端的に言えば道を付けるの意味は「糸口をつくること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
現役のオンライン塾講師でライターのななを呼んです。一緒に「道を付ける」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/なな
現役のオンライン塾講師であり、現在はライターとしても活動している。作文の添削をする際にひたすら辞書を引いた経験から、正しい日本語について常に考えるようになった。日本語の奥深さを伝えたいという熱い思いをもっている。
「道を付ける」の意味は?
「道を付ける」には、次のような意味があります。
1.通行できる道をこしらえる。「林の中にー・ける」
2.ある方面に進む糸口をつくる。「国交回復のー・ける」
出典:デジタル大辞泉(小学館)「道を付ける」
「道を付ける」には、「道路をつくる」そして「あとの人のために糸口をつくる」という2つの意味があります。後進のために、ある分野の成功や発展、解決のきっかけをつくることを、道をつくることになぞらえているのが2つめの意味ですね。
「道を付ける」の使い方・例文
「道を付ける」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.裏山に道を付けたことで、地域住民の交通の便が格段によくなった。
2.彼は生前、ある病気の治療方法の研究に道を付けた人物だ。
3.国交が途絶えていた国との関係回復に道を付けた政治家として、彼の名前は知られている。
1の例文は、「道路をつくる」という意味で「道を付ける」を使用した例です。裏山に道路を整備したことで、交通の不便さが解消されたという内容ですね。
2は、病気の治療法の研究について、発展の糸口となるような貢献をした人物だという文章です。
最後は、外国との関係改善のきっかけをつくった政治家という意味で、「道を付ける」を使用しています。
「道を付ける」の類義語は?違いは?
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次に、「道を付ける」の類義語を確認していきます。ここでは、「あとに続く人のために糸口をつくること」という意味での「道を付ける」の類語を見ていきましょう。
その1「足掛かり」
「足掛かり」は「物事を進めるきっかけとなるもの」という意味を表し、「道を付ける」の類語として考えられるでしょう。「その政治家の働きかけが、両国の関係改善の足掛かりとなった」などと使います。
似たような言葉に「手掛かり」がありますが、こちらは「捜査や問題解決のためのきっかけ」という意味です。
その2「草分け」
「草分け」は「ある物事に最初に取り組んだ人」という意味で使われる言葉です。「道を付ける」の「あとの人が進むべき方向の糸口をつくる」とは、ややニュアンスが異なっていますね。「彼女は、この研究分野の草分けの一人だ」などと使えるでしょう。
その3「先駆け」
「他より先に物事をすること」を「先駆け」といい、そのような人を「先駆者」と呼びます。読み方は、それぞれ「さきがけ」、「せんくしゃ」です。「先駆け」は、動詞にすると「先駆ける」となり、「あの会社は、他社に先駆けてインターネットを使ったサービスを始めた」などと使えます。
その4「先鞭」
「先(さき)」の「鞭(むち)」と書いて「先鞭(せんべん)」という言葉があります。辞典で意味を確認してみましょう。
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