この記事では「餓鬼も人数」について解説する。

端的に言えば餓鬼も人数の意味は「つまらない者でもいれば多少の効果があること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

漢検準一級を保有しており言葉に詳しいたきじを呼んです。一緒に「餓鬼も人数」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/たきじ

国立大学卒、漢検準一級保有のライター。高校時代の得意科目は国語と英語。漢字の意味やことわざ、熟語が好きで、新しい言葉を覚えるのが得意。

「餓鬼も人数」の意味や語源・使い方まとめ

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「餓鬼も人数」という慣用句をご存知でしょうか。なかなかにインパクトの強い言葉ですよね。子どもを表す「餓鬼」とう単語は現在でもよく使われますが、慣用句全体ではどんな意味になるのでしょうか。それでは早速「餓鬼も人数」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「餓鬼も人数」の意味は?

「餓鬼も人数」には、次のような意味があります。

1.つまらない者でも、いれば、多少の効果があることのたとえ。
2.取るに足りない者も多く集まれば、あなどりがたいことのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「餓鬼も人数」

「餓鬼も人数」の読み方は、「がきもにんじゅ」です。「餓鬼」とは子どもを罵っていう言葉として知られていますが、そこから転じて広く弱い者を表しています。1のように、つまらない弱い者でもいないよりはいたほうが効果があるという意味や、弱い者でも多く集まればあなどれない力を発揮するという意味で使われる慣用句です。

「人数」は「にんじゅ」以外にも「にんず」「にんずう」と読む場合もあるので覚えておきましょう。ないよりはあったほうがましという状況は日常でもよくあることなので、なんとなくイメージしやすいのではないでしょうか。

「餓鬼も人数」の語源は?

次に「餓鬼も人数」の語源を確認しておきましょう。

「餓鬼」という言葉は元々仏教語で、生前の悪行の報いで餓鬼道に堕ちた亡者のことを表しています。「餓」という字は「飢え」、「鬼」という字は「死者」を意味しており「餓鬼」とは飢えに苦しむ亡者を表すようになりました。現在では子どものことをよく「餓鬼」と言いますが、これは飢えにより食べ物をむさぼるようすからきています。

このように「餓鬼」とは子どもを罵るときに使う言葉のため、あまりポジティブな意味はありません。感覚的にわかっているかと思いますが、日常生活ではあまり使わないのがベターです。

\次のページで「「餓鬼も人数」の使い方・例文」を解説!/

「餓鬼も人数」の使い方・例文

「餓鬼も人数」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.戦場においては、餓鬼も人数というように老人も子どもも関係なく人員を確保するべきだ。

2.明日は孫の大事な試合があるが、餓鬼も人数なので少しでも人がいたほうが頑張れるだろう。

3.地元にいる文学部志望の高校生たちは運動が苦手な者が多いが、餓鬼も人数で体育祭では優秀な成績を残した。

例文のように「餓鬼も人数」はつまらない者でもいれば多少の効果があることを表現するときに用いられます。例文1、2のように人数がいればいるほどマシであるという意味合いで使ったり例文3のように多く集まればあなどれないという意味合いで使ったりできる慣用句です。

ただ「餓鬼も人数」は基本的に相手を見下したようなニュアンスが含まれているため、どちらの意味で使うときも状況をしっかり見るようにしましょう。

「餓鬼も人数」の類義語は?違いは?

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「餓鬼も人数」の類義語について見ていきましょう。

その1「枯れ木も山の賑わい」

「枯れ木も山の賑わい」(かれきもやまのにぎわい)つまらないものでも、ないよりはあったほうがましであるという意味の言葉です。枯れてしまった木でも、山に風情を出すのに役立つことからこのように使われるようになりました。

「餓鬼も人数」と同義のため同じように使うことが可能ですが、「枯れ木も山の賑わい」には弱い者が集まればあなどれないといったニュアンスは含まれていない点で少し異なります。また「枯れ木も山の賑わい」は人以外にも物に対して使いやすい言葉です。

\次のページで「その2「蟻も軍勢」」を解説!/

その2「蟻も軍勢」

「蟻も軍勢」(ありもぐんぜい)役に立たない者でもいないよりはいたほうがましという意味の言葉です。小さい蟻でもたくさん集まることで強大な力を発揮することからこのような使われ方をするようになりました。「餓鬼も人数」や「枯れ木も山の賑わい」と同じ意味のためどれを使っても良いでしょう。

「蟻も軍勢」は「餓鬼も人数」のように取るに足りない者でも集まればあなどれないというニュアンスを含んでいる点にも注目です。文脈に応じてそれぞれ使い分けてみてください。

「餓鬼も人数」の対義語は?

次に「餓鬼も人数」の対義語について見ていきましょう。

その1「無用の長物」

「無用の長物」(むようのちょうぶつ)あってもかえって邪魔になるくらいで役に立たないものを表す言葉です。たまに見聞きすることもある言葉ではないでしょうか。「餓鬼も人数」はどんなに役に立たない者でもあるだけましという意味合いだったのに対し、「無用の長物」はあるとかえって邪魔になることを表しているため対義語としてふさわしいと言えます。

その2「金食い虫」

「金食い虫」(かねくいむし)費用ばかりかかって利益を上げないことを罵っていう言葉です。お金ばかりかけてなんの見返りもなければ役に立たないと思われてしまいますよね。「無用の長物」とは少しニュアンスが違った言葉ですが、利益を上げず役に立たないことを表しているためこちらも対義語と言えるでしょう。

「餓鬼も人数」の英訳は?

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最後に「餓鬼も人数」を英語でどのように表現するのか見ていきましょう。

「better than nothing」

「餓鬼も人数」は日本語的な言い回しのためぴったりと当てはまる英訳はありませんが、英語で表現することは可能です。better thanは比較級表現で、nothingは何もないという意味の単語なのでそのまま「ないよりはましだ」という意味になります。

この文章の前後にさまざまな言葉をいれることでより近いニュアンスで表現できるようになるでしょう。

\次のページで「「餓鬼も人数」を使いこなそう」を解説!/

「餓鬼も人数」を使いこなそう

この記事では「餓鬼も人数」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しておきましょう。「餓鬼も人数」とはつまらない者でもいれば多少の効果があることや、取るに足りない者でも集まればあなどれないことをたとえた慣用句です。類義語では「枯れ木も山の賑わい」「蟻も軍勢」を紹介しました。

普段の生活でもないよりはあったほうがましだろうと感じることはたくさんありますよね。私自身物をなかなか捨てられない性格で、使わなくなった物でもあったほうがいいだろうと考えて部屋が片付かないことが多いです。確かにいつかは使えるタイミングが来るかもしれませんが、現状使っていないのであれば思い切って捨ててしまうほうがいいですよね。

「餓鬼も人数」はとらえようによってはいい言葉ですが、基本的にはネガティブな意味合いなので使いどころには十分注意しましょう。この記事がみなさんの参考になれば幸いです。

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【慣用句】「餓鬼も人数」の意味や使い方は?例文や類語を漢検準一級ライターがわかりやすく解説!

この記事では「餓鬼も人数」について解説する。

端的に言えば餓鬼も人数の意味は「つまらない者でもいれば多少の効果があること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

漢検準一級を保有しており言葉に詳しいたきじを呼んです。一緒に「餓鬼も人数」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/たきじ

国立大学卒、漢検準一級保有のライター。高校時代の得意科目は国語と英語。漢字の意味やことわざ、熟語が好きで、新しい言葉を覚えるのが得意。

「餓鬼も人数」の意味や語源・使い方まとめ

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「餓鬼も人数」という慣用句をご存知でしょうか。なかなかにインパクトの強い言葉ですよね。子どもを表す「餓鬼」とう単語は現在でもよく使われますが、慣用句全体ではどんな意味になるのでしょうか。それでは早速「餓鬼も人数」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「餓鬼も人数」の意味は?

「餓鬼も人数」には、次のような意味があります。

1.つまらない者でも、いれば、多少の効果があることのたとえ。
2.取るに足りない者も多く集まれば、あなどりがたいことのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「餓鬼も人数」

「餓鬼も人数」の読み方は、「がきもにんじゅ」です。「餓鬼」とは子どもを罵っていう言葉として知られていますが、そこから転じて広く弱い者を表しています。1のように、つまらない弱い者でもいないよりはいたほうが効果があるという意味や、弱い者でも多く集まればあなどれない力を発揮するという意味で使われる慣用句です。

「人数」は「にんじゅ」以外にも「にんず」「にんずう」と読む場合もあるので覚えておきましょう。ないよりはあったほうがましという状況は日常でもよくあることなので、なんとなくイメージしやすいのではないでしょうか。

「餓鬼も人数」の語源は?

次に「餓鬼も人数」の語源を確認しておきましょう。

「餓鬼」という言葉は元々仏教語で、生前の悪行の報いで餓鬼道に堕ちた亡者のことを表しています。「餓」という字は「飢え」、「鬼」という字は「死者」を意味しており「餓鬼」とは飢えに苦しむ亡者を表すようになりました。現在では子どものことをよく「餓鬼」と言いますが、これは飢えにより食べ物をむさぼるようすからきています。

このように「餓鬼」とは子どもを罵るときに使う言葉のため、あまりポジティブな意味はありません。感覚的にわかっているかと思いますが、日常生活ではあまり使わないのがベターです。

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