこともあり、ほぼ意味は同じなのですが若干違う意もありますので、上述しておきました。口語では地方によって「きびす」「くびす」と読み方が違うこともあるようですので、物事だけではなく人も含めて、次から次へと続くという意味で覚えておくと良いでしょう。

「踵を接する」の語源は?

次に「踵を接する」の語源を確認しておきましょう。上述した国語辞書の「くびすをせっする」にもあるように、「前後の人のかかとが接するほど、次から次へと人が続く。」が語源となっています。この「人が続く」が、「きびすをせっする」の意味である「物事が続く」に何故変容したかは明確ではありませんが、おそらく軍事中の用語が発端となり軍人の続くさまを表した「くびすをせっする」が一般的な用語に普及するにつれ、人から物事へと意味が付加されていったと考えられるでしょう。

「踵を接する」の使い方・例文

「踵を接する」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「踵を接する」の類義語は?違いは?」を解説!/

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