今日のテーマは「成層圏」です。

地球などの惑星を包み込む大気、簡単に言えば空気のことです。この大気が存在しているのが大気圏です。大気圏は高度や気温から対流圏、成層圏、中間圏、熱圏の4つの層に分けられている。そしてこの外側が宇宙となるんです。この境目になるのがカーマン・ラインで、高度100㎞より外側は宇宙空間となる。が、これは定義の仕方によって多少異なるぞ。

さて大気圏は今説明したように4層に分かれている。今回は成層圏に注目して大気圏ついて学ぶぞ。解説は仕事を通してロケットに興味を持った科学館職員のたかはしふみかです。

ライター/たかはし ふみか

高校は化学部、大学は工学部化学科のリケジョ。理科教育に関わりたくて理系に進んだため、実験ショーや実験教室を行う科学館の仕事が大好き。

成層圏とは?そもそも大気圏ってなに?

image by PIXTA / 80338697

成層圏とは何か、まず定義から学んでいきましょう。

コトバンクによると、成層圏は次のように定義されています。

大気圏の中で対流圏の上部から中間圏までの領域

この説明ではよくわかりませんね。そこでまず、大気圏について確認していきましょう。

最初に桜木先生が解説してくれていますが、大気とは惑星を包み込む空気のことです。私たちの地球の大気は窒素、酸素、アルゴンなどから構成されています。空気を構成する気体を容積比で表すと窒素が8割、酸素2割程度です。もっと正確に言うと、窒素が78%、酸素が21%そしてアルゴンや二酸化炭素などがわずかに含まれています。

image by Study-Z編集部

空気についてはこちらの記事を参考にして下さいね。

この大気が持つ役割は

・地球上の動植物を太陽の放射線から守ること

・地球表面の温度を保つこと

です。大気のおかげで地球は生物が生きやすい適度な環境に保たれているのですね。

さて、大気圏は気温の変化を基準として鉛直方向に4つの層になっています。これを「地球大気の鉛直構造」というのです。この層は地上に近いところから順に、

対流圏  地表~10㎞ 高度が上がると気温は下降

成層圏  10㎞~50㎞ 高度が上がると気温上昇

中間圏  50㎞~80㎞ 高度が上がると気温下降

 成層圏と中層大気をあわせて中層大気ともいう

熱圏   80㎞~800㎞(定義の仕方によって上限は500~1000㎞と幅がある)

     高度が上がると気温上昇

外気圏)500~1,000km

宇宙   1,000㎞~

と並んでいるのです。この大気圏よりも上空は宇宙空間となり、大気圏と宇宙空間の間に外気圏があります。大気圏の4つの層。この層にはそれぞれに役割や特徴があります。今度はこの層に注目してみましょう。

大気圏の区分

大気圏の区分

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\次のページで「1.対流圏」を解説!/

1.対流圏

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地表から10㎞程度までの大気圏のことを対流圏と言います。地表に最も近い対流圏、私たちが暮らし、雲が発生したり雨が降ったりと気象現象起きているのがこのエリアです。ちなみに世界一高いエベレストの標高が約8,850m、約8.85㎞。エベレストの少し上までが対流圏となるのですね。対流圏の厚さは一定ではありません。赤道付近では厚く、北極や南極のあたりでは薄くなっているのです。

対流圏では高度が高くなるほど気温が低下していきます。100m高度が上がると気温は0.65度ほど下がるのです。ちなみに、飛行機が飛んでいるのもこの対流圏になります。

2.成層圏

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地上から2番目の位置にある成層圏の範囲は地表10~50㎞ほど。ここでは高度が上がるほど温度が高くなります。温度が高くなる、と言っても成層圏の下部が-70℃と低く中間圏のあたりでも0℃ほどです。

なぜ成層圏で高度とともに温度が上昇するのでしょうか。ポイントはオゾン層にあります。オゾン、O3は酸素原子3つからできた酸素の同素体(同じ単一の元素からできた、別の物質)です。このオゾン層には太陽からの紫外線を吸収する役割があります。そして吸収するときに熱が発生するため、上層の方が温かいのです。

紫外線と言えば、日焼け止めを思い浮かべる人も多いでしょう。人の体は日光、紫外線を浴びることで骨を丈夫にするビタミンD3を作っています。しかしその一方で紫外線は、皮膚がんや白内障など体への悪影響をもたらす恐れもあるのです。

紫外線についてはこちらの記事を参考にして下さいね。

またオゾン層についてはこちらをどうぞ。

3.中間圏

中間圏は地表50㎞~80㎞ほどの領域のことです。地表からこのたたいまでは大気の組成はほとんど変わりません。

中間圏では高度に比例して気温が低くなります。上限では-90℃よりも低くなるのです。

4.熱圏

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熱圏は80㎞~800㎞と幅が広く、地球と宇宙の境目となるカーマン・ラインはここに位置します。

先程ちらっと出てきたカーマン・ラインとは国際航空連盟 (FAI) が定めた仮想の境界線です。ただし、このラインは条件として変わらないことから100㎞から80㎞に見直される可能性があります。

大気の構造についてもっと知りたい人はこちらも読んで下さいね。

\次のページで「宇宙はどこから?大気圏の各層で起きることとは」を解説!/

宇宙はどこから?大気圏の各層で起きることとは

大気圏の4つの層、対流圏、成層圏、中間圏、熱圏について確認しましたね。最後に、上空何㎞でどんなことが起きているのかご紹介します。

オーロラが見えるのは何層?

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ところで、幻想的な気象現象のひとつ、オーロラはどこで発生するのでしょうか。オーロラが発生するのは中間圏や熱圏のあたりで、あわせて電離層と言います。

オーロラは北極や南極など高緯度の地域でしか観測することができません。そんなオーロラについてはこちらの記事を参考にして下さいね。

スペースシャトルが飛ぶところ

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宇宙へ飛んで行ったスペースシャトルや、宇宙ステーションがあるのはどのあたりでしょう。これらがあるのははるか上空の宇宙で上空400㎞程の位置です。国際宇宙ステーション、ISSは秒速約7.7km、なんと時速約27,700kmで地球の周りを回っています。これは、地球を約90分で1周、24時間で約16周するスピードです。

ISSには日本で初めての有人宇宙実験施設「きぼう」があります。きぼうでは無重力という宇宙ならではの環境を生かした医学や生物学、物理の研究が行われているのです。

成層圏の役割

地球を取り巻く大気。大気のおかげで地球上で生命が快適な温度と環境で暮らすことができています。

成層圏は大気圏の一種で、地上からみて2番目の層です。地表からの高度は10㎞~50㎞で、この領域では高度が上がると気温上昇します。成層圏の中にはオゾンが多い場所があり、これがオゾン層です。オゾン層は有害な紫外線を吸収するという大切な役割を持っています。

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地学地球宇宙理科

「成層圏」は大気圏の一種?どこからが宇宙?地球を包む大気の謎を科学館職員がわかりやすく解説!

今日のテーマは「成層圏」です。

地球などの惑星を包み込む大気、簡単に言えば空気のことです。この大気が存在しているのが大気圏です。大気圏は高度や気温から対流圏、成層圏、中間圏、熱圏の4つの層に分けられている。そしてこの外側が宇宙となるんです。この境目になるのがカーマン・ラインで、高度100㎞より外側は宇宙空間となる。が、これは定義の仕方によって多少異なるぞ。

さて大気圏は今説明したように4層に分かれている。今回は成層圏に注目して大気圏ついて学ぶぞ。解説は仕事を通してロケットに興味を持った科学館職員のたかはしふみかです。

ライター/たかはし ふみか

高校は化学部、大学は工学部化学科のリケジョ。理科教育に関わりたくて理系に進んだため、実験ショーや実験教室を行う科学館の仕事が大好き。

成層圏とは?そもそも大気圏ってなに?

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成層圏とは何か、まず定義から学んでいきましょう。

コトバンクによると、成層圏は次のように定義されています。

大気圏の中で対流圏の上部から中間圏までの領域

この説明ではよくわかりませんね。そこでまず、大気圏について確認していきましょう。

最初に桜木先生が解説してくれていますが、大気とは惑星を包み込む空気のことです。私たちの地球の大気は窒素、酸素、アルゴンなどから構成されています。空気を構成する気体を容積比で表すと窒素が8割、酸素2割程度です。もっと正確に言うと、窒素が78%、酸素が21%そしてアルゴンや二酸化炭素などがわずかに含まれています。

image by Study-Z編集部

空気についてはこちらの記事を参考にして下さいね。

この大気が持つ役割は

・地球上の動植物を太陽の放射線から守ること

・地球表面の温度を保つこと

です。大気のおかげで地球は生物が生きやすい適度な環境に保たれているのですね。

さて、大気圏は気温の変化を基準として鉛直方向に4つの層になっています。これを「地球大気の鉛直構造」というのです。この層は地上に近いところから順に、

対流圏  地表~10㎞ 高度が上がると気温は下降

成層圏  10㎞~50㎞ 高度が上がると気温上昇

中間圏  50㎞~80㎞ 高度が上がると気温下降

 成層圏と中層大気をあわせて中層大気ともいう

熱圏   80㎞~800㎞(定義の仕方によって上限は500~1000㎞と幅がある)

     高度が上がると気温上昇

外気圏)500~1,000km

宇宙   1,000㎞~

と並んでいるのです。この大気圏よりも上空は宇宙空間となり、大気圏と宇宙空間の間に外気圏があります。大気圏の4つの層。この層にはそれぞれに役割や特徴があります。今度はこの層に注目してみましょう。

大気圏の区分

大気圏の区分

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