端的に言えば「踵を回らすべからず」の意味は「時間がない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
元予備校校舎長で教育系ライターのみゆなを呼んです。一緒に「踵を回らすべからず」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/みゆな
元大手予備校校舎長、現在は教育系のライター。国語、特に現代文の指導経験が豊富。難解な言葉や表現を中高生がスラスラ理解できるように解説するのが大得意。
「踵を回らすべからず」の意味や語源・使い方まとめ
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「踵」の読み方は「かかと」、足の裏・背中側の部分のことですね。ただしこの慣用句では「くびす」と読んでいます。さて「踵を回らすべからず」とは、どういう意味でしょうか?踵を回してはいけない、という状況であることは分かりますが、どんなシチュエーションで使われる言葉なのでしょう。
今回は「踵を回らすべからず」の意味や由来・使い方を見ていきます。正しい用例を知り、ぜひ使いこなしてみてくださいね。
「踵を回らすべからず」の意味は?
「踵を回らすべからず」には、次のような意味があります。
かかとを回らすほどの時間もない意で、わずかな時間に急速に事をはこぶたとえに用いる。くびす返らず。
出典:精選版 日本国語大辞典「踵を回らすべからず」
「踵を回らすべからず」とは、わずかな時間に急にことが進む、すぐにある事態になってしまう、まったく時間がないという意味で使われる慣用句です。「踵を回す」様子を想像してみてください。ほんの一瞬で済むことですよね。しかし、その一瞬すらもないというたとえで、急に事が進むことを表現しています。
「踵を回らすべからず」の由来は?
「踵を回らすべからず」の由来は、はっきりとはわかっていません。「踵を回らすべからず」の元になっていると思われる「踵を回す」という言い回しは、中国の歴史書『史記』の「呉起伝」に登場します。どんな部分か、ちょっと見てみましょう。
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