この記事では「肩肘張る」について解説する。

端的に言えば肩肘張るの意味は「気負う」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「肩肘張る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「肩肘張る」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「肩肘張る」の意味や語源・使い方を一覧でご紹介していきます。またその他「肩肘張る」は分類としては日本語の慣用句であるという点も抑えておきましょう。

「肩肘張る」の意味は?

「肩肘張る」というキーワードを辞典・辞書・事典、ネット上の無料データベースサービス「コトバンク」で用語検索してみると、次のような内容の記載があります。こちらの引用をまず確認していきましょう。

1.《無理に肩ひじを高くして身構えるところから》気負う。いばる。「―・った態度」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「肩肘張る」

「肩肘張る」は気負ってしまっている様子、または威張った態度を意味する慣用句です。肩肘張るは、なにかを成し遂げようと意気込むばかりに、気持ちがはやってしまっている、そうした気持ちが入りすぎている人の様子を指して使われることの多い言葉となっています。

こちらの言葉は、意気込みすぎた人の様子を表すほかに、人に対して威張った態度をとる様子を指しても使われる点に注意しましょう。こちらは他人を貶すニュアンスで使われることが多く、ネガティブな言葉となっています。どちらの意味で使われているかは、使用された状況から判断していきましょう。

「肩肘張る」の語源は?

image by iStockphoto

次に「肩肘張る」の語源を確認しておきましょう。「肩肘張る」はもともと字面のとおりに、気持ちを昂らせ、肩をそびやかし、肘を張り、いかめしい態度をとる様子を指して使われていました。こうした点から見ると、威張った態度をとるという意味の方が、より古くから使われていたことが分かります。

またこの体を緊張させ身構えた様子から、気負った、リラックスしていない姿を指しても使われるようになっていきました。「肩肘張る」は現在、この2種類の意味を併せ持った慣用句となっています。語源から深く意味を捉え直し、「肩肘張る」の意味を印象づけていきましょう。

\次のページで「「肩肘張る」の使い方・例文」を解説!/

「肩肘張る」の使い方・例文

「肩肘張る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.肩肘張った様子の部下に、落ち着けと背を軽く叩く。
2.あの上司はいつでも肩肘張っていて、どうにも好かない。
3.肩肘張った生き方は息苦しい。

「肩肘張る」は例文のように、緊張し気負ってしまっている様子・人が威張っている様子を表して使われています。緊張し体も頭も固くなってしまっている部下の様子、威張った態度をとる上司の様子。「肩肘張る」はこうした場面で使われることの多い言葉となっています。

また肩肘張るは「肩肘張らない」など、否定形のかたちで使われることも多いですね。「肩肘張らない」は主に気負っていない・緊張していない・背伸びしていないありのままの様子を指して使われています。こちらも「肩肘張る」とあわせて覚えておきましょう。

「肩肘張る」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

続いて「肩肘張る」の類義語・違いについて確認していきましょう。「肩肘張る」の類義語をいくつかピックアップしました。関連するよく似た表現との違いを確認することで、「肩肘張る」という言葉の機能をより深く理解することができます。

その1「気負う(きおう)」

「気負う」は自分こそと意気込む・気持ちがはやり、勇み立つ様子を表す言葉です。こちらは「肩肘張る」と同じように、気持ちが入りすぎ緊張している様子を表した単語となっています。「気負う」には威張るという意味はない点・体に力が入るというニュアンスはない点に注意していきましょう。

\次のページで「その2「勇む(いさむ)」」を解説!/

その2「勇む(いさむ)」

「勇む」は心が勢いづく、張り切る様子を表した言葉です。「肩肘張る」と同様に、なにかを成し遂げようとして体に力を入れている様子を表すことができる類義語となっています。こちらは緊張しているニュアンスはない点や、威張る意味はない点など、使用するシーンに違いがあるため注意しましょう。

その3「意気込む(いきごむ)」

「意気込む」はあることをしようと、勇み、張り切る様子を表した言葉です。こちらもなにかを成し遂げようと、感情・体に力が入っている様子を表すことができる類義語となっています。なにかに対して、積極的に取り組もうとしている様子を表現することができる言葉です。

その4「肩を怒らす(かたをいからす)」

「肩を怒らす」は、肩を高く張り、威圧的な態度をとることを表す慣用句です。こちらは「肩肘張る」の意味のひとつである、威張った態度を同じように表すことができる類義語となっています。

古く1748年の浄瑠璃・仮名手本忠臣蔵には、「肩臂いからし」という言い方で登場していますね。現在は「肩肘怒らす」より、「肩を怒らす」という形を主流として使われることが多いため、注意していきましょう。

「肩肘張る」の対義語は?

つづいて「肩肘張る」の対義語についても確認していきましょう。対義語との意味の違いを確認することで、「肩肘張る」の意味の輪郭をよりハッキリ浮かび上がらせることができます。

「肩肘張らない」

「肩肘張らない」は肩肘張るの否定形で、気負っていない・肩の力のぬけた・素のままの、といった意味を表す慣用句です。どれも無理をしていない、リラックスしている様子を表していますね。

「肩肘張る」と比べると、威張った態度をとらない、という意味を表すことは少ない印象があります。基本的には体を緊張させない、肩の力のぬけた様子を表現する意味で多く使われている慣用句です。

\次のページで「「肩肘張る」を使いこなそう」を解説!/

「肩肘張る」を使いこなそう

この記事では「肩肘張る」の意味・使い方・類語などを説明しました。「肩肘張る」は気負ってしまっている様子・人に威張った態度をとっている様子を表す慣用句です。

主な意味が「気負っている」・「威張っている」と2種類あるため、実際に見聞きした際は、どちらの意味で使われているか注意していきましょう。

また類義語には「気負う」、「勇む」、「意気込む」、「肩を怒らす」などがありました。それぞれ少しづつニュアンスが違うため、細かい意味や使われる場面を確認しつつ、使い分けていきましょう。今回の記事が皆さんの参考になっていれば幸いです。

" /> 【慣用句】「肩肘張る」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「肩肘張る」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「肩肘張る」について解説する。

端的に言えば肩肘張るの意味は「気負う」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「肩肘張る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「肩肘張る」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「肩肘張る」の意味や語源・使い方を一覧でご紹介していきます。またその他「肩肘張る」は分類としては日本語の慣用句であるという点も抑えておきましょう。

「肩肘張る」の意味は?

「肩肘張る」というキーワードを辞典・辞書・事典、ネット上の無料データベースサービス「コトバンク」で用語検索してみると、次のような内容の記載があります。こちらの引用をまず確認していきましょう。

1.《無理に肩ひじを高くして身構えるところから》気負う。いばる。「―・った態度」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「肩肘張る」

「肩肘張る」は気負ってしまっている様子、または威張った態度を意味する慣用句です。肩肘張るは、なにかを成し遂げようと意気込むばかりに、気持ちがはやってしまっている、そうした気持ちが入りすぎている人の様子を指して使われることの多い言葉となっています。

こちらの言葉は、意気込みすぎた人の様子を表すほかに、人に対して威張った態度をとる様子を指しても使われる点に注意しましょう。こちらは他人を貶すニュアンスで使われることが多く、ネガティブな言葉となっています。どちらの意味で使われているかは、使用された状況から判断していきましょう。

「肩肘張る」の語源は?

image by iStockphoto

次に「肩肘張る」の語源を確認しておきましょう。「肩肘張る」はもともと字面のとおりに、気持ちを昂らせ、肩をそびやかし、肘を張り、いかめしい態度をとる様子を指して使われていました。こうした点から見ると、威張った態度をとるという意味の方が、より古くから使われていたことが分かります。

またこの体を緊張させ身構えた様子から、気負った、リラックスしていない姿を指しても使われるようになっていきました。「肩肘張る」は現在、この2種類の意味を併せ持った慣用句となっています。語源から深く意味を捉え直し、「肩肘張る」の意味を印象づけていきましょう。

\次のページで「「肩肘張る」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: