この記事では「牡丹に唐獅子」について解説する。

端的に言えば、牡丹に唐獅子の意味は「良い組み合わせ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元新聞記者で、ライター歴20年のトラコを呼んです。一緒に「牡丹に唐獅子」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トラコ

全国紙の記者を7年。その後、雑誌や書籍、Webでフリーの記者などとして活動中。文字の正確さ、使い方に対するこだわりは強い。

「牡丹に唐獅子」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速、「牡丹に唐獅子」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「牡丹に唐獅子」の意味は?

「牡丹に唐獅子」は、慣用句・ことわざです。次のような意味があります。

牡丹に獅子を配した図柄。また、取り合わせのよいもののたとえ。獅子に牡丹。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「牡丹(ぼたん)に唐獅子(からじし)」

「牡丹に唐獅子」は、ぼたんにからじし、と読みます。「唐獅子牡丹」との言葉のほうが、馴染みがあるかもしれません。

意味は、牡丹に獅子を配した図柄のこと。これが転じて、取り合わせのよいもののたとえで使われます。昔から、唐獅子と牡丹は、絵画や陶器などで一緒に描かれてきました。

ちなみに、「唐獅子牡丹」は、日本映画「昭和残侠伝」シリーズの主題歌で、高倉健さんが劇中で歌ったことで有名。印象的な歌詞と、高倉さんの決め台詞「死んでもらいます」が当時、流行語となりました。

「牡丹に唐獅子」の語源は?

次に、「牡丹に唐獅子」の語源、言葉の由来を確認しておきましょう。

「牡丹」は、「百花の王」と呼ばれる花で、5月の連休前後に咲きます。この牡丹の原産国は中国。牡丹といえば楊貴妃、とたとえられるほどの華やかさがあります。

一方、「唐獅子」とは、中国の虎という意味。西洋のライオンからアジアに伝来するにつれて違う進化をした動物の獅子(しし)で、これも「百獣の王」とも呼ばれます。インドライオンがモチーフ。

なぜ、「牡丹」「唐獅子」が一緒なのかというと、諸説があり、唐獅子が害虫から逃れるため、その害虫が寄り付かない牡丹の花の下で休む、つまり安住の地や心が安らぐ拠り所である、との逸話が有力です。

\次のページで「「牡丹に唐獅子」の使い方・例文」を解説!/

「牡丹に唐獅子」の使い方・例文

「牡丹に唐獅子」の使い方を、例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.今年のお盆は、京都の南禅寺に、江戸時代初期の伝説的彫刻家が手掛けた図柄「牡丹に唐獅子、竹に虎」を見に行った。
2.「牡丹に唐獅子」は、歴史的にも最強の組み合わせであり、最近でも魔除けとして人気があると聞いた。
3.お正月、お寺や神社で「牡丹に唐獅子」の話をよく聞かされる。

それでは、それぞれの例文について、解説していきます。

例文1は、京都の有名な社寺の1つである南禅寺にある「牡丹に唐獅子、竹に虎」について紹介する文章。例文2は、「牡丹に唐獅子」が、最強の組み合わせとの意味合いや解釈で使われています。

例文3も、「牡丹に唐獅子」が、仏教において切っては切れない関係であることがうかがえる文章です。

「牡丹に唐獅子」の類義語は?違いは?

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次に、「牡丹に唐獅子」の類義語(類語)を見ていきましょう。

「牡丹に唐獅子」の類義語は、「竹に虎」です。先に紹介した通り、「牡丹に唐獅子、竹に虎」とセットで言われることも多くあります。

その他、「梅に鶯」「紅葉に鹿」「柳に燕」「猿に絵馬」「竹に雀」「波に千鳥」「牡丹に蝶」「松に鶴」なども。

その1「竹に虎」

「竹に虎」も、「牡丹に唐獅子」と同じ意味で、つまり、絵になる取り合わせがよいもののたとえです。

幕末から明治初期にかけて流行した「しりとり唄」で、その歌の冒頭から「牡丹に唐獅子、竹に虎、虎をふんまえ、和藤内」のフレーズが出てきます。

ちなみに、和藤内(わとうない)は、江戸時代の人形浄瑠璃「国性爺合戦」(こくせんやかっせん)の主人公で、人食い虎を怪力でねじ伏せて従わせた人物です。

\次のページで「その2「梅に鶯」」を解説!/

その2「梅に鶯」

「梅に鶯、紅葉に鹿」も、「牡丹に唐獅子、竹に虎」と似た意味を持つ慣用句・ことわざです。

意味は、梅に鶯という取り合わせがよい2つのもの、よく似合って調和する2つのもののたとえであり、つまり、仲が良い間柄のたとえで用いられます。語源は、花が咲く梅の枝に鶯が止まる光景が様になっていることから。

そのあとに続く「紅葉に鹿」も、同様です。例えば、「まるで梅に鶯、紅葉に鹿のような取り合わせ」といった使い方をします。

その3「柳に燕」

「柳に燕」は、やなぎにつばめ、と読みます。これも「牡丹に唐獅子」と同じで、絵になる取り合わせの1つ、との意味。

花札で、「柳に燕」は11月の札であり、取り札で10点になります。11月の札としてその他、「柳に小野道風」「柳のカス」「柳に短冊」など。

ちなみに、対義語は「雷に千鳥」です。

「牡丹に唐獅子」の対義語は?

続いて、「牡丹に唐獅子」の対義語(反対語)について。

「牡丹に唐獅子」は、はっきりとした対義語はこれだと断言できる言葉はありません。

ただ意味が、取り合わせのよいもののたとえ、なので、これと逆の意味を考えてみると、その1つが「アンバランス」でしょう。そして、アンバランスの類義語としては、不揃い、支離滅裂、ちぐはぐ、つじつまが合わない、不統一、などがあります。

「牡丹に唐獅子」の英訳は?

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さらに「牡丹に唐獅子」の英訳も、確認しておきましょう。

この「牡丹に唐獅子」を、日本語から英語にそのまま翻訳すると、lion and peony です。

「lion and peony」

「牡丹に唐獅子」の英訳は、lion and peony です。唐獅子は lion または Chinese lion、牡丹は peony の意味の英単語で、「唐獅子牡丹」の場合も同様。

例文を見てみましょう。

・I went to see the design for a peony and lion combination at famous temple at Kyoto last week.

私は先週、京都の有名なお寺で、牡丹に唐獅子を配した図柄を見に行った。

\次のページで「「牡丹に唐獅子」を使いこなそう」を解説!/

「牡丹に唐獅子」を使いこなそう

この記事では「牡丹に唐獅子」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「牡丹に唐獅子」は、取り合わせがよいもののたとえとの意味で、牡丹と唐獅子が昔から絵画や陶器などの図柄で、一緒に描かれるなど採用されてきました。もともと、唐獅子にとって牡丹の花が咲く下が安住の地、心の拠り所という意味。唐獅子とは、西洋のライオンとは異なる中国由来の虎(獅子)のことです。

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【ことわざ】「牡丹に唐獅子」の意味や使い方は?例文や類語を元新聞記者がわかりやすく解説!

この記事では「牡丹に唐獅子」について解説する。

端的に言えば、牡丹に唐獅子の意味は「良い組み合わせ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元新聞記者で、ライター歴20年のトラコを呼んです。一緒に「牡丹に唐獅子」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トラコ

全国紙の記者を7年。その後、雑誌や書籍、Webでフリーの記者などとして活動中。文字の正確さ、使い方に対するこだわりは強い。

「牡丹に唐獅子」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速、「牡丹に唐獅子」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「牡丹に唐獅子」の意味は?

「牡丹に唐獅子」は、慣用句・ことわざです。次のような意味があります。

牡丹に獅子を配した図柄。また、取り合わせのよいもののたとえ。獅子に牡丹。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「牡丹(ぼたん)に唐獅子(からじし)」

「牡丹に唐獅子」は、ぼたんにからじし、と読みます。「唐獅子牡丹」との言葉のほうが、馴染みがあるかもしれません。

意味は、牡丹に獅子を配した図柄のこと。これが転じて、取り合わせのよいもののたとえで使われます。昔から、唐獅子と牡丹は、絵画や陶器などで一緒に描かれてきました。

ちなみに、「唐獅子牡丹」は、日本映画「昭和残侠伝」シリーズの主題歌で、高倉健さんが劇中で歌ったことで有名。印象的な歌詞と、高倉さんの決め台詞「死んでもらいます」が当時、流行語となりました。

「牡丹に唐獅子」の語源は?

次に、「牡丹に唐獅子」の語源、言葉の由来を確認しておきましょう。

「牡丹」は、「百花の王」と呼ばれる花で、5月の連休前後に咲きます。この牡丹の原産国は中国。牡丹といえば楊貴妃、とたとえられるほどの華やかさがあります。

一方、「唐獅子」とは、中国の虎という意味。西洋のライオンからアジアに伝来するにつれて違う進化をした動物の獅子(しし)で、これも「百獣の王」とも呼ばれます。インドライオンがモチーフ。

なぜ、「牡丹」「唐獅子」が一緒なのかというと、諸説があり、唐獅子が害虫から逃れるため、その害虫が寄り付かない牡丹の花の下で休む、つまり安住の地や心が安らぐ拠り所である、との逸話が有力です。

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