この記事では「欲の熊鷹股を裂く」について解説する。

端的に言えば欲の熊鷹股を裂くの意味は「あまり欲が深いと災いを招く」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

漢検準一級を保有しており言葉に詳しいたきじを呼んです。一緒に「欲の熊鷹股を裂く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/たきじ

国立大学卒、漢検準一級保有のライター。高校時代の得意科目は国語と英語。漢字の意味やことわざ、熟語が好きで、新しい言葉を覚えるのが得意。

「欲の熊鷹股を裂く」の意味や語源・使い方まとめ

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「欲の熊鷹股を裂く」ということわざをご存知でしょうか。一般的には使われない単語も含まれているためご存知の方は少ないかもしれません。一体どのような意味を持っているのでしょうか。

それでは早速「欲の熊鷹股を裂く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「欲の熊鷹股を裂く」の意味は?

「欲の熊鷹股を裂く」には、次のような意味があります。

1.あまり欲が深いと災いを招くというたとえ。


出典:デジタル大辞泉(小学館)「欲の熊鷹股を裂く」

「欲の熊鷹股を裂く」の読み方は「よくのくまたかまたをさく」です。クマタカが同時に2匹のイノシシにつかみかかったが、イノシシはそれぞれ反対の方向に逃げ出したためクマタカの股が避けてしまったことから、あまり欲が深いとこういった災いを招くという意味で使われます。

日常でも欲が深いと失敗してしまうということはなんとなくイメージしやすいですよね。のちに類義語もいくつか紹介するので合わせて参考にしてみてください。

「欲の熊鷹股を裂く」の語源は?

次に「欲の熊鷹股を裂く」の語源を確認しておきましょう。

「欲の熊鷹股を裂く」は先述の通り、クマタカが2匹のイノシシを捕食しようとつかみかかったところイノシシがそれぞれ左右に逃げたため股が裂けてしまったという昔話に由来します。クマタカは日本では北海道から九州までの森林に生息している猛禽類で、全長は約70から80cmの大きな鳥です。

森林生態系の頂点に君臨するため別名「森の王者」とも呼ばれるほど強い動物ですが、そのような強者であっても欲が深すぎると災いを招いてしまうという戒めの言葉として使うことができます。

\次のページで「「欲の熊鷹股を裂く」の使い方・例文」を解説!/

「欲の熊鷹股を裂く」の使い方・例文

「欲の熊鷹股を裂く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.欲の熊鷹股を裂くで、無理に二つのことをしようとすると一つもできなくなってしまうよ。
2.八方美人は人気者になりやすいが、欲の熊鷹股を裂くというように欲を出して行動すると人付き合いが一気に難しくなる。
3.欲の熊鷹股を裂くというが、仕事においては貪欲な性格のほうが出世することが多い。

例文のように、「欲の熊鷹股を裂く」はあまりに欲が深いと失敗してしまうということを表現したいときに用いられることわざです。基本的には例文1、2のように戒めの意味で使うことが多いですが、例文3のように「欲が深いことがいい」と逆の意味で使うこともできます。

前後の文章で逆の意味にすることもできるので、文脈に応じてうまく使い分けていきましょう。

「欲の熊鷹股を裂く」の類義語は?違いは?

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次に「欲の熊鷹股を裂く」の類義語やその違いについて見ていきましょう。

その1「二兎追うものは一兎をも得ず」

「二兎追うものは一兎をも得ず」(にとおうものはいっとをもえず)二つの物事を欲張るとどちらも失敗してしまうことを意味することわざです。由来はウサギを二羽捕まえようとすると結局一羽も捕まえられないことからきています。「欲の熊鷹股を裂く」と同じ意味の言葉は複数ありますが、「二兎追うものは一兎をも得ず」はその中でも知名度が高くメジャーなことわざと言えるでしょう。

「欲の熊鷹股を裂く」と同じ意味で使うことができるので文脈や気分に応じて使い分けるといいでしょう。

\次のページで「その2「虻蜂取らず」」を解説!/

その2「虻蜂取らず」

「虻蜂取らず」(あぶはちとらず)二つのものを得ようとして結局どちらも中途半端に終わり何も得られないことを意味することわざです。もともとは「虻も取らず蜂も取らず」と言っていましたが、意味は変わりません。このことわざも「欲の熊鷹股を裂く」や「二兎追うものは一兎をも得ず」と同義なので、状況に応じて使いたいことわざを使っていきまよう。

その3「大欲は無欲に似たり」

「大欲は無欲に似たり」(たいよくはむよくににたり)欲の深い者は欲のために目がくらんで損を招きやすく結局無欲と同じ結果になることを意味することわざです。このことわざも「二兎追うものは一兎をも得ず」「虻蜂取らず」と同じように用いることができます。

「大欲は無欲に似たり」は、大望を抱くものは小さな利益などを顧みないから一見無欲のように見えるという意味も持っているため合わせて覚えておきましょう。

「欲の熊鷹股を裂く」の対義語は?

次に「欲の熊鷹股を裂く」の対義語について見ていきましょう。

その1「一石二鳥」

「一石二鳥」(いっせきにちょう)石を一つ投げて二羽の鳥を得ることから、一つの行為から二つの利益を得ることを意味する四字熟語です。誰もが聞いたことがある言葉なので意味は理解しやすいでしょう。二つを欲張って一つを逃す「欲の熊鷹股を裂く」に対して、一つのことで二つを得ることを意味するので対義語としてふさわしいと言えます。

その2「一挙両得」

「一挙両得」(いっきょりょうとく)一つのことをすることによって二つの利益を収めることを意味する四字熟語です。漢字からも意味をイメージしやすいですよね。「一挙両得」は「一石二鳥」と同義のため「欲の熊鷹股を裂く」の対義語としてふさわしいです。

「欲の熊鷹股を裂く」の英訳は?

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最後に「欲の熊鷹股を裂く」を英語でどのように表現するのか見ていきましょう。

\次のページで「「avarice brings doom upon oneself」」を解説!/

「avarice brings doom upon oneself」

avariceは「貪欲」、doomは「破滅」を意味する英単語で、全体を訳すと「貪欲は自らを破滅に導く」となり「欲の熊鷹股を裂く」の意味にぴったり合致します。英語訳のほうが過激な感じになりますね。「欲の熊鷹股を裂く」の類義語の英訳としてもふさわしいのでぜひ覚えておいてください。

「欲の熊鷹股を裂く」を使いこなそう

この記事では「欲の熊鷹股を裂く」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しておきましょう。「欲の熊鷹股を裂く」はあまりに欲が深いと災いを招くことをたとえたことわざです。類義語では「二兎追うものは一兎をも得ず」「虻蜂取らず」「大欲は無欲に似たり」を紹介しました。

実際に物事がうまくいっているとどんどん欲が出てきてしまうものですよね。私自身ゲームで自己ベストを出してもさらに上を目指したくなってしまい結局うまくいかなかったことが何度もあります。スポーツや勉学、仕事において貪欲さは必要な部分もありますが、日常生活での欲はしっかりとコントロールする必要がありそうですね。いかに欲を出さずに続けるかで今後が決まってくるものだと思います。

私自身も戒めとして「欲の熊鷹股を裂く」ということわざをしっかりと頭に叩き込んでおきたいものです。この記事がみなさんの参考になれば幸いに思います。

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国語言葉の意味

【ことわざ】「欲の熊鷹股を裂く」の意味や使い方は?例文や類語を漢検準一級ライターがわかりやすく解説!

この記事では「欲の熊鷹股を裂く」について解説する。

端的に言えば欲の熊鷹股を裂くの意味は「あまり欲が深いと災いを招く」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

漢検準一級を保有しており言葉に詳しいたきじを呼んです。一緒に「欲の熊鷹股を裂く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/たきじ

国立大学卒、漢検準一級保有のライター。高校時代の得意科目は国語と英語。漢字の意味やことわざ、熟語が好きで、新しい言葉を覚えるのが得意。

「欲の熊鷹股を裂く」の意味や語源・使い方まとめ

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「欲の熊鷹股を裂く」ということわざをご存知でしょうか。一般的には使われない単語も含まれているためご存知の方は少ないかもしれません。一体どのような意味を持っているのでしょうか。

それでは早速「欲の熊鷹股を裂く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「欲の熊鷹股を裂く」の意味は?

「欲の熊鷹股を裂く」には、次のような意味があります。

1.あまり欲が深いと災いを招くというたとえ。


出典:デジタル大辞泉(小学館)「欲の熊鷹股を裂く」

「欲の熊鷹股を裂く」の読み方は「よくのくまたかまたをさく」です。クマタカが同時に2匹のイノシシにつかみかかったが、イノシシはそれぞれ反対の方向に逃げ出したためクマタカの股が避けてしまったことから、あまり欲が深いとこういった災いを招くという意味で使われます。

日常でも欲が深いと失敗してしまうということはなんとなくイメージしやすいですよね。のちに類義語もいくつか紹介するので合わせて参考にしてみてください。

「欲の熊鷹股を裂く」の語源は?

次に「欲の熊鷹股を裂く」の語源を確認しておきましょう。

「欲の熊鷹股を裂く」は先述の通り、クマタカが2匹のイノシシを捕食しようとつかみかかったところイノシシがそれぞれ左右に逃げたため股が裂けてしまったという昔話に由来します。クマタカは日本では北海道から九州までの森林に生息している猛禽類で、全長は約70から80cmの大きな鳥です。

森林生態系の頂点に君臨するため別名「森の王者」とも呼ばれるほど強い動物ですが、そのような強者であっても欲が深すぎると災いを招いてしまうという戒めの言葉として使うことができます。

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