この記事では「臆病風に吹かれる」について解説する。

端的に言えば臆病風に吹かれるの意味は「臆病な気持ちになること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

漢検準一級を保有しており言葉に詳しいたきじを呼んです。一緒に「臆病風に吹かれる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/たきじ

国立大学卒、漢検準一級保持のライター。高校時代の得意科目は国語と英語。漢字の意味やことわざ、熟語が好きで、新しい言葉を覚えるのが得意。

「臆病風に吹かれる」の意味や語源・使い方まとめ

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「臆病風に吹かれる」のという慣用句をご存知でしょうか。使用頻度は少ないにしろ、日常生活の中でも見聞きすることがある言葉だと思います。「先輩風を吹かせる」など似たような表現も多いため、なんとなくイメージしやすいですよね。またMr.Childrenの楽曲「HANABI」の中にも登場するフレーズなので知っている方も多いのではないでしょうか。

それでは早速「臆病風に吹かれる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「臆病風に吹かれる」の意味は?

「臆病風に吹かれる」には、次のような意味があります。

1.臆病な気持ちになる。
2.怖気づく、怖くなってくる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「臆病風に吹かれる」

「臆病風に吹かれる」の読み方は「おくびょうかぜにふかれる」です。慣用句の中の「風」という言葉は、名詞の後についてそのような状態になることを表すために用いられ、「吹かれる」と受身の形で表現することで「臆病な気持ちになる」ということを意味しています。

「臆病風に吹かれる」の語源は?

次に「臆病風に吹かれる」の語源を確認しておきましょう。

「臆病風に吹かれる」の「風」は、名詞の後について、そぶりやようすを表す役割を持っています。明治時代に国木田独歩によって書かれた日清戦争の従軍記録である『愛弟通信』(あいていつうしん)の中で、「臆病風」という言葉が使われました。

\次のページで「「臆病風に吹かれる」の使い方・例文」を解説!/

「臆病風に吹かれる」の使い方・例文

「臆病風に吹かれる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。いくつかご紹介していきますので、参考にしてみてください。

1.彼女は臆病風に吹かれたようすで電話をとったが、聞いたところ先月の試験に合格できていたようだ。
2.会社という組織を運営していくうえで、社長が臆病風に吹かれるようではいけない。
3.健太は今週始まったプロジェクトに対して臆病風に吹かれたようすだったが、我々は先輩として厳しくチェックしてゴーサインを出した。

「臆病風に吹かれる」は、例文1~3のように臆病な気持ちになることや怖気づくようすを表すときに使います。例文1~3はどれも「臆病な気持ち」「怖気づくようす」どちらの意味ともとれるため、文脈によって使い分けていきましょう。「臆病風に吹かれる」の前後の文を見ると最適な意味が見えてきます。

「臆病風に吹かれる」の類義語は?違いは?

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「臆病風に吹かれる」の類義語について見ていきましょう。

その1「慄然とする」

「慄然とする」(りつぜんとする)恐れなどのために震えおののくさま、ぞっとするさまを表す言葉です。あまり聞きなれない言葉であありますが、「戦慄」(せんりつ)の「慄」という字が使われているので、恐れおののくというニュアンスはイメージしやすいのではないでしょうか。

「慄然とする」は「臆病風に吹かれる」よりも恐怖を感じているようすを表現しやすい言葉です。震えおののくほど恐怖を感じるさまを表すのでかなり恐怖の度合いが高いことを表したいときに用いられます。

\次のページで「その2「血の気が引く」」を解説!/

その2「血の気が引く」

「血の気が引く」(ちのけがひく)恐怖や戦慄などで顔が青ざめたり震え上がったりすることを表す言葉です。日常でもよく耳にする言葉ではないでしょうか。「血の気が引く」は「慄然とする」と同様、強い恐怖を表現したいときに用いられる言葉です。

「血の気が引く」は「臆病風に吹かれる」や「慄然とする」とは違い、顔が青ざめるという視覚的な変化も表現することができます。顔が青ざめて冷や汗をかくような状態を表すときにぴったりの言葉です。

その3「意気地がない」

「意気地がない」(いくじがない)物事を挫けずにやり遂げようとする気力や根性が足りないことを表す言葉です。よく「意気地なし」という言い方で使われますが、対象に根性がないことを揶揄していう言葉なのでむやみやたらに使わないようにしましょう。

「臆病風に吹かれる」と同様臆病なようすを表すことができる言葉ですが、「意気地がない」は対象のもともとの性格について言及できるのに対し「臆病風に吹かれる」は一時的な状態変化を表すという点で微妙にニュアンスが異なっています。

文脈に応じて使い分けていきましょう。

「臆病風に吹かれる」の対義語は?

次に「臆病風に吹かれる」の対義語について見ていきましょう。

その1「豪胆」

「豪胆」(ごうたん)きもがすわっていること、危険や困難に臨んでも大胆に物事を処する態度を表す言葉です。「臆病風に吹かれる」は臆病な気持ちや恐怖するようすを表す言葉なので、どのような状況にも大胆に対処するという意味合いの「豪胆」が対義語としてふさわしいでしょう。

その2「勇敢」

「勇敢」(ゆうかん)勇気があり、物事をおしきってするさまを表す言葉です。「豪胆」に比べると日常会話でもよく使われる言葉ではないでしょうか。「勇敢」も「豪胆」と同じように勇気があって物事に果敢に臨むようすを表すことができるので、どちらを使っても間違いにはならないでしょう。

ただ「勇敢」の方が「豪胆」よりも知名度が高く、かっこいい印象を感じる言葉なので積極的に使うことをおすすめします。

「臆病風に吹かれる」の英訳は?

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最後に「臆病風に吹かれる」を英語でどのように表現するのか見ていきましょう。

\次のページで「「lose one's nerve」」を解説!/

「lose one's nerve」

nerveは神経や度胸という意味の単語です。loseという単語に続けることにより、「自分の神経に負ける」=「臆病な気持ちになる」と意訳することができます。なんとなくイメージしやすいのではないでしょうか。

「臆病風に吹かれる」を使いこなそう

この記事では「臆病風に吹かれる」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しておきましょう。「臆病風に吹かれる」とは臆病な気持ちになる、怖気づくという意味の慣用句です。類義語では「慄然とする」「血の気が引く」「意気地がない」を紹介しました。

学校での発表や仕事での商談、スポーツでの競り合いなど、大事な場面だと特に臆病な気持ちになってしまうことがあるものですよね。私自身昔から引っ込み思案な性格だったため今思い返すと臆病風に吹かれていた場面が多々ありました。

私は根性論はあまり好きではないですが、そういったときこそいかに踏ん張れるかが大事だと思うので、臆病風に吹かれたときはぐっと自分を鼓舞してみるのも良いのではないでしょうか。この記事がみなさんの参考になれば幸いです。

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国語言葉の意味

【慣用句】「臆病風に吹かれる」の意味や使い方は?例文や類語を漢検準一級ライターがわかりやすく解説!

この記事では「臆病風に吹かれる」について解説する。

端的に言えば臆病風に吹かれるの意味は「臆病な気持ちになること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

漢検準一級を保有しており言葉に詳しいたきじを呼んです。一緒に「臆病風に吹かれる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/たきじ

国立大学卒、漢検準一級保持のライター。高校時代の得意科目は国語と英語。漢字の意味やことわざ、熟語が好きで、新しい言葉を覚えるのが得意。

「臆病風に吹かれる」の意味や語源・使い方まとめ

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「臆病風に吹かれる」のという慣用句をご存知でしょうか。使用頻度は少ないにしろ、日常生活の中でも見聞きすることがある言葉だと思います。「先輩風を吹かせる」など似たような表現も多いため、なんとなくイメージしやすいですよね。またMr.Childrenの楽曲「HANABI」の中にも登場するフレーズなので知っている方も多いのではないでしょうか。

それでは早速「臆病風に吹かれる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「臆病風に吹かれる」の意味は?

「臆病風に吹かれる」には、次のような意味があります。

1.臆病な気持ちになる。
2.怖気づく、怖くなってくる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「臆病風に吹かれる」

「臆病風に吹かれる」の読み方は「おくびょうかぜにふかれる」です。慣用句の中の「風」という言葉は、名詞の後についてそのような状態になることを表すために用いられ、「吹かれる」と受身の形で表現することで「臆病な気持ちになる」ということを意味しています。

「臆病風に吹かれる」の語源は?

次に「臆病風に吹かれる」の語源を確認しておきましょう。

「臆病風に吹かれる」の「風」は、名詞の後について、そぶりやようすを表す役割を持っています。明治時代に国木田独歩によって書かれた日清戦争の従軍記録である『愛弟通信』(あいていつうしん)の中で、「臆病風」という言葉が使われました。

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