この記事では「世間が広い」について解説する。

端的に言えば世間が広いの意味は「交際範囲が広い」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

広告や書籍で13年の経験を積んでいる現役校正者の朱月を呼んです。一緒に「世間が広い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/朱月

誤字脱字と日々格闘する、文学部出身の校正者。13年の校正経験を生かし、丁寧に解説する。

「世間が広い」の意味・使い方まとめ

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「世間が立つ」「世間ずれ」など、「世間」という言葉が使われた言葉や慣用句は色々とありますよね。それでは、「世間が広い」という慣用句を聞いたことはあるでしょうか?今回はこの「世間が広い」について、意味や使い方を見ていきましょう。

「世間が広い」の意味は?

「世間が広い」を国語辞典で引くと、次のような意味が載っています。

1.交際範囲が広い。つきあいが広い。
2.世間についての知識が広い。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「世間が広い」

「世間」という言葉を使う場合、多くは「人が集まり、生活している場」「社会、世の中」の意味で使うことが多いのではないでしょうか。辞書で「世間」を調べると、その他にも様々な意味が載っていますよね。中でも「世間が広い」の「世間」とは、「人々との交わり、交流・交際する範囲」をさしています。

交際範囲が広いということはすなわち、自分の活動範囲や交友関係の広さと等しいです。言葉の意味からも、そのイメージがつかめるのではないでしょうか。

「世間が広い」の語源は?

「世間が広い」には明確な語源がないようです。「自分と関わりのある範囲が広い」という文字通りの意味から、徐々に慣用句として使用されるようになったと考えられます。

「世間が広い」の使い方・例文

「世間が広い」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「世間が広い」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.ベンチャー企業を創業した友人は世間が広い。早速つてを頼って営業を始めたようだ。
2.近所に住むおじいさんは世間が広く、町内会ではアドバイザーとして何かと頼りにされているらしい。

例文1では、「世間が広い」の1つ目の意味について用例を挙げてみました。交際範囲が広ければ、それだけ仕事のご縁にもつながりやすいでしょう。

例文2は、2つ目の意味で用例を挙げてみました。人生経験が豊富な人は、それだけ様々なことについての知識を持っていることが多く、頼りがいがありますよね。

「世間が広い」の類義語は?違いは?

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ここからは、「世間が広い」の類義語を見てみましょう。

その1「世故に長ける」

「世故(せこ)に長(た)ける」とは、「世間の事情によく通じている」という意味の慣用句です。

「世故」は漢字自体は珍しい組み合わせではありませんが、熟語としてはあまり耳慣れないかもしれませんね。この言葉には、「世の中の風俗や習慣など、世間の物事、ならわし」という意味があります。「長ける」は「熟達している」という意味です。

わたしの学校の校長先生は世故に長けていて、とても頼りになる。

その2「世慣れる」

「世慣れる」は、「世間の事情に通じている」「異性との交際に通じている」などをさす言葉です。「世間が広い」の類義語としては、前者の意味が該当します。

ここでの「世」とは、「世の中、世間」をさす言葉です。「世間が広い」の「世間」と同じく、人と人との関わりの中で形成される世界をイメージしてみてください。また、ここでの「慣れる」とは「習熟する」の意味で使われています。

\次のページで「その3「顔が広い」」を解説!/

知人からある会社のマネージャーを紹介された。一見おっとりとした外見だがとても世慣れていて、話をしてみるとその見識の深さに舌を巻いた。

その3「顔が広い」

「顔が広い」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。この言葉は、「つきあいの範囲が広い」「知り合いが多い」という意味の慣用句です。

「顔」には様々な意味がありますが、ここでは「社会や地域における知名度」の意味で使われていると考えられます。相手をけなすなどの悪い場面ではなく、褒め言葉として使われることを覚えておくとよいでしょう。

我々が支援している議員は政界や経済界、さらに海外にも顔が広く、今日の日本に必要な人材だ。次の選挙はもちろん、いずれは総裁選にも出馬してもらいたいものだ。

「世間が広い」の対義語は?

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「世間が広い」の対義語にはどのような言葉があるのでしょうか。早速見てみましょう。

その1「世間が狭い」

「世間が狭(せま)い」とは、「交際範囲が狭い、世間に対する知識が狭い」「肩身が狭い」という意味の慣用句です。特に「交際範囲が狭い、世間に対する知識が狭い」は、「世間が広い」と正反対の意味をさすものとしてよく使われています。

ブログの記事に寄せられたコメントをいくつか読んでみたが、どれも拙い内容で「世間が狭いなあ」と呆れるものばかりだった。

その2「井の中の蛙大海を知らず」

「井の中の蛙(かわず)大海を知らず」は、通称「井の中の蛙」として知られていますね。「自分の狭い知識や考えにとらわれて、他に広い世界があることを知らない」という意味の慣用句です。

\次のページで「その3「視野が狭い」」を解説!/

「井の中の蛙大海を知らず」という言葉があるが、僕の父はまさにその典型だと思う。いつまでも自分の考えに固執していて、頑固にも程がある。

その3「視野が狭い」

「視野」にはいくつかの意味がありますが、ここでは「物事を考えたり判断したりする範囲」を意味します。判断力や見識に乏しいことをいう言葉ですから、自分ではなく他者に対して使う場合には言い方に注意したほうがよさそうですね。

所属している研究会の発表を聞いてみたが、同期が見当外れの考察をしていて複雑な気持ちになった。自分も視野が狭くなっていないか見直したほうがよさそうだ。

「世間が広い」を使いこなそう

この記事では「世間が広い」の意味・使い方・類語などを説明しました。「世間が狭い」は「世間が広い」の正反対の意味を持つ言葉としてしばしば使われます、あわせて覚えておくと便利ですよ。この「世間が狭い」という対義語は相手をけなすなど悪い意味で使われる言葉ですが、一方で「顔が広い」のように褒め言葉として使われる類義語もあります。

「世間が広い」だけに限りませんが、言葉について調べる時は、対義語や類義語、さらにそれらが使われる場面の特徴なども是非調べてみてください。それぞれの言葉に対する理解がより深まり、言葉同士を関連づけて覚えることができるため、語彙力に幅ができておすすめです。

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国語言葉の意味

【慣用句】「世間が広い」の意味や使い方は?例文や類語を校正者がわかりやすく解説!

この記事では「世間が広い」について解説する。

端的に言えば世間が広いの意味は「交際範囲が広い」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

広告や書籍で13年の経験を積んでいる現役校正者の朱月を呼んです。一緒に「世間が広い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/朱月

誤字脱字と日々格闘する、文学部出身の校正者。13年の校正経験を生かし、丁寧に解説する。

「世間が広い」の意味・使い方まとめ

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「世間が立つ」「世間ずれ」など、「世間」という言葉が使われた言葉や慣用句は色々とありますよね。それでは、「世間が広い」という慣用句を聞いたことはあるでしょうか?今回はこの「世間が広い」について、意味や使い方を見ていきましょう。

「世間が広い」の意味は?

「世間が広い」を国語辞典で引くと、次のような意味が載っています。

1.交際範囲が広い。つきあいが広い。
2.世間についての知識が広い。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「世間が広い」

「世間」という言葉を使う場合、多くは「人が集まり、生活している場」「社会、世の中」の意味で使うことが多いのではないでしょうか。辞書で「世間」を調べると、その他にも様々な意味が載っていますよね。中でも「世間が広い」の「世間」とは、「人々との交わり、交流・交際する範囲」をさしています。

交際範囲が広いということはすなわち、自分の活動範囲や交友関係の広さと等しいです。言葉の意味からも、そのイメージがつかめるのではないでしょうか。

「世間が広い」の語源は?

「世間が広い」には明確な語源がないようです。「自分と関わりのある範囲が広い」という文字通りの意味から、徐々に慣用句として使用されるようになったと考えられます。

「世間が広い」の使い方・例文

「世間が広い」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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