この記事では「骨を抜く」について解説する。

端的に言えば骨を抜くの意味は「性根をなくさせる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語科教員ライターのminを呼んです。一緒に「骨を抜く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/min

高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターとして活動中。

「骨を抜く」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「骨を抜く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「骨を抜く」の意味は?

「骨を抜く」には、次のような意味があります。

骨(ほね)を抜・く
性根(しょうね)をなくさせる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「骨を抜く」

ほね‐ぬき【骨抜き】
1 調理で、魚や鳥などの骨を取り除くこと。
2 意見・計画などの肝心な部分を除き去ること。
3 気骨や節操などをなくさせること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「骨抜き」

骨を抜く」は「骨抜き」という言葉と同じ語源を持った言葉です。

まず「骨抜き」は、そのまま「魚や鳥の骨を抜く」という意味があります。その他、「主要な部分を取り去ること」「人の気骨(信念)や節操を抜き去ること」という意味もあり、どれもよく使われるものですので、セットで覚えておきましょう。

骨を抜く」は「骨抜きにする」の意味と同じです。辞書の意味で「性根」という言葉が使われていますが、これは「根本的な心の持ち方」や「正気」、さらに「物事の根本のこと」を指す言葉になります。「」の部分をうまく言い換えた言葉になっているので、こちらも覚えておきましょう。

「骨を抜く」の語源は?

次に「骨を抜く」の語源を確認しておきましょう。

「骨を抜く」「骨抜き」の語源は、魚が背骨を抜かれる様子に由来しています。新鮮な魚でも背骨を抜かれると力が抜けたような状態になることから「気骨や節操を失くさせる」という意味や、「大事な部分を抜くこと」を指す表現として使われるようになりました。「骨を抜く」という言葉を覚える上では、この魚の背骨のイメージを浮かべるようにしておくと理解しやすいでしょう。

\次のページで「「骨を抜く」の使い方・例文」を解説!/

「骨を抜く」の使い方・例文

「骨を抜く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.食べる前に魚の骨を抜くと食べやすい。
2.せっかくチームで考えた企画が、上司の一存で骨を抜かれて悔しい。
3.しっかりものの彼も、彼女の前では骨を抜かれたようになる。

まず例文1は、「魚の骨を抜く」というそのままの意味で使われています。こちらはわかりやすいですね。

例文2ですが、「肝心な部分を取り除く」という意味のパターンです。ビジネスシーンでの企画や計画においても使うことができます。重要な部分を省かれてしまったり、排除されたりした場合はこの例文のように「骨を抜かれる」という表現が可能です。

最後の例文3は「気骨や節操をなくさせる」の意味で使われています。魅力的な異性に夢中になったり、メロメロになったりしている状態にこの表現を使うことができ、実際はこの意味で使用する頻度が高いです。

「骨を抜く」の類義語は?違いは?

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次に「骨を抜く」の類義語について見ていきましょう。ここでは「重要な部分を取り除く」と「気骨をなくさせる」のそれぞれの意味に対する類義語をそれぞれ解説していきます。

その1「形骸化する」

まず最初に「重要な部分を取り除く」と似た意味の言葉として「形骸化する」という言葉を紹介します。「けいがいか」と読み「当初の意義や内容が失われ、形ばかりのものになること」という意味です。「」は外部を覆う殻や魂の無くなった身を指す漢字で、中身がなくなって抜け殻のようになった状態を示します。背骨が無くなった魚や、重要な部分が失われた状態を指す「骨を抜く」と似た意味となっていることがわかりますね。

「形骸化」は評論文などでもよく使われている表現でもありますので、この機会に覚えておくと良いでしょう。

\次のページで「その2「陶酔させる」」を解説!/

その2「陶酔させる」

気骨や節操を失う」の「骨を抜く」と同じ意味の言葉として挙げられるのが「陶酔(とうすい)させる」という表現です。「陶酔」は「気持ちよく酔うこと」の他に「うっとりするほどその境地に浸ること」という意味があり、この後者の意味が「骨を抜く」と共通の意味を持っています。

ちなみにこの意味の類義語は、「陶酔させる」の他にも多く存在しているのです。特に異性の魅力で「骨を抜く」「陶酔させる」という場合には、「悩殺する」「魅了する」「メロメロにする」など、多種多様な表現ができるので面白いですね。興味がある人はぜひ調べてみてください。

「骨を抜く」の対義語は?

次に「骨を抜く」「骨抜き」の対義語について見ていきましょう。ここでは「気骨や節操をなくさせる」の意味と反対の表現について解説します。

「不撓不屈」

ふとうふくつ」と読む四字熟語です。「強い信念をもって、どんな困難に直面してもくじけないこと」を指します。「気骨や節操をなくさせる」という意味の「骨を抜く」「骨抜き」に対する反対の意味の言葉として相応しい表現だと言えるでしょう。

例えば人に励ましの言葉をかける際に「不撓不屈の精神で頑張れ」といった形で使うことが可能です。この機会に合わせて覚えておきましょう。

「骨を抜く」の英訳は?

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最後に「骨を抜く」の英語表現について解説していきます。3つの意味のそれぞれの英訳を1つずつ確認していきましょう。それぞれ例文を用意しているので、合わせて確認してください。

その1「remove the bones」

まずは文字通りの「骨を取り除く」という意味の場合の英訳から見ていきます。この場合の「骨」は動物の体に備わった骨のことを指すため「bone」、「取り除く」は「remove」という動詞で表現することが可能です。ちなみに「〜から骨を取り除く」という場合、「〜から」は「from」を使って表現すると良いでしょう。

You must remove the bones from the fish before you start eating.
食べ始める前に魚の骨を抜いておく必要があるぞ。

\次のページで「その2「spineless」」を解説!/

その2「spineless」

次に「気骨や節操を取り除く」という意味の「骨を抜く」ですが、こちらは「spineless」という1語の形容詞を使って表現できます。「気力のない」という意味で幅広く使用できる単語になるため、「骨を抜かれる」「骨抜き」という状態を表す単語として使うことができるでしょう。

If she appear in front of me , I become so spineless.
もし彼女が僕の目の前に現れたら、僕は骨を抜かれてしまう

その3「emasculate」

最後に「重要な部分を取り除く」の英訳について解説します。

emasculate」は「無気力にする」「弱くする」の意味の他に、文章や法律などの「重要な部分を取り除く=骨を抜く」という意味を持つ動詞です。少し意味に幅があるので、文脈に応じて訳しわける必要があります。前後の内容をしっかりと把握するようにしましょう。

また、この意味の場合には「take the teeth out of 〜」というフレーズで表現することも可能です。他にもいろんな言い回しができる表現になりますので、時間がある方がぜひ考えてみてください。

The statesmen emasculated ( took the teeth out of ) the bill.
政治家たちがその法案の骨を抜いてしまった。

「骨を抜く」を使いこなそう

この記事では「骨を抜く」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「魚が背骨を抜かれたときの様子」から連想して他の意味が生まれたというのはとても面白いですね。慣用句の特徴でもある「由来の面白さ」が光る表現になっています。桜木先生のおっしゃるように、由来を知っているとその言葉に対する理解度も定着度も高まりますので、学習する際が由来や語源まで辿ってみるとよいでしょう。

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【慣用句】「骨を抜く」の意味や使い方は?例文や類語を元国語科教員ライターがわかりやすく解説!

この記事では「骨を抜く」について解説する。

端的に言えば骨を抜くの意味は「性根をなくさせる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語科教員ライターのminを呼んです。一緒に「骨を抜く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/min

高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターとして活動中。

「骨を抜く」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「骨を抜く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「骨を抜く」の意味は?

「骨を抜く」には、次のような意味があります。

骨(ほね)を抜・く
性根(しょうね)をなくさせる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「骨を抜く」

ほね‐ぬき【骨抜き】
1 調理で、魚や鳥などの骨を取り除くこと。
2 意見・計画などの肝心な部分を除き去ること。
3 気骨や節操などをなくさせること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「骨抜き」

骨を抜く」は「骨抜き」という言葉と同じ語源を持った言葉です。

まず「骨抜き」は、そのまま「魚や鳥の骨を抜く」という意味があります。その他、「主要な部分を取り去ること」「人の気骨(信念)や節操を抜き去ること」という意味もあり、どれもよく使われるものですので、セットで覚えておきましょう。

骨を抜く」は「骨抜きにする」の意味と同じです。辞書の意味で「性根」という言葉が使われていますが、これは「根本的な心の持ち方」や「正気」、さらに「物事の根本のこと」を指す言葉になります。「」の部分をうまく言い換えた言葉になっているので、こちらも覚えておきましょう。

「骨を抜く」の語源は?

次に「骨を抜く」の語源を確認しておきましょう。

「骨を抜く」「骨抜き」の語源は、魚が背骨を抜かれる様子に由来しています。新鮮な魚でも背骨を抜かれると力が抜けたような状態になることから「気骨や節操を失くさせる」という意味や、「大事な部分を抜くこと」を指す表現として使われるようになりました。「骨を抜く」という言葉を覚える上では、この魚の背骨のイメージを浮かべるようにしておくと理解しやすいでしょう。

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