この記事では「勝負は時の運」について解説する。

端的に言えば勝負は時の運の意味は「実力がある方が勝つとは限らずその時の運命で決まる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で6年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「勝負は時の運」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な6年目のライター、eastflower。「勝負は時の運」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「勝負は時の運」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「勝負は時の運」(しょうぶはときのうん)の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「勝負は時の運」の意味は?

まずは、「勝負は時の運」の辞書の意味を見ていきましょう。

1.戦いの勝ち負けはその時の運命によるもので、必ずしも強い者が勝つとは限らない。

出典: 日本国語大辞典(精選) 「勝負は時の運」

「勝負は時の運」(しょうぶはときのうん)は国語辞典に示されている通り、「必ずしも強い者が勝つとは限らない」という意味で、「勝ったからといって威張(いば)ったり、驕(おご)るべきものでもないし、負けたからといってそれほど落胆すべきものでもない」のです。

「勝負は時の運」は、勝者には自身を戒(いまし)めるように促す場合に使われ、敗者に対しては慰め(なぐさめ)の言葉として使われる場合が多いですね。

「勝負は時の運」の語源は?

次に「勝負は時の運」の語源を確認しておきましょう。
「勝負は時の運」は古典文学の「太平記」(たいへいき)に記された言葉だったと言われています。「太平記」とは、1318年に後醍醐天皇(ごだいごてんのう)が即位して、鎌倉幕府を討伐する時代から、当初、後醍醐天皇を担いでいた足利尊氏(あしかがたかうじ)が立ち上がり、朝廷が南北に分かれ、尊氏が室町幕府を開くまでの期間を中心に描かれた物語です。

その間、足利尊氏は数々の戦いを経験してきており、時には勝利し、時には敗れることもあったことでしょう。敗北した場合でも、足利尊氏は「勝負は時の運」と言って、家臣を励ましたのかもしれませんね。

\次のページで「「勝負は時の運」の使い方・例文」を解説!/

「勝負は時の運」の使い方・例文

「勝負は時の運」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. 「今度、自民党の総裁選挙が行われるけど誰が勝つと思う?」
「正直言って、誰になってもおかしくないね。それぞれの候補が実力や能力を持ち合わせていて、そのときの雰囲気に左右されるのだと思う。候補者にとっては、正に勝負は時の運という気持ちじゃないかな」

2. 「勝負は時の運」とよく言われますが、まさにこの試合もボクシング史上歴史に残る大逆転劇でした。始終、攻めていたチャンピオンに追い詰めまられた挑戦者が繰り出したフックがヒットし、これが試合の流れを変えましたね。狙ったというよりも天の意思とも思える一発でした。

「勝負は時の運」は戦いのみでなく、スポーツや選挙などいろいろな場面で使える言葉なのです。

「勝負は時の運」の類義語は?違いは?

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それでは、「勝負は時の運」の類義語を見ていきましょう。

「運否天賦」

「勝負は時の運」は「戦いは強いものが勝つとは限らず、その時の運命によって定まる」という意味でしたが、同じような意味で使われる中国から伝わった四字熟語の「運否天賦」(うんぷてんぷ)があります。

「運否天賦」とは、「やるべきことはやった。勝つか負けるかは人の力でどうにかなるものではなく、後は天の判断にまかせる」という境地にいたったときの言葉です。

\次のページで「「勝負は時の運」の対義語は?」を解説!/

「勝負は時の運」の対義語は?

次に「勝負は時の運」の対義語を見ていきましょう。

「戦わずして勝つ」

「勝負は時の運」は、戦うことを決意した後の心情を表した言葉ですね。
対義語ではありませんが、勝負する前にどう対処すべきかを考えるという別の発想の言葉に「戦わずして勝つ」(たたかわずしてかつ)があります。

兵法家(ひょうほうか)として有名な中国の孫子(そんし)の言葉です。
「戦わずして勝つ」の基本的な考え方は「戦争をすることなく敵を味方に変える」方法を考え出すことにありますが、孫子はこの他にも「負けない方法」について考え尽くしました。
例えば、「強者とは戦わず、弱者と戦うこと」、強者と戦うのであれば、「強者の弱点が見つかるまでは戦わない」、「強者の弱点がわかったときこの弱点を集中的に攻める」など。
孫子は「負けないことの大切さ」をきちんと理解していたのです。
そんな孫子の考え方は、日本の戦国武将たちにも深く受け入れられ、そんなひとりが甲斐の武田信玄(たけだしんげん)でした。

「勝負は時の運」の英訳は?

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次に「勝負は時の運」の英訳を見ていきましょう。

「You win some, you lose some」

「勝負は時の運」とは、「戦いの勝ち負けは運命であり強いからといって必ずしも勝つわけではない」という意味でした。つまり、「勝つ日もあれば負ける日もある」という意味ですね。

英語表現にはこれにピッタリの決まり文句があり、「You win some, you lose some」というのです。「win」(wín)は「勝つ」,「lose」(lúːz)は「負ける」という意味で使われますから、「You win some, you lose some」で「勝つ日もあれば負ける日もある」と言いたい時に使える表現になります。また、「You win some, you lose some」は「人生にアップダウン、浮き沈みがある」という意味で使われることもありますね。

「勝負は時の運」を使いこなそう

この記事では、慣用句、「勝負は時の運」の意味や使い方を見てきました。「勝負は時の運」とは勝負事(しょうぶごと)においては、必ずしも実力のある方が勝利するとは限らず、運命、天命によって決まるものだという意味でしたね。

誰にとっても強い相手や難しい問題に向き合うとき、自分が立ち向かうのは無理かもしれないと考えがちなものです。しかし、「勝負は時の運」と言われる通り有利だと言われている方、強いと言われている方が勝つとは限りません。もし、困難な問題に直面したらチャンスだと思って全力で立ち向かっていくことも時にはいいかもしれませんね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「勝負は時の運」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「勝負は時の運」について解説する。

端的に言えば勝負は時の運の意味は「実力がある方が勝つとは限らずその時の運命で決まる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で6年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「勝負は時の運」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な6年目のライター、eastflower。「勝負は時の運」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「勝負は時の運」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「勝負は時の運」(しょうぶはときのうん)の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「勝負は時の運」の意味は?

まずは、「勝負は時の運」の辞書の意味を見ていきましょう。

1.戦いの勝ち負けはその時の運命によるもので、必ずしも強い者が勝つとは限らない。

出典: 日本国語大辞典(精選) 「勝負は時の運」

「勝負は時の運」(しょうぶはときのうん)は国語辞典に示されている通り、「必ずしも強い者が勝つとは限らない」という意味で、「勝ったからといって威張(いば)ったり、驕(おご)るべきものでもないし、負けたからといってそれほど落胆すべきものでもない」のです。

「勝負は時の運」は、勝者には自身を戒(いまし)めるように促す場合に使われ、敗者に対しては慰め(なぐさめ)の言葉として使われる場合が多いですね。

「勝負は時の運」の語源は?

次に「勝負は時の運」の語源を確認しておきましょう。
「勝負は時の運」は古典文学の「太平記」(たいへいき)に記された言葉だったと言われています。「太平記」とは、1318年に後醍醐天皇(ごだいごてんのう)が即位して、鎌倉幕府を討伐する時代から、当初、後醍醐天皇を担いでいた足利尊氏(あしかがたかうじ)が立ち上がり、朝廷が南北に分かれ、尊氏が室町幕府を開くまでの期間を中心に描かれた物語です。

その間、足利尊氏は数々の戦いを経験してきており、時には勝利し、時には敗れることもあったことでしょう。敗北した場合でも、足利尊氏は「勝負は時の運」と言って、家臣を励ましたのかもしれませんね。

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